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俺設定ありです。 初投稿です。 幻想郷の、人里から離れた森の真中にぽつんと広がる円状の平原に、 構成する個体数が70匹ほどのゆっくりの集落があった。 平原のあちこちには盛り土が出来ており、 その中に、集落のゆっくりの家族が暮らしていた。 れいむが、まりさが、ぱちゅりーが、 ありすが、みょんが、ちぇんが、と、 めーりんやゆうかといった希少種を 除くほとんどのゆっくりの種族がこの集落にはいた。 集落の付近には熊などの凶暴な野生動物も少なく、 たまに来るありすの群れや、れみりゃやふらん以外に 危険らしい危険も無く、 食料も豊富で、みな思い思いに怠惰で、 ゆっくりとした生活を送っていた。 秋晴れした気温は寒くとも日差しが暖かい、いい日だった。 冬ごもりの準備もほとんど終わり、 この日も、親子で人間にとっては耳障りな「おうた」を 歌ったり、子供同士で遊んだり、虫を追っかけたりと それぞれのゆっくりを満喫していた。 彼らの内、誰ひとりとして、この平和な生活が、 突如として崩れ去ってしまうなどと予想したものはいなかった。 最初にそれに気づいたのは、 平原の縁周円のあたりで中身の無い雑談をしていた 若いゆっくり達のグループの中にいた、 この群れで若衆の頭となっているゆっくりまりさだった。 「ゆっ!・・・・・・なんだかゆっくりできないにおいがするよ!」 一緒に雑談していた若ゆっくり達にざわめきが走った。 このまりさは群れの中でも特別に嗅覚が良く、 他のゆっくりには感じ取れない臭いを いつもいち早く感じ取っていた。 また、その為なのか勘も良く、 頭も良く、警戒心が強かった。 何か良からぬ臭いを感じると今の様に 「なんだかゆっくりできないにおいがするよ」といい、 群れの皆に警戒を促すのだ。 そして、彼の危機予知の的中率は 非常に高かった。 発情したアリスの群れや、れみりゃ親子などの襲来を 事前に感じ取り、何度も群れの危機を救っていた。 それゆえに、群れの若衆からは頭として尊敬されており、 頭の良い長老ぱちゅりーを始めとする村の指導層を含む 大人ゆっくりからも一目おかれていた。 そのまりさがこの台詞を言ったのだ。 恐らく何か良くない事が起こるに違いない。 「まりさ、どんながにおいするのっ!?」 若衆頭のまりさの取り巻きのれいむが声を荒立てて聞く。 「ゆっ!まだにおいがとおいからはっきりわからないけど、 ゆっくりできないなにかがこっちにきてるのはたしかだよ」 若衆頭まりさは顔を顰めながら言う。 「ゆぅっ!とにかく「おさ」にしらせるよ!ちぇん、おさのところに ゆっくりはやくいってきてね!」 「おさにしらせるんだねー。わかるよー。」 若衆頭まりさが取り巻きのちぇんの一人にそう指示すると、 早足のちぇんは凄まじい速さ(あくまでゆっくり基準の)で 集落の中央、村の長老ぱちゅりーの家へと向かって行った。 「ゆっ!とにかく、なにがくるか「てーさつ」にいくよっ!ゆっくりすばやくついてきてね」 「「「ゆっくりすばやくいくよ」」」 若衆頭まりさが臭いの元を探るため、森の中へと分け入っていく。 それに、彼の取り巻きのれいむ、まりさ、そしてありすの三匹が続く。 彼らは、ゆっくりにしては勇敢で、頭が良く、群れの皆を愛していた。 それ故に、群れの危機になるやもしれない存在を探るために、 自ら危機へと立ち向かって行った。 それは、たとえこの世で最も下劣で下等なナマ物であるゆっくりと言えど、 称賛されるべき勇気ある行動であった。 しかし、その勇敢な行動も、今回は何の意味も持たなかったのだが。 「むきゅぅ・・・・まりさが言うからには本当なのね。 わかったわ。群れの皆には子供を家の中に隠すように言って」 「けーかいけいほうなんだねー。わかるよー」 長のぱちゅりーはゆっくりにしては聡明だった。 話し言葉に漢字が使われていることからもそれが伺える。 長ぱちゅりーは、群れの皆に警戒を促すようにちぇんに言うと、 自分も巣から飛び出た。 何が向かってきているにしても、取り敢えず大人ゆっくりを集めて 何事にも対応できるようにしておくにこしたことはない。 まりさが偵察から戻って来たらそれを聞いて、村の大人たちで 対策を立てる。これで、群れは何度も危機を乗り越えて来た。 長ぱちゅりーは今度も、これで危機を乗り越えられると信じて疑っていなかった。 「ゆぅ・・・・まりさおそいね・・・」 「ゆっ!たしかに、すこしゆっくりしすぎだよ」 いつもならば、とっくに戻ってきてもおかしくない ぐらいの時間が過ぎても、若衆頭まりさは帰ってきていなかった。 集落の中心部に集まった大人ゆっくり達から不満の声が溢れる。 しかし、それも勉強をサボった子どもに小言言う親のような調子で、 誰一人として若衆頭まりさに、本気で怒ったり心配している個体はいない。 この集落の個体は皆、若衆頭まりさに絶対の信頼を置いていた。 彼は嗅覚や頭脳だけでなく、肉体でも優れていた。 以前れみりゃが集落を襲撃した時も、その素早い動きでれみりゃを 翻弄し、戦いを勝利に導いたのだ。 あの凄いまりさが死ぬわけない、と村のゆっくり達は彼の能力を盲信していた。 それから、さらに時間が立った。 流石に、群れの大人ゆっくり達も、若衆頭まりさを心配し始めた。 「ゆぅ・・・・・・いくらなんでもゆっくりしすぎだよ!」 「まりさ、ゆっくりはやくもどってきてねっ!」 群れのゆっくり達は、森へと向けて大声をあげる。 しかし、森からは何の音沙汰も無かった。 「むきゅーっ・・・・・・・」 長老ぱちゅりーはかつてない焦燥感に襲われていた。 群れ最強ともいえるまりさが帰ってこない。 ひょっとすると・・・・ (ひょっとすると・・・・人間!) 人間。 長老ぱちゅりーは生まれてこのかた、実物を見た事は無いが、 それが如何にゆっくりできない存在であるかは 親から何度も聞かされたので知っていた。 曰く、その大きさは山のようであり、 一度狙われたゆっくりの村は根こそぎ殺されてしまうのだという。 (でも・・・・) この集落は、人間の「ゆっくりプレイス」からはかなりの遠くの 所にある筈だ。そんな遠くまで人間がはたしてわざわざやって来るのだろうか。 長老ぱちゅりーは今まで無かった事態に、どうすれば良いのか判断がつかなかった。 「だいじょーぶだよー。まりさはすこしゆっくりしてるだけだよー。 かならずかえってくるよー」 長老ぱちゅりーが動揺しているのを悟ったのか、ちぇんがそんな事を言ってくる。 いけないいけない、長老である自分が動揺などしては。 「むきゅっ!そうね、まりさを信じましょうね」 長老ぱちゅりーはそう言ってちぇんにほほ笑んだ。 結論から言うと、この時点でぱちゅりーはまりさの事など放っていて、 一旦村を棄てて逃げるべきだったのだ。 そうすれば、これから訪れる厄災を被害を、少しは軽減できたであろうに。 「ゆっ・・・なんかくさいよ!」 それからさらに時間がたった時、一匹のれいむがそんな事を言い出した。 「どうしたの、れいむ」 「くさくて、ゆっくりできないにおいがするよ」 つがいのまりさの質問に、れいむがそう答える。 それを皮切りに、一斉に無い鼻をひくひく動かして 臭いを嗅ぎ出す群れの大人ゆっくり達。 「ゆっ!たしかにくさいよ」 「ゆっくりできないにおいがするよ」 だんだん臭いが強くなってくるにつれて、 騒ぐゆっくり増えていく。 そんな中、ゆっくりの中では比較的嗅覚が強いちぇんが、 青ざめた顔をしだした。 「むきゅっ・・・どうしたちぇん?」 心配したぱちゅりーの質問にちぇんは青ざめながら答えた。 「わかるよー・・・・死んだゆっくりの臭いだね・・わかるよー・・」 そう、ちぇんがそう言った時だった。 森の奥から、聞いたことも無い、恐ろしい雄たけびが聞こえて来たのは。 「JAOOOON!」 「JAOOOOOON!!」 「JAOOOOOOOOON!!!」 「JAOOOOOOOOOOOOON!!!!」 「「「「JAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」 「「「だんなのごれぇぇぇぇぇぇっっっ!」」」 「「「「ごわいよぉぉぉぉっ!ゆっぐりでぎなぃいいいいいっ!」」」」 かつてない事態に、ゆっくり達は恐慌状態に陥っていた。 徐々に強まっていく死臭、不気味な奇声。 それはありすの群れとも、れみりゃともふらんとも違っていた。 この不気味な状況に加え、彼らが頼りとする若衆頭まりさが 未だ戻ってきていないのも、混乱に拍車をかけていた。 「「「ばりざぁぁぁぁぁっ!どごぉぉぉぉぉっ!?ばやぐででぎでよぉぉぉぉぉっ!」」」 「「「ゆっぐりじないでででぎでぇぇぇぇぇっ!!」」」 「わかるよー!ちょっと見てくるんだよーっ!」 あまりの群れの混乱に、長老ぱちゅりーが止める間もなくちぇんが森の方へと駆けだした。 「ぎにゃっ!」 ちょうど、森と平原の境目にちぇんが来た時、 突如、森の中から飛来した何かが、ちぇんに衝突し、 ちぇん諸共、群れの方に転がって来た。 「いたいよーっ!わからな・・・・い・・・・」 頭をぶつけて涙目にお決まりのセリフを言おうとしたちぇん の口が止まった。大きく眼を見開いている。 それは長老ぱちゅりーを含む群れの大人ゆっくりも同じで、 眼を限界まで見開いて、声も無く「それ」を凝視していた。 「それ」は若衆頭まりさの死体だった。 「「「「「ばりざぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」 「「「「「どぼじでばりざがじんでるのぉぉぉぉっっ!!!」」」」」 ちぇん、長老ぱちゅりーを含む群れのゆっくり全ての絶叫が平原に響き渡る。 中には、あまりのショックに餡子を吐く者までいる。 若衆頭のまりさの死体は、かろうじてまりさ本人だと識別できる、 というぐらいに破壊されていた。 両目は抉られて無く、髪も所々皮ごと千切られて無く、 歯はほとんどが抜けおち、体は所々黒ずみ、痣だらけだ。 帽子も、千切れて、かろうじて頭に引っ掛かっているという感じだった。 「「「「ばりざぁぁぁぁぁぁぁっ、おぎでよぉぉぉぉっ!じなないでぇぇぇぇぇっ!」」」」 「「「「ばりざめをあげでぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」」」」 まりさの余りに突然で、余りに壮絶な死に、 群れのゆっくりが嘆き悲しみ、極度の混乱状態にあった。 しかし、「襲撃者」にそんな都合は関係ない。 群れがまりさの死体に気をとられている間に、 彼らは、もはや致命的な位置にまで集落に接近していた。 「JAOOOOOOOOOOON!」 平原に、聞き慣れぬ雄たけびが響いた。 驚いた群れのゆっくり達は、声の方向を向く。 声の主を見て、長老ぱちゅりーは思わず気の抜けた声をだしてしまった。 「めー・・・・りん?」 そこにいたのは、都合40頭ほどのゆっくりめーりんの集団だ。 しかし、群れの目の前にいるその集団は、彼らが知るいわゆるめーりんとは 余りに違った存在だった。 彼らの知るめーりんとは、これほどまでに「ゆっくりできない」表情をした存在ではなかった。 いや、めーりん種は、もともとゆっくりできない存在だが、 それは彼らの「クズさ」(ゆっくり達の根拠の無い偏見。 めーりん種は本当はゆっくりでドスを除くと最も高い知能指数を持つ)と、 言葉が喋れない為であって、その理由は目の前の存在とは余りに違った。 その表情は、人間の言葉で表現するならば非常に「剽悍」で、 人間の感性ならば、野生動物染みたある種の気高さすら感じられた。 しかしあまりにゆっくりらしくない表情であり、 まためーりん種の持つ独特の穏やかさを感じさせるものは欠片もない。 また、彼らの髪には、れいむや、みょんのリボンや、 まりさの帽子の切れ端、ありすのカチューシャなどを 装飾品の様に着けていた。辺りに漂う死臭の源は、正にそれであった。 めーりん達がつけている装飾品。それは死んだゆっくりから剥ぎ取った物だ。 普通、ゆっくりにとって死者の飾りをつけることは最大のタブーだ。 飾りを失ったゆっくりは、ゆっくり出来ない存在として他のゆっくりに迫害を受けるが、 死者の飾りをつけたゆっくりは迫害どころかたちまちリンチされ、殺されてしまう。 故に、よほどの理由がない限り、ゆっくりは死者の飾りを身につけたりなどしない。 ゆっくり達からすれば、目の前のめーりん達の姿はあまりに異様だった。 それだけならばまだしも、中には、めーりん本来の帽子の代わりに、 明らかにまりさの黒帽子や、他のゆっくりの死体で作ったと思われる 帽子をかぶった個体までいた。それは、殺したゆっくりの皮を、何枚も パッチワークのようにつなぎ合わせて作った帽子だった。 驚くべきことに、ピースの一つ一つが、違うゆっくりの皮になっているのだ。 このめーりんは、この帽子を作るためにはたして何匹のゆっくりを殺したのだろうか? しかし、上記の事を差し置いて、このめーりん達には普通のめーりんと、 いや、他のゆっくり種と根本的に違う点があった。 それは、全員が、小さな台車、通称「スィー」に乗っているという点だった。 「スィー」はゆっくり用の乗り物で、乗ればかなりのスピードで走ることができる。 しかし、その使用例は非常に少なく、 謎の多いゆっくりの生態の中で、最も謎の多い物の一つでもあった。 めーりん達が乗っているスィーは普通のものよりもかなり小さく、 普通はゆっくりが大体2匹から3匹ぐらい乗れる大きさだが、 めーりん達の乗るスィーは彼らが一匹乗れば、 それで僅かな余白しか残らない大きさだった。 長老ぱちゅりーはどういう行動に移ればいいのか解らなかった。 恐らくまりさを殺したのは、このめーりん達だ。 しかし、彼女の知るめーりんとは、喋ることもできないグズのカスではなかったか? 少なくとも、目の前のこんな不気味な連中では無かった。 普通、死んだゆっくりの装飾品をつけたゆっくりを、 普通のゆっくりが見れば、まるで狂ったかのように怒り出し、 すぐに、そのゆっくりを殺そうとするものだ。 しかし、群れのゆっくりの中で、それを実行に移そうとする個体は 一匹として居なかった。 彼らにとってヒーローとも言えるまりさを、彼らに殺されたであろうにもかかわらず! それほどまでに、目の前の集団は、ゆっくりにとって異様だった。 ひょっとすると彼らは本能的に理解していたのかもしれない。 眼の前の存在が、きめぇ丸や、捕食種の様に、姿かたちこそ似てはいても、 もはや根本的に別の生き物で、そして逆立ちしたって敵わない存在だという事を。 集落のゆっくり達が動けないでいると、めーりん達の間から、ぬっと一頭の めーりんが群れの方に出てきた。それは、例の死体のパッチワークの帽子を付けためーりんだ。 どうやら、この集団の長の様な存在らしい。 その傍らには、何故か一匹のきめぇ丸が付き添っていた。 「JAO、JAO、JAOOOOOOOOOOON!」 パッチワークめーりんが、大地を揺るがせるような大声をあげる。 長老ぱちゅりーをはじめ、群れのゆっくりはビックリするものの、 どう反応していいかわからない。彼らにはめーりんの言葉が解らないからだ。 「どうも清く正しいきめぇ丸です。この群れの長はどなたですか?」 隣にいたきめぇ丸が、相変わらずのうざいしゃべり方で群れのゆっくりに 話しかける。 「むきゅ・・・・・わ、私だけど・・・・」 群れの全員の視線を受けて、恐る恐る長老パチュリーは 前へと進み出た。 「なるほど、ぱちゅりー、貴方でしたか。 確かに他の無能で愚鈍な糞饅頭どもよりは、 少しは賢く見えていましたが・・・と、こりゃ失敬。 口が滑りました」 きめぇ丸は完全にを見下した目つきで、 じろじろとぱちゅりー達を見る。 長老パチュリーはあまりに不愉快な視線と言葉に 身を硬くするも、きっときめぇ丸を睨む。 「さて、余計な話はさておき、 貴方がた饅頭は、余りに低能過ぎて偉大なる 閣下の言葉を理解し得ない。 故に私が通訳をさせて頂きます」 きめぇ丸は、うざい口調でそう言った。 どうやら、このめーりんが何を言ってるのかを、 このきめぇ丸が代わりに言うらしい。 「それで・・・・私達の群れに何の用・・・?」 長老パチュリーはありったけの勇気を体に 注ぎ込んで、パッチワークめーりんを 睨みながら言う。 「JAO、JAO、JAJAO、JAJAJAOOOOOOOON」 「偉大なる大王、ユッティラ=メーリン=カーンが子息、 ユラクス=メーリンが、紅の戦神に誓って言う!」 パッチワークめーりんの大音声に合わせて、きめぇ丸が まるで歌うように言う。 「「「「?」」」」 長老ぱちゅりーを含めて、このきめぇ丸の言葉の意味を理解できた 個体はいなかった。 当然だ。ゆっくりは個体識別名称を持たない。 まりさは、全てまりさだし、れいむは全てれいむだ。 ゆっくりの驚くほどの無個性さと、世代交代の早さ故に、それで十分なのだろう。 しかし、驚くべきことに、このめーりん達は、 ゆっくりでありながら個体ごとの名前を持っているのだ。 驚くべき進化であると言えよう。 「JAO、JAO、JAO」 「大王の威光と徳を理解せぬ野蛮人の集落の長、ぱちゅりーよ、 群れのゆっくり共の命が惜しくば、 この村の食料6割を貢物として、 子ゆっくりの全てをを奴隷として献上せよっ!」 「ゆっ!なにいってるの!たべものはれいむたちががんばってあつめたんだよ! あげるわけないでしょ、ばかなの、しぬの?」 「なにわけのわからないこといってるんだぜ、それよりもおかしをよこすんだぜ!」 「なんで、あがぢゃんあげなぐぢゃいげないのおおおおお、ばかなの、しぬの!?」 きめぇ丸のあんまりと言えばあんまりな内容の言葉に、 今まで黙っていた群れのゆっくり達が騒ぎ出す。 ただ、2匹、ぱちゅりーとちぇんだけが黙っている。 きめぇ丸の言葉がまだ終わっていないからだ。 「JAJAJAJAJAO、JAO」 「この要求をのむか否かの答えは、明日の日が昇るまでとする。 のむならそれでよし、否ならば・・・・・」 「否ならば・・・・何なのよ・・・・」 「この村のゆっくり、赤ゆっくりの一匹に至るまで皆殺しとする」 「「「「「ふざけるんじゃないぜぇぇぇぇぇぇっ!」」」」」 「「「「「「しねぇ!、ゆっくりしねぇ!」」」」」 群れのゆっくり達が激昂する。ただでさえ、ゆっくりは 沸点が低い存在なのだ。ここまでの事を言われれば 怒らないはずもなかった。 「ひとつだけ、ききたいんだよー」 そんな中、何故か冷静なちぇんが、きめぇ丸に尋ねる。 「どうしましたか、何か質問でも?」 「うん、ひとつだけききたいんよだねー。わかるよー」 「まりさをころしたのは、めーりんたちなのー?」 「ん、まりさ?もしかしてそこに転がってるゴミのことですか?」 きめぇ丸は、転がっているまりさの死体を見ながら言った。 「はい、殺しましたよ。愚かにも閣下に喧嘩を売って、 何もできずに一方的に殺されました。おお、不様不様」 「しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 ちぇんは、きめぇ丸の言葉を聞くや否や、 パッチワークめーりん、「ユラグス」に襲い掛かった。 ちぇんは、最も若衆頭のまりさを慕っていたゆっくりの一匹だった。 その親しみを、そののまま憎しみに変えて、恐らくはちぇんの 生涯で最も速いであろう速度で飛びかかった。 が、 ぐちゃっ 何かが潰れるような音がした。 長老ぱちゅりーの足もとに、何かが転がって来る。 「ちぇ・・・・ん?」 ちぇんの顔面は完全に潰れていた。 餡子が漏れ出し、眼は飛び出している。 もはやピクピクと痙攣するだけのモノに ちぇんはなり果てていた。 「ユラグス」の「スィー」には目新しい餡子の跡が付いている。 戦闘種族である「騎馬めーりん」には普通のゆっくりの速さなど 最初から問題にすらならない。 「JAOO」 「今のは・・・・」 「宣戦布告と見なす!」 きめぇ丸はそう言うや否や、高く空へと飛びあがる。 無論、これから始まる殺戮に巻き込まれないためだ。 「JAJA、JAJA、OOOOOOOOOOOOOOOON!」 「「「「「「「「「「「JAJA、JAJA、OOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!」」」」」」」」」」」 「ユラグス」が、「我らが武神、紅美鈴よ、我らを助けたまえ!」を意味する鬨の声をあげる。 それに合わせて、大音声が上がった。 40台のスィーが群れのゆっくりに殺到した。 それからは一方的な虐殺だった。 最初の攻撃で、群れのゆっくりは大半が死亡、あるいは戦意喪失状態になった。 体重の重いめーりん種の乗ったスィーの「ぶちかまし」は、それだけで ゆっくりの体を破壊するに足る威力を持っているのだ。 その名の通り、鈍足な通常のゆっくり達は反応すらできず轢き殺された。 特に、長であったぱちゅりーの殺し方は念入りだった。 捕虜になった大人ゆっくりの生き残りと、巣から引きずり出された子ゆっくり、赤ゆっくりの目の前で、 何匹もの騎馬めーりんに何度も死なない様に加減して轢かれ、撥ねられ、 なぶり殺しにされた。 その後、生き残りの大人ゆっくり達は、残らずめーりん達の夕食になり、 赤ゆっくりはみな殺され、子ゆっくりは、奴隷として連れて行かれた。 「「「「「「ままぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」」 「「「「「「おどぉざぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」」」」」 子ゆっくり達の絶叫が響き渡る中、 群れが越冬用に蓄えた食糧は、残らずめーりん達に奪われ、 おうちは徹底的に破壊された。 日が沈み、次の夜明けが来るや否や、 「ユラグス」率いる部隊は、戦利品の食料と奴隷ゆっくりを連れて、 大王ユッティラのいる村へと出発した。 騎馬めーりん達が去った後はには、誰もいなくなったゆっくりプレイスのなれの果てと、 凄まじい数のゆっくり死体だけが残されていた。 続く? ★「騎馬民族ゆっくり」 あるいは「騎馬めーりん」 ベースはゆっくりめーりん。 迫害され続けためーりん種の一部が、自衛のために進化した結果生まれた種。 全員が若干小さめの「スィー」に乗っており、寝る時以外のほとんどの人生を 「スィー」の上で過ごす。また、枝を削った槍、帽子の中にため込んだ小石を 武器としており、その戦闘能力は発情時のありすよりも高い。 かつてのめーりん種とは異なり非常に闘争的で、他種のゆっくりの群れを襲って 略奪したり、また捕虜にしたゆっくりを奴隷ゆっくりとして売りさばいたり、 時には傭兵として雇われたりしながら生計を立てている。 騎馬民族めーりんは髪に自分で殺したゆっくりの髪飾りや帽子の切れ端を結びつける。 他種のゆっくりにとっては忌むべきこの行為も、騎馬民族めーりんにはむしろ誇りであり、 群れの中では、殺したゆっくりの飾りが多い個体ほど尊敬される。 また、殺したゆっくりの皮をはぎとって、旗や、装飾具を作って自分を飾ったりもする。 また、戦えなくなった老ゆっくりや怪我したゆっくりは、仲間の間で殺されて食べられるか、 自殺をする。騎馬民族めーりんには戦えないこと、すなわちゆっくりすることこそ恥であり、 それゆえに戦えない個体は軽蔑され、本人もそれをよしとせず、嬉々として死を選ぶ。 基本的には定住せず、春から秋にかけては、スィーに乗り、幻想郷のあちこちを駆けまわる。 ただ、雪が降る冬だけは、決まった根拠地に活動期に蓄えた食糧で冬ごもりをする。 ただ、根拠地に戻れない場合は、適当な他種のゆっくりプレイスを奪い取って、冬を越す。 (当然、村のゆっくりは皆食料にされる) 人間には比較的友好的で、雇われて村の畑を荒らすゆっくりの村を討伐したりする。 「じゃぉぉぉぉぉん」という雄たけびと、風に乗ってやってくるゆっくりの死臭に、 他種のゆっくりは恐れおののくのである。 このSSに感想を付ける
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俺設定ありです。 初投稿です。 幻想郷の、人里から離れた森の真中にぽつんと広がる円状の平原に、 構成する個体数が70匹ほどのゆっくりの集落があった。 平原のあちこちには盛り土が出来ており、 その中に、集落のゆっくりの家族が暮らしていた。 れいむが、まりさが、ぱちゅりーが、 ありすが、みょんが、ちぇんが、と、 めーりんやゆうかといった希少種を 除くほとんどのゆっくりの種族がこの集落にはいた。 集落の付近には熊などの凶暴な野生動物も少なく、 たまに来るありすの群れや、れみりゃやふらん以外に 危険らしい危険も無く、 食料も豊富で、みな思い思いに怠惰で、 ゆっくりとした生活を送っていた。 秋晴れした気温は寒くとも日差しが暖かい、いい日だった。 冬ごもりの準備もほとんど終わり、 この日も、親子で人間にとっては耳障りな「おうた」を 歌ったり、子供同士で遊んだり、虫を追っかけたりと それぞれのゆっくりを満喫していた。 彼らの内、誰ひとりとして、この平和な生活が、 突如として崩れ去ってしまうなどと予想したものはいなかった。 最初にそれに気づいたのは、 平原の縁周円のあたりで中身の無い雑談をしていた 若いゆっくり達のグループの中にいた、 この群れで若衆の頭となっているゆっくりまりさだった。 「ゆっ!・・・・・・なんだかゆっくりできないにおいがするよ!」 一緒に雑談していた若ゆっくり達にざわめきが走った。 このまりさは群れの中でも特別に嗅覚が良く、 他のゆっくりには感じ取れない臭いを いつもいち早く感じ取っていた。 また、その為なのか勘も良く、 頭も良く、警戒心が強かった。 何か良からぬ臭いを感じると今の様に 「なんだかゆっくりできないにおいがするよ」といい、 群れの皆に警戒を促すのだ。 そして、彼の危機予知の的中率は 非常に高かった。 発情したアリスの群れや、れみりゃ親子などの襲来を 事前に感じ取り、何度も群れの危機を救っていた。 それゆえに、群れの若衆からは頭として尊敬されており、 頭の良い長老ぱちゅりーを始めとする村の指導層を含む 大人ゆっくりからも一目おかれていた。 そのまりさがこの台詞を言ったのだ。 恐らく何か良くない事が起こるに違いない。 「まりさ、どんながにおいするのっ!?」 若衆頭のまりさの取り巻きのれいむが声を荒立てて聞く。 「ゆっ!まだにおいがとおいからはっきりわからないけど、 ゆっくりできないなにかがこっちにきてるのはたしかだよ」 若衆頭まりさは顔を顰めながら言う。 「ゆぅっ!とにかく「おさ」にしらせるよ!ちぇん、おさのところに ゆっくりはやくいってきてね!」 「おさにしらせるんだねー。わかるよー。」 若衆頭まりさが取り巻きのちぇんの一人にそう指示すると、 早足のちぇんは凄まじい速さ(あくまでゆっくり基準の)で 集落の中央、村の長老ぱちゅりーの家へと向かって行った。 「ゆっ!とにかく、なにがくるか「てーさつ」にいくよっ!ゆっくりすばやくついてきてね」 「「「ゆっくりすばやくいくよ」」」 若衆頭まりさが臭いの元を探るため、森の中へと分け入っていく。 それに、彼の取り巻きのれいむ、まりさ、そしてありすの三匹が続く。 彼らは、ゆっくりにしては勇敢で、頭が良く、群れの皆を愛していた。 それ故に、群れの危機になるやもしれない存在を探るために、 自ら危機へと立ち向かって行った。 それは、たとえこの世で最も下劣で下等なナマ物であるゆっくりと言えど、 称賛されるべき勇気ある行動であった。 しかし、その勇敢な行動も、今回は何の意味も持たなかったのだが。 「むきゅぅ・・・・まりさが言うからには本当なのね。 わかったわ。群れの皆には子供を家の中に隠すように言って」 「けーかいけいほうなんだねー。わかるよー」 長のぱちゅりーはゆっくりにしては聡明だった。 話し言葉に漢字が使われていることからもそれが伺える。 長ぱちゅりーは、群れの皆に警戒を促すようにちぇんに言うと、 自分も巣から飛び出た。 何が向かってきているにしても、取り敢えず大人ゆっくりを集めて 何事にも対応できるようにしておくにこしたことはない。 まりさが偵察から戻って来たらそれを聞いて、村の大人たちで 対策を立てる。これで、群れは何度も危機を乗り越えて来た。 長ぱちゅりーは今度も、これで危機を乗り越えられると信じて疑っていなかった。 「ゆぅ・・・・まりさおそいね・・・」 「ゆっ!たしかに、すこしゆっくりしすぎだよ」 いつもならば、とっくに戻ってきてもおかしくない ぐらいの時間が過ぎても、若衆頭まりさは帰ってきていなかった。 集落の中心部に集まった大人ゆっくり達から不満の声が溢れる。 しかし、それも勉強をサボった子どもに小言言う親のような調子で、 誰一人として若衆頭まりさに、本気で怒ったり心配している個体はいない。 この集落の個体は皆、若衆頭まりさに絶対の信頼を置いていた。 彼は嗅覚や頭脳だけでなく、肉体でも優れていた。 以前れみりゃが集落を襲撃した時も、その素早い動きでれみりゃを 翻弄し、戦いを勝利に導いたのだ。 あの凄いまりさが死ぬわけない、と村のゆっくり達は彼の能力を盲信していた。 それから、さらに時間が立った。 流石に、群れの大人ゆっくり達も、若衆頭まりさを心配し始めた。 「ゆぅ・・・・・・いくらなんでもゆっくりしすぎだよ!」 「まりさ、ゆっくりはやくもどってきてねっ!」 群れのゆっくり達は、森へと向けて大声をあげる。 しかし、森からは何の音沙汰も無かった。 「むきゅーっ・・・・・・・」 長老ぱちゅりーはかつてない焦燥感に襲われていた。 群れ最強ともいえるまりさが帰ってこない。 ひょっとすると・・・・ (ひょっとすると・・・・人間!) 人間。 長老ぱちゅりーは生まれてこのかた、実物を見た事は無いが、 それが如何にゆっくりできない存在であるかは 親から何度も聞かされたので知っていた。 曰く、その大きさは山のようであり、 一度狙われたゆっくりの村は根こそぎ殺されてしまうのだという。 (でも・・・・) この集落は、人間の「ゆっくりプレイス」からはかなりの遠くの 所にある筈だ。そんな遠くまで人間がはたしてわざわざやって来るのだろうか。 長老ぱちゅりーは今まで無かった事態に、どうすれば良いのか判断がつかなかった。 「だいじょーぶだよー。まりさはすこしゆっくりしてるだけだよー。 かならずかえってくるよー」 長老ぱちゅりーが動揺しているのを悟ったのか、ちぇんがそんな事を言ってくる。 いけないいけない、長老である自分が動揺などしては。 「むきゅっ!そうね、まりさを信じましょうね」 長老ぱちゅりーはそう言ってちぇんにほほ笑んだ。 結論から言うと、この時点でぱちゅりーはまりさの事など放っていて、 一旦村を棄てて逃げるべきだったのだ。 そうすれば、これから訪れる厄災を被害を、少しは軽減できたであろうに。 「ゆっ・・・なんかくさいよ!」 それからさらに時間がたった時、一匹のれいむがそんな事を言い出した。 「どうしたの、れいむ」 「くさくて、ゆっくりできないにおいがするよ」 つがいのまりさの質問に、れいむがそう答える。 それを皮切りに、一斉に無い鼻をひくひく動かして 臭いを嗅ぎ出す群れの大人ゆっくり達。 「ゆっ!たしかにくさいよ」 「ゆっくりできないにおいがするよ」 だんだん臭いが強くなってくるにつれて、 騒ぐゆっくり増えていく。 そんな中、ゆっくりの中では比較的嗅覚が強いちぇんが、 青ざめた顔をしだした。 「むきゅっ・・・どうしたちぇん?」 心配したぱちゅりーの質問にちぇんは青ざめながら答えた。 「わかるよー・・・・死んだゆっくりの臭いだね・・わかるよー・・」 そう、ちぇんがそう言った時だった。 森の奥から、聞いたことも無い、恐ろしい雄たけびが聞こえて来たのは。 「JAOOOON!」 「JAOOOOOON!!」 「JAOOOOOOOOON!!!」 「JAOOOOOOOOOOOOON!!!!」 「「「「JAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」 「「「だんなのごれぇぇぇぇぇぇっっっ!」」」 「「「「ごわいよぉぉぉぉっ!ゆっぐりでぎなぃいいいいいっ!」」」」 かつてない事態に、ゆっくり達は恐慌状態に陥っていた。 徐々に強まっていく死臭、不気味な奇声。 それはありすの群れとも、れみりゃともふらんとも違っていた。 この不気味な状況に加え、彼らが頼りとする若衆頭まりさが 未だ戻ってきていないのも、混乱に拍車をかけていた。 「「「ばりざぁぁぁぁぁっ!どごぉぉぉぉぉっ!?ばやぐででぎでよぉぉぉぉぉっ!」」」 「「「ゆっぐりじないでででぎでぇぇぇぇぇっ!!」」」 「わかるよー!ちょっと見てくるんだよーっ!」 あまりの群れの混乱に、長老ぱちゅりーが止める間もなくちぇんが森の方へと駆けだした。 「ぎにゃっ!」 ちょうど、森と平原の境目にちぇんが来た時、 突如、森の中から飛来した何かが、ちぇんに衝突し、 ちぇん諸共、群れの方に転がって来た。 「いたいよーっ!わからな・・・・い・・・・」 頭をぶつけて涙目にお決まりのセリフを言おうとしたちぇん の口が止まった。大きく眼を見開いている。 それは長老ぱちゅりーを含む群れの大人ゆっくりも同じで、 眼を限界まで見開いて、声も無く「それ」を凝視していた。 「それ」は若衆頭まりさの死体だった。 「「「「「ばりざぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」 「「「「「どぼじでばりざがじんでるのぉぉぉぉっっ!!!」」」」」 ちぇん、長老ぱちゅりーを含む群れのゆっくり全ての絶叫が平原に響き渡る。 中には、あまりのショックに餡子を吐く者までいる。 若衆頭のまりさの死体は、かろうじてまりさ本人だと識別できる、 というぐらいに破壊されていた。 両目は抉られて無く、髪も所々皮ごと千切られて無く、 歯はほとんどが抜けおち、体は所々黒ずみ、痣だらけだ。 帽子も、千切れて、かろうじて頭に引っ掛かっているという感じだった。 「「「「ばりざぁぁぁぁぁぁぁっ、おぎでよぉぉぉぉっ!じなないでぇぇぇぇぇっ!」」」」 「「「「ばりざめをあげでぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」」」」 まりさの余りに突然で、余りに壮絶な死に、 群れのゆっくりが嘆き悲しみ、極度の混乱状態にあった。 しかし、「襲撃者」にそんな都合は関係ない。 群れがまりさの死体に気をとられている間に、 彼らは、もはや致命的な位置にまで集落に接近していた。 「JAOOOOOOOOOOON!」 平原に、聞き慣れぬ雄たけびが響いた。 驚いた群れのゆっくり達は、声の方向を向く。 声の主を見て、長老ぱちゅりーは思わず気の抜けた声をだしてしまった。 「めー・・・・りん?」 そこにいたのは、都合40頭ほどのゆっくりめーりんの集団だ。 しかし、群れの目の前にいるその集団は、彼らが知るいわゆるめーりんとは 余りに違った存在だった。 彼らの知るめーりんとは、これほどまでに「ゆっくりできない」表情をした存在ではなかった。 いや、めーりん種は、もともとゆっくりできない存在だが、 それは彼らの「クズさ」(ゆっくり達の根拠の無い偏見。 めーりん種は本当はゆっくりでドスを除くと最も高い知能指数を持つ)と、 言葉が喋れない為であって、その理由は目の前の存在とは余りに違った。 その表情は、人間の言葉で表現するならば非常に「剽悍」で、 人間の感性ならば、野生動物染みたある種の気高さすら感じられた。 しかしあまりにゆっくりらしくない表情であり、 まためーりん種の持つ独特の穏やかさを感じさせるものは欠片もない。 また、彼らの髪には、れいむや、みょんのリボンや、 まりさの帽子の切れ端、ありすのカチューシャなどを 装飾品の様に着けていた。辺りに漂う死臭の源は、正にそれであった。 めーりん達がつけている装飾品。それは死んだゆっくりから剥ぎ取った物だ。 普通、ゆっくりにとって死者の飾りをつけることは最大のタブーだ。 飾りを失ったゆっくりは、ゆっくり出来ない存在として他のゆっくりに迫害を受けるが、 死者の飾りをつけたゆっくりは迫害どころかたちまちリンチされ、殺されてしまう。 故に、よほどの理由がない限り、ゆっくりは死者の飾りを身につけたりなどしない。 ゆっくり達からすれば、目の前のめーりん達の姿はあまりに異様だった。 それだけならばまだしも、中には、めーりん本来の帽子の代わりに、 明らかにまりさの黒帽子や、他のゆっくりの死体で作ったと思われる 帽子をかぶった個体までいた。それは、殺したゆっくりの皮を、何枚も パッチワークのようにつなぎ合わせて作った帽子だった。 驚くべきことに、ピースの一つ一つが、違うゆっくりの皮になっているのだ。 このめーりんは、この帽子を作るためにはたして何匹のゆっくりを殺したのだろうか? しかし、上記の事を差し置いて、このめーりん達には普通のめーりんと、 いや、他のゆっくり種と根本的に違う点があった。 それは、全員が、小さな台車、通称「スィー」に乗っているという点だった。 「スィー」はゆっくり用の乗り物で、乗ればかなりのスピードで走ることができる。 しかし、その使用例は非常に少なく、 謎の多いゆっくりの生態の中で、最も謎の多い物の一つでもあった。 めーりん達が乗っているスィーは普通のものよりもかなり小さく、 普通はゆっくりが大体2匹から3匹ぐらい乗れる大きさだが、 めーりん達の乗るスィーは彼らが一匹乗れば、 それで僅かな余白しか残らない大きさだった。 長老ぱちゅりーはどういう行動に移ればいいのか解らなかった。 恐らくまりさを殺したのは、このめーりん達だ。 しかし、彼女の知るめーりんとは、喋ることもできないグズのカスではなかったか? 少なくとも、目の前のこんな不気味な連中では無かった。 普通、死んだゆっくりの装飾品をつけたゆっくりを、 普通のゆっくりが見れば、まるで狂ったかのように怒り出し、 すぐに、そのゆっくりを殺そうとするものだ。 しかし、群れのゆっくりの中で、それを実行に移そうとする個体は 一匹として居なかった。 彼らにとってヒーローとも言えるまりさを、彼らに殺されたであろうにもかかわらず! それほどまでに、目の前の集団は、ゆっくりにとって異様だった。 ひょっとすると彼らは本能的に理解していたのかもしれない。 眼の前の存在が、きめぇ丸や、捕食種の様に、姿かたちこそ似てはいても、 もはや根本的に別の生き物で、そして逆立ちしたって敵わない存在だという事を。 集落のゆっくり達が動けないでいると、めーりん達の間から、ぬっと一頭の めーりんが群れの方に出てきた。それは、例の死体のパッチワークの帽子を付けためーりんだ。 どうやら、この集団の長の様な存在らしい。 その傍らには、何故か一匹のきめぇ丸が付き添っていた。 「JAO、JAO、JAOOOOOOOOOOON!」 パッチワークめーりんが、大地を揺るがせるような大声をあげる。 長老ぱちゅりーをはじめ、群れのゆっくりはビックリするものの、 どう反応していいかわからない。彼らにはめーりんの言葉が解らないからだ。 「どうも清く正しいきめぇ丸です。この群れの長はどなたですか?」 隣にいたきめぇ丸が、相変わらずのうざいしゃべり方で群れのゆっくりに 話しかける。 「むきゅ・・・・・わ、私だけど・・・・」 群れの全員の視線を受けて、恐る恐る長老パチュリーは 前へと進み出た。 「なるほど、ぱちゅりー、貴方でしたか。 確かに他の無能で愚鈍な糞饅頭どもよりは、 少しは賢く見えていましたが・・・と、こりゃ失敬。 口が滑りました」 きめぇ丸は完全にを見下した目つきで、 じろじろとぱちゅりー達を見る。 長老パチュリーはあまりに不愉快な視線と言葉に 身を硬くするも、きっときめぇ丸を睨む。 「さて、余計な話はさておき、 貴方がた饅頭は、余りに低能過ぎて偉大なる 閣下の言葉を理解し得ない。 故に私が通訳をさせて頂きます」 きめぇ丸は、うざい口調でそう言った。 どうやら、このめーりんが何を言ってるのかを、 このきめぇ丸が代わりに言うらしい。 「それで・・・・私達の群れに何の用・・・?」 長老パチュリーはありったけの勇気を体に 注ぎ込んで、パッチワークめーりんを 睨みながら言う。 「JAO、JAO、JAJAO、JAJAJAOOOOOOOON」 「偉大なる大王、ユッティラ=メーリン=カーンが子息、 ユラクス=メーリンが、紅の戦神に誓って言う!」 パッチワークめーりんの大音声に合わせて、きめぇ丸が まるで歌うように言う。 「「「「?」」」」 長老ぱちゅりーを含めて、このきめぇ丸の言葉の意味を理解できた 個体はいなかった。 当然だ。ゆっくりは個体識別名称を持たない。 まりさは、全てまりさだし、れいむは全てれいむだ。 ゆっくりの驚くほどの無個性さと、世代交代の早さ故に、それで十分なのだろう。 しかし、驚くべきことに、このめーりん達は、 ゆっくりでありながら個体ごとの名前を持っているのだ。 驚くべき進化であると言えよう。 「JAO、JAO、JAO」 「大王の威光と徳を理解せぬ野蛮人の集落の長、ぱちゅりーよ、 群れのゆっくり共の命が惜しくば、 この村の食料6割を貢物として、 子ゆっくりの全てをを奴隷として献上せよっ!」 「ゆっ!なにいってるの!たべものはれいむたちががんばってあつめたんだよ! あげるわけないでしょ、ばかなの、しぬの?」 「なにわけのわからないこといってるんだぜ、それよりもおかしをよこすんだぜ!」 「なんで、あがぢゃんあげなぐぢゃいげないのおおおおお、ばかなの、しぬの!?」 きめぇ丸のあんまりと言えばあんまりな内容の言葉に、 今まで黙っていた群れのゆっくり達が騒ぎ出す。 ただ、2匹、ぱちゅりーとちぇんだけが黙っている。 きめぇ丸の言葉がまだ終わっていないからだ。 「JAJAJAJAJAO、JAO」 「この要求をのむか否かの答えは、明日の日が昇るまでとする。 のむならそれでよし、否ならば・・・・・」 「否ならば・・・・何なのよ・・・・」 「この村のゆっくり、赤ゆっくりの一匹に至るまで皆殺しとする」 「「「「「ふざけるんじゃないぜぇぇぇぇぇぇっ!」」」」」 「「「「「「しねぇ!、ゆっくりしねぇ!」」」」」 群れのゆっくり達が激昂する。ただでさえ、ゆっくりは 沸点が低い存在なのだ。ここまでの事を言われれば 怒らないはずもなかった。 「ひとつだけ、ききたいんだよー」 そんな中、何故か冷静なちぇんが、きめぇ丸に尋ねる。 「どうしましたか、何か質問でも?」 「うん、ひとつだけききたいんよだねー。わかるよー」 「まりさをころしたのは、めーりんたちなのー?」 「ん、まりさ?もしかしてそこに転がってるゴミのことですか?」 きめぇ丸は、転がっているまりさの死体を見ながら言った。 「はい、殺しましたよ。愚かにも閣下に喧嘩を売って、 何もできずに一方的に殺されました。おお、不様不様」 「しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 ちぇんは、きめぇ丸の言葉を聞くや否や、 パッチワークめーりん、「ユラグス」に襲い掛かった。 ちぇんは、最も若衆頭のまりさを慕っていたゆっくりの一匹だった。 その親しみを、そののまま憎しみに変えて、恐らくはちぇんの 生涯で最も速いであろう速度で飛びかかった。 が、 ぐちゃっ 何かが潰れるような音がした。 長老ぱちゅりーの足もとに、何かが転がって来る。 「ちぇ・・・・ん?」 ちぇんの顔面は完全に潰れていた。 餡子が漏れ出し、眼は飛び出している。 もはやピクピクと痙攣するだけのモノに ちぇんはなり果てていた。 「ユラグス」の「スィー」には目新しい餡子の跡が付いている。 戦闘種族である「騎馬めーりん」には普通のゆっくりの速さなど 最初から問題にすらならない。 「JAOO」 「今のは・・・・」 「宣戦布告と見なす!」 きめぇ丸はそう言うや否や、高く空へと飛びあがる。 無論、これから始まる殺戮に巻き込まれないためだ。 「JAJA、JAJA、OOOOOOOOOOOOOOOON!」 「「「「「「「「「「「JAJA、JAJA、OOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!」」」」」」」」」」」 「ユラグス」が、「我らが武神、紅美鈴よ、我らを助けたまえ!」を意味する鬨の声をあげる。 それに合わせて、大音声が上がった。 40台のスィーが群れのゆっくりに殺到した。 それからは一方的な虐殺だった。 最初の攻撃で、群れのゆっくりは大半が死亡、あるいは戦意喪失状態になった。 体重の重いめーりん種の乗ったスィーの「ぶちかまし」は、それだけで ゆっくりの体を破壊するに足る威力を持っているのだ。 その名の通り、鈍足な通常のゆっくり達は反応すらできず轢き殺された。 特に、長であったぱちゅりーの殺し方は念入りだった。 捕虜になった大人ゆっくりの生き残りと、巣から引きずり出された子ゆっくり、赤ゆっくりの目の前で、 何匹もの騎馬めーりんに何度も死なない様に加減して轢かれ、撥ねられ、 なぶり殺しにされた。 その後、生き残りの大人ゆっくり達は、残らずめーりん達の夕食になり、 赤ゆっくりはみな殺され、子ゆっくりは、奴隷として連れて行かれた。 「「「「「「ままぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」」 「「「「「「おどぉざぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」」」」」 子ゆっくり達の絶叫が響き渡る中、 群れが越冬用に蓄えた食糧は、残らずめーりん達に奪われ、 おうちは徹底的に破壊された。 日が沈み、次の夜明けが来るや否や、 「ユラグス」率いる部隊は、戦利品の食料と奴隷ゆっくりを連れて、 大王ユッティラのいる村へと出発した。 騎馬めーりん達が去った後はには、誰もいなくなったゆっくりプレイスのなれの果てと、 凄まじい数のゆっくり死体だけが残されていた。 続く? ★「騎馬民族ゆっくり」 あるいは「騎馬めーりん」 ベースはゆっくりめーりん。 迫害され続けためーりん種の一部が、自衛のために進化した結果生まれた種。 全員が若干小さめの「スィー」に乗っており、寝る時以外のほとんどの人生を 「スィー」の上で過ごす。また、枝を削った槍、帽子の中にため込んだ小石を 武器としており、その戦闘能力は発情時のありすよりも高い。 かつてのめーりん種とは異なり非常に闘争的で、他種のゆっくりの群れを襲って 略奪したり、また捕虜にしたゆっくりを奴隷ゆっくりとして売りさばいたり、 時には傭兵として雇われたりしながら生計を立てている。 騎馬民族めーりんは髪に自分で殺したゆっくりの髪飾りや帽子の切れ端を結びつける。 他種のゆっくりにとっては忌むべきこの行為も、騎馬民族めーりんにはむしろ誇りであり、 群れの中では、殺したゆっくりの飾りが多い個体ほど尊敬される。 また、殺したゆっくりの皮をはぎとって、旗や、装飾具を作って自分を飾ったりもする。 また、戦えなくなった老ゆっくりや怪我したゆっくりは、仲間の間で殺されて食べられるか、 自殺をする。騎馬民族めーりんには戦えないこと、すなわちゆっくりすることこそ恥であり、 それゆえに戦えない個体は軽蔑され、本人もそれをよしとせず、嬉々として死を選ぶ。 基本的には定住せず、春から秋にかけては、スィーに乗り、幻想郷のあちこちを駆けまわる。 ただ、雪が降る冬だけは、決まった根拠地に活動期に蓄えた食糧で冬ごもりをする。 ただ、根拠地に戻れない場合は、適当な他種のゆっくりプレイスを奪い取って、冬を越す。 (当然、村のゆっくりは皆食料にされる) 人間には比較的友好的で、雇われて村の畑を荒らすゆっくりの村を討伐したりする。 「じゃぉぉぉぉぉん」という雄たけびと、風に乗ってやってくるゆっくりの死臭に、 他種のゆっくりは恐れおののくのである。 このSSに感想を付ける
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「条件」を書いたものです。まだ名はありません。 今回も「格差」が大きく出ています。以下の注意点があります。 ・誤字脱字、文的に変なところがあるかも知れません。 ・希少種優遇ものです。(希少種は死ね!!という派の方はUターンをお勧めします) ・納得いかない終わり方かも知れませんので覚悟の上でご覧下さい ・設定に納得いかない点があるかも知れませんがご了承下さい。 以上の注意点を踏まえた上でお楽しみください。 それでは始まり始まりー ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「やい、くそじじい!まりささまたちにあまあまをけんじょうしろだぜ!!」 「れいむはおなかがすいてかわいそうなんだよ!いっぱいちょうだいね!」 「はやくしなさい!まったくいなかものはとろすぎるからこまるわ!」 「むきゃきゃきゃ!ていのうのぶんざいでいだいなけんじゃのぱちぇにやくだてることをこうえいにおもいなさい!」 「・・・」 家から少し離れたコンビニに出かけた。買ったものは雑誌、飲み物とスナック菓子。 気になる漫画を立ち読みをしていい気分転換が出来たと歩いていた矢先にこれだ。 「なんでお前らに食べ物やらなきゃいけないんだよ?馬鹿か?死ぬのか?」 「・・・ゆふふふ!ばかはじじいのほうだぜ!」 「これをみなさい!いなかもの!」 「あ!」 よく見ると4匹の飾りには金バッチがついていた。体も割と綺麗な方だが・・・ 「お前らどっかから盗んで来たのか?」 「ゆゆっ!?しつれいなどれいだね!これはれいむたちのだよ!!」 「本当かよ。なら、調べさせろ。」 俺は四匹のバッチの裏を確認した。確かにそれぞれについているバッチは付けている者の種類を指している。 「これでわかったかだぜ!だったらはやくあまあま「ちょっと待て」」 「お前ら金てことは飼いゆっくりだろう?飼い主にあまあまを貰えばいいだろうが」 普通に考えれば金がこんなことをする筈がない。考えられるのは・・・ 「お前ら、捨てゆっくりか?」 この口の悪さだ。捨てられてもおかしくない。汚れも目立たないとはいえ付き始めている。 「むきゃきゃ!いだいなぱちぇがすてゆっくりですって!」 「とかいはなありすがすてられるわけないじゃない、このいなかもの!」 「れいむみたいなゆっくりできるゆっくりをすてるにんげんなんてこのよにいないよ!」 「まりささまたちはいえでゆっけりだぜ!」 「は?」 聞くところによるとこいつらは仲良しグループで4匹とも飼い主の愚かさに絶望し家出をしたそうだ。 別に聞きたくはないがゆっくり共は家出をした理由を話し出した。 れいむは子供が欲しかったが飼い主に反対されていた。 我慢できなくって家に来た飼いゆっくりのちぇんとすっきりをした。子供が出来たのはちぇんの方だったがれいむは満足した。 だが、飼い主は物凄く怒り茎に付いていたれいむにのおちびちゃんを潰した。れいむはあまりの怒りに家を出たそうだ。 まりさは元気に遊んでいたら奴隷のガキ、つまり飼い主の子供がまりさのゆっくりプレイスに入って来た。 少しせいさいしていたら飼い主の平手打ちを喰らったそうだ。まりさは家出を決意した。 ありすはとかいはなコーディネートをしていたらしく会心の出来だと喜んでいたら飼い主が帰って来た。 コーディネートを誉めてくれると思ったありすだが、来たのは罵倒と蹴りであった。 いなかものだとは思っていたがここまでいなかものだとは思わなかったありすは家出をしたのだ。 ぱちゅりーはけんじゃな読書タイムを満喫していたところを飼い主が帰ってきた。 天才的な頭脳が疲れたのであまあまを要求したら飼い主がくれたのは殺意の篭った拳であった。 ぱちゅりーは余りにも愚かな奴隷に幻滅し家出をした。 自分達の話のゆへんとしている四匹。引っ立ている四匹を他所に俺はただ呆れていた。もう帰ろうとしたその時・・・。 「!?」 俺はあるゆっくりに目が止まった。四匹を無視しそのゆっくりの元に走った。 「おい!大丈夫か!?」 「じゃ・・・おおお・・・」 あまりの暑さで死にかけている銀バッチのめーりんを見つけた。 「ゆ!くずめーりんがいるよ!」 「むきゅ!まったくゆっくりしてないわね!」 「ほんとうにいなかものね!」 「かんだかいまりささまがいまらくにしてやるだぜ!」 めーりんの存在に気付いたゆっくりは罵倒し始める。だが・・・ 「うー!だまれ・・・!!」 「「「「ゆっ!?ふ、ふらんだあああああああああああああー!?」」」」 「だまらないと金バッチだろうがころす・・・!!」 「「「「ゆあああぁぁぁぁぁ・・・」」」」 突然現れたゆっくりふらんが四匹を睨み付ける。しーしーを盛大に漏らす四匹。 俺は急いで買ったスポーツ飲料をめーりんに飲ませた。すると渇いていた肌が元に戻っていく。表情もゆっくりしてきた。 辛そうだったふらんにも残りのスポーツ飲料を飲ませた。夜行性と思われているふらんだが一応昼も行動できる。 だが、この暑さは流石にしんどかったようだ。めーりんのバッチ番号を確認した俺は職場に電話をかけた。 「もしもし、職員の・・・○○か!ちょうどよかった!例のめーりん見つけたぞ。 容態は脱水をしていたがスポーツ飲料の飲ませたから今はもう大丈夫だ。 早く飼い主さんに・・・そこにいるのか。なら、場所は・・・」 現在地を説明し頼み事をして電話を切った。 「めーりん、すぐにお兄さんが向かいにくるぞ」 「じゃおお・・・」 「めーりん・・・」 どこか俯かない顔をするめーりん。ふらんは心配そうにめーりんに寄り添う。電話をして5分位経った頃。 四匹は小声でめーりんの悪口を言っている。ふらんが睨み付けで黙らせた。 目の前にスクーターが一台止まった。ヘルメットを取り、俺の元に凄い勢いで近づいて来た。 「めーりん!よかった・・・よかった!」 抱えていためーりんを受け取った途端、めーりんを抱きしめる青年。今にも泣き出しそうだ。 「じゃおおおおん!じゃおおおおおおん!!」 「いいんだよ・・・お兄さんも悪かったんだ・・・無事でよかったよ」 喋れないゆっくりであるめーりんと完全に意志疎通をしている。喋れないゆっくりと意志疎通が出来るのはかなり良い信頼関係を築いている証拠だ。 めーりんは家出ゆっくりであった。 青年の説明によれば、めーりんのお気に入りのクッション(お兄さんからの最初のプレゼントで一番の宝物)を青年は説明せずに洗濯してしまったらしい。 それを捨てられたと勘違いしためーりんは外へ飛び出してしまった。しばらく泣いていたが暗くなってしまい帰れなくなった。 途方にくれているとふらんが心配して話しかけて来た。めーりんは事情を説明するとふらんは巣に招き入れた。 友達になってくれた。めーりんは初めて友達が出来た。 翌朝、めーりんは家に帰ってお兄さんに謝ろうとふらんの巣を出た。だが、あまりの暑さに途中で動けなくなった。そこを俺に救われたと言っている。 ふらんも心配になって急いで後を追ったそうだ。追い付いた時、そこの四匹がめーりんを罵っているところだったので威嚇に入ったそうだ。 青年はめーりんを馬鹿にした四匹を冷たい目で睨んだ。四匹はその目に恐怖し、しーしーを流した。 だが、そいつらのことよりも今はめーりんが無事であったことが嬉しかった。 「本当にありがとうございます。なんとお礼を言えば・・・」 「いえ、これも仕事ですから。それにお礼はふらんに言ってあげてください。」 俺がそういうと青年はふらんにも深くお礼を言った。そして、ある提案した。 「ふらん、お世話になったのに一つ頼みがあるんだ。お兄さんとめーりんと一緒に暮らさないか?」 「うー!?」 その提案にふらんは驚いた。このめーりんはかなりの引っ込み思案で中々友達が出来なかった。 ふらんはそんなめーりんの初めての友達だ。出来れば一緒にいさせてやりたいと青年は考えた。 「じゃおおじゃおおおん!」 「めーりん・・・。」 完全には理解できないがめーりんが何を言いたいのか俺でも分かる。ふらんは顔をあげた。 「ふらんもめーりんと一緒にいたい!」 青年はめーりんとふらんを抱き抱え、俺にもう一度深くお礼を言って帰っていく。 見送ったあとに残ったのは俺と金バカの四匹が残った。 四匹はめーりんの姿を見て羨ましくなった。ゆっくりできないと蔑んでいためーりんのあのゆっくりとした光景には羨ましいと思えた。 「安心しろ、お前等のももう少しで来るから」 「「「「ゆ!?」」」」 俺の発言に驚いたがすぐに態度が戻る。 「そうだね!あのくずめーりんだってむかえにきってくれるんだよ」 「とかいはなありすたちだってとうぜんむかえにくるわ!」 「けんじゃなぱちぇがいなくなったんですもの!けっそうをかえてさがしているわ!」 「はやくくるだぜ!どれい!」 帰ったらどうするか迎えに来るのが遅かった奴隷をどう制裁するかを和気あいあいと話す四匹。 すると四匹は大きな影に包まれた。この影の主はきっと奴隷だと確信する四匹はくるっと後を向き「ゆっくりしていってね」を言おうとした。 心の広いれいむたちは遅れた奴隷に対して過ぎる言葉だったが自分達の最高のゆっくりしていってねを聞かせてやることにした。 「「「「ゆっくりしていって・・・ね?」」」 振り向いた先にいたのは飼い主ではなかった。そこにいたのは・・・ 加工場の制服を着ていた人間であった。 「先輩、休暇なのにお疲れ様です!」 「いや、これを放置していく訳にはいかないからな。」 突然、現れた加工場の人間と親しく話す俺を見て混乱する四匹。混乱していたが次の言葉で正気に戻させた。 「こいつらですか?処分届けがあったのは?」 「そう、ご丁寧に四匹一緒に俺に絡んできやがったよ。まあ、手間は省けたがな。」 「あー災難でしたね」 四匹に嫌な言葉が耳に入った。処分。それはペットショップで散々聞いた言葉。それになったものは永遠にゆっくりしてしまうこと。 「「「「どうじでじょぶんされるのー!!!?」」」」 「・・・お前等が散々奴隷とか吐かした人からの頼まれたんだよ、俺達」 「じじいはなにものなのぜ!?」 「俺か?俺は・・・」 後輩の一人が持っていた頼んだものを受け取り頭に被せた。 「俺は加工場の職員だ。ついでにいうとこの地区のリーダーさ。」 俺が被ったのは加工場の帽子だ。それを被った途端、四匹は目を見開いて静かになった。 「一応説明してやるよ、なんで処分されるかをな」 四匹は冷や汗をかき始めたが無視して続けた。 「まず、れいむ。他人の飼いゆっくりを無理矢理れいぷして子供を作らせた奴はもう面倒見切れないそうだ。 あ、お前がれいぷして出来た子供はちぇんの飼い主から引き取ってお兄さんが育ててるから安心しろ。でも、れいむ種は潰したらしいぞ。」 「ゆう?ゆう・・・?」 「まりさ。お前がせいさい!しようとしたのは飼い主の妹だ。妹を傷つけようとしたお前の顔なんて二度と見たくないって。 お前の遊び道具とか集めていたガラクタはもう捨てたってさ。」 「ま、まりさのたからものを・・・?」 「ありす、お前がとかいはなこーでぃねいとをしたせいで色々なものが駄目になったそうだ。 なによりも許せないのは飼い主の大切な品を無惨に壊したことだ。あんな田舎者ですらないありすなんていらないそうだ。」 「あ、ありすがいなかものいか・・・?」 「最後にぱちゅりー。お前が理解も出来ないくせに弄った本はべとべとでもう読めなくなったらしい。 その中には大切にしていたものもあったみたいでな。もうお前みたいな無能なゲロ袋はいらない!だって」 「ぱちぇば・・・むのう・・・?」 告げられたことがあまりにショックで無言になった。俺はお構いなくとどめの一撃を言い放った。 「れいぱー母性もげす帽子もいなかもの以下も無能で馬鹿なゲロ袋もいらない。つまり、お前は・・・」 四匹の付けていた金パッチをむしり取り俺の足元に落とした。 「自由な野良になったってことだよ」 足元に落としたバッチを原型が分からなくなる位踏み潰した。四匹は何も言えなかった。自分達の誇れることが既に跡もなく無くっていたという事実を突き付けられたからだ。 「さて、加工場に連れていてくれ。でもな・・・」 後輩に指示を出して俺は家に帰った。貴重な休日を堪能するために・・・。 あれからめーりんは幸せに暮らしている。もう二度と家ではしないだろう。 ふらんのお飾りにはめーりんと同じ銀バッチが輝いている。野良出身でありながら短期間で取れたのはめーりんと一緒がいいという思いが強かったからだろう。 お兄さんもめーりんだけでなくふらんにも愛情を注いだ。なんたって、めーりんの初めての友達であり・・・ 「「「めーりんー!ふらんー!遊ぼう~!」」」 「じゃあああん!」 「うー!うー!」 引っ込み思案だっためーりんを変えてくれる切欠を作ってくれたのだから。 他にもめーりんには友達が出来た。積極的に他のゆっくりとも交流をするようになった。 いつも一人ぼっちで寂しそうな顔をするめーりんはもういない。 めーりんとふらんには欠かせない日課がある。それはお昼寝をすることだ。 その寝顔はとてもゆっくりしていた。 飼い主のお兄さんは風邪を引かないように掛け布団を掛けてやる。 めーりんは天命を全うするまで幸せなゆん生を送ったという。 ・・・一方、あの四匹はというと 「んほほおおおおお!!!いいまむまむよれいむ!!!」「いやじゃああああ!!!しゅっきりしたくない!!!」 「まりざはずっぎりじだくないだぜ!!!!」「つんでれさんなのねー!!!!あんしんしてー!ありすがとかいはなあいをいっぱいそそいであげるわー!!!」 「やべでぇぇ!!!ありすがありすをおかさなでー!!!!」「いいわー!!このきんだんのすっきりみたいでとてもとかいはよー!!!!」 「びょうじゃくなばちゅりーがなんどやってもしなないなんてー!とかいはよー!!!」「むぎゃああああ!!!!??だれがばじゅりーをごろじでー!!!」 れいぱーありすによって無理やりすっきりさせられた揚句、薬によってすぐ赤ゆっくりが産まれるようになった四匹。 すっきりをして瞬く間に赤ゆっくりが産まれる。だが、4匹は産まれて来た我が子と「ゆっくりしていってね!」の挨拶を交わすことが出来ない。 「やべでぇぇぇ・・・!!まりざのあがじゃんいぎゃないでー!!!!」 「もどでぐぎで・・・!!ずりずりじようよ!おうだをうだおうよ・・・!!!(グシャ!)お、おじびじゃん・・・!!」 「ありずのどがいはなあがじゃんが!!(グシャ!)もうやべぇでー!!!(グシャ!)ゆぎゃあああああ!!!」 「ぱぢぇのけんじゃなおぢびじゃんが・・・!!やべぇで!お、おじびじゃん・・・!そんなべでみない(グシャ!)おじびじゃん!!!!」 何故なら産まれた我が子はペルトコンベアーに乗せられ商品の材料になったり、実験のための道具になったり、補食種の餌になったりと一切ゆっくり出来ず死んでいく。 断末魔や助けを呼ぶ声、なんで助けてくれないと言わんばかりの殺意の籠った目線を送る子どもや必死でいい子になると叫ぶ子供がいる。 助けることが出来ない四匹は泣く暇もなくすっきりをし続ける。 すっきりが終わり、牢屋に近い入れられても四匹には休める訳がなかった。 「よぐもまりささまをだまじだな!!!このクソどもがー!!!!」 「じね!じね!れいむたちをだまじだゲスはじね!!」 「なにがかいゆっくりにしてやるだ!!!なにがごはんをめぐんでやるだ!!!」 四匹以外にもゆっくりは多く入れられている。それらのゆっくりは殺意をこもった罵倒と攻撃を繰り出す。 「やべぇで・・・!!もうやべぇで!!!」 「ゆっぐりじだいよ・・・!!ゆべぇ!!?」 「ありすのかみのけんさんひっぱらな(ブチ!)ああああ!!!」 「どうじでえれえれできないの!!!??(ドゴ)むぎゃああああ!!!」 四匹にはエレエレ防止用の薬と非ゆっくり症防止用の薬を打たれているので簡単には死ねなくなっている。 何故ここまで恨まれているのか。それはこの四匹が家出をしていた時に遡る。 四匹は餌には困らなかった。何故なら野良にとっては上級のごはんを食べることが出来ていたからだ。(飼いゆっくりの頃のごはんに比べればレベルが低いが) 餌を多く集められるゆっくりから貰っていたのだ。ある提案をして・・・ 「まりささまたちにごはんさんをくれたやつはいえにもどったらどれいにかいゆっくりにしてもらうようにたのんでやるのぜ」 「かいゆっくりがだめでもおいしいごはんをもってきてあげるわ。どう?とかいはなはなしでしょ?」 「でも、おいしいごはんじゃないとだめだよ!いっぱいくれたゆっくりにはどれいにつよくめいれいするよ!」 「かいゆっくりになれなくてもおいしいごはんさんはてにはいるのよ!とてもけんじゃてきでしょう?」 野良ゆっくりたちはその提案を信じた。勿論金バッチを付けていたのは大きい。 最高級のご馳走といえるべきご飯を四匹に渡したのだ。 野良にとっては飼いゆっくりになれるかもしれないというのは又とないチャンスなのだ。 だが、餌を渡したゆっくりたちは裏切れた。しかも最悪なことに渡していたゆっくり全員が加工所に捕まったのだ。 そこで出会ったのはあの四匹だ。野良達は理解してしまった。こいつ等はもう金バッチの飼いゆっくりではないことを・・・ 散々利用されたという怒りが爆発し、この様に四匹はストレス解消のサンドバックになったのだ。 食べ物をくれたゆっくりの殆ど処分されても今度は残ったゆっくりには「捨てられた飼いゆっくり」と罵られるようになった。 ボコボコにされた四匹は飼い主を罵倒する。 自分達を捨てたことを罵倒した。奴隷としての役目を果たしていないことを罵倒した。 それが四匹にとってのストレス解消法なのだから。 ・・・ポチ・・・ 職員が四匹の前にテレビをつけた。そこに映っていたのは・・・奴隷と言っていた飼い主と・・・見知らぬゆっくりであった。 とても楽しそうにゆっくりしている飼い主と見知らぬゆっくり。 今まで奴隷のあんな楽しそうな顔を見たことが無い四匹は少しフリーズしていった。 「「「「――なんだあの「お前らの元飼い主の新しいゆっくりだよ」ゆ!!?」」」」 新しいゆっくりという言葉にまたフリーズする四匹。お構いなしに職員は続けた。 れいむの元飼い主と一緒にいるちぇんは、れいむがちぇんをレイプして作った子供だ。お兄さんはちぇんの飼い主から謝罪を込めて引き取ったのだ。 飼い主の持つ猫じゃらしを一生懸命追いかけるちぇん。その姿を見てお兄さんはとてもゆっくりした顔をしている。 まりさの元飼い主と一緒にいるさなえは、怪我をしているところを加工所が保護したゆっくりであった。まりさの代わりにと加工所がそれ程高くない値段で提供した。 さなえと一緒に歌を歌う飼い主の妹。その光景はとても楽しそうであった。お姉さんは楽しそうにしている妹の姿を見てとても優しい笑顔をしている。 ありすの元飼い主と一緒にいるさくやは、飼い主のお爺さんが死んで途方に暮れていたところを保護された。ありすの元飼い主に試しにとさくやを提供した。 お兄さんはさくやを気に入り正式に飼いゆっくりにした。今は一緒になって部屋の掃除をしている。だが、お兄さんは楽しそうであった。 ぱちゅりーの元飼い主と一緒にいるぱちゅりーは、とても利口であった。あの後、知り合いからぱちゅりーの子供を引き取ったらしい。 今度は失敗しないと頑張ろうとしたお姉さんだが、元から優秀であったぱちゅりーにその決意は必要なかった。 ぱちゅりーに本を読んであげるお姉さん。一生懸命聞くぱちゅりーの姿を見てこれからの成長を楽しみにしている。 「「「「・・・」」」」 映像が終わり、真っ黒の画面を唯見続ける四匹。正直、この生活はいつか終わると思っていた。 奴隷が結局、自分達を引き取りに来ると考えていたからだ。だが、この映像を見て確実に確定してしまったものがある。 迎えに来るなんてことはこの世が滅んでも絶対にあり得ないと。だって、奴隷・・・飼い主は新しいゆっくりと幸せにしているのだから。 四匹は見たことが無かった。新しいゆっくりに向ける優しく暖かくほほ笑む飼い主の姿を・・・。 「ご、ごめんなざい!!!!ぜんぶれいぶがわるがだでず!!!!」 「ばりざがじょうじごいでまじだ!!!いいごになるがらだずげでぐだざいいい!!!!」 「ありずがいながものでじだ!!もうごーでぃねいどなんでじまぜんがら!!!!!」 「ばちゅはむのうでおおばかものでじだ!!!おりごうにながるがら!!なるがら!!!」 この状況を脱出することが出来ないと理解してしまった四匹は掌を変えた様に謝りだした。 チャイムが鳴る。このチャイムが鳴るということは地獄の開始であることが四匹の芯に植えつけられたいた。 部屋に入ってきた職員に連れて行かれながらも四匹は謝り続けた。だが、無意味にも程がある・・・。 飼い主たちの頭には前のゆっくりのことなんて微塵も残っていない。だって、今自分にとてもゆっくりできるゆっくりがいるのだから・・・。 テレビをつけた職員は帽子・・・いや、俺は帽子をとった。 「散々好き勝手してきいたツケだ、馬鹿どもが。それと・・・」 俺は四匹に向かって舌を出した。 「俺の休みを邪魔した罰だよ。死ぬまでゆっくりしていきな」 そういって俺は再び帽子を被り、仕事へと戻っていた。 家出をした代償として四匹は、誰からも優しくされず激痛と苦悩を強いられるゆん生を支払うことになった・・・。 四匹は仲良く加工場という地獄で天命を全うさせられた。 家出をしたゆっくりの結末は二つに分けられる。 一つはお互いの大切さを再認識しより良い仲を築いていける結末。 もう一つは、完全に見限られ栄光の生活は崩壊に惨めで愚かな姿になるという結末。 四匹は、飼い主に感謝をせず奴隷と言い続けた挙句、飼い主を失望させる地雷を自ら踏みぬいた。明かなる自業自得である。 自分の愚かさを理解してももう遅すぎる。何故なら、一度失った信頼を回復させるなど奇跡に近いからだ。 それがゆっくりなら尚更である。 ~E N D~ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき 五作目です。如何だったでしょうか? 基本種4匹のゲスを酷い目に遭わせるのって楽しいね!という感覚で作ってみました。 前回は長過ぎたので今回は20KB位に抑えてみました。読みやすかったでしょうか? 楽しんでいただけて、尚且つすっきりできたら幸いです。 それではお読みになられた方に感謝をしつつ、手短いですが今回はこの辺で・・・。 過去作 ・1856「条件」 ・1907「嫌われた代償と招く幸福(前編)」 ・1914「嫌われた代償と招く幸福(中編)」 ・1957「嫌われた代償と招く幸福(後編)」
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ゆっくりいじめ系1920 ダメな子 3より続く お母さんが見てくれている! あの優しくてゆっくりしていた、れいむのお母さんは、 今でもれいむのことをゆっくり見守ってくれている! 駆け出したい、跳ね回りたい、その気持ちを、れいむは抑えていた。おつむの後ろの 傷が、まだ痛いからだ。先ほどちょっと跳ねただけで、凄く痛い。今もまだ、ずきずき してる。 「ゆぅ〜……こんなに痛いと、ゆっくりできないよ……お山へは、ゆっくり帰るよ」 れいむは、ゆっくりと這うように進んでいた。 今は夜で、辺りも空も暗い。お月様も出ていない。進んでいるのは、来たときとは別 の道だが、遠くにお山の黒々とした姿が見える。だから、あそこへ向かって進めばいい のだ。 それにこの道は、土が軟らかくて怪我をして疲れた体には、ゆっくりと優しかった。 頭はずきずきと痛いけど、心がふんわりと温かく、ゆっくりとしていた。 それはきっと、お母さんが見守っていてくれるからに違いない。そして、れいむがそ のことに気付けたから、お母さんもゆっくりしていて、それが伝わってくるからに違い ない。 そう思った。だから、嬉しくて駆け出したい。嬉しくて、お空からよく見えるように 飛び跳ねたい。 ふと横を見れば、ちょっと離れたところに、ゆっくり出来そうな草かなにかが生えて いる。多分、お野菜さんだろう。でも、今はご飯を食べている場合じゃない。 れいむに怖い思いをさせて、怪我までさせた酷いお兄さんだけど、今もお空からお母 さんは見守ってくれているという言葉は、信じてあげても良いと思った。 そして、そんな素敵な──とてもゆっくりした──ことを教えてくれたお兄さんなら、 あのこともきっと本当に違いないのだ。 『ゆっくりしたければ、人間の里には近づくな』 その通りだと思う。今日一日、酷い目にあった。 「人間達のところへ行って、人間達が独り占めしてるいろいろなものを、取り返そう」 そう言ったのは、誰だったか。れいむ以外であることは、間違いない。言い出すのは、 いつもあの三人の誰かだったのだから。 強い自分に任せれば大丈夫だと言っていた、まりさ。 賢い自分が思いついた素晴らしい策戦だと言っていた、ぱちゅりー。 とかいはな自分と一緒に来ても良いのよと言っていた、ありす。 駆けっこしても、れいむと同じくらいなのに、自分が一番だと言い張ってばかりの、 まりさ。 役に立たないことばかりを言うのに、賢い自分に従えばいいんだといつも偉そうな、 ぱちゅりー。 すぐに気持ち悪い顔になるクセに“とかいは”と言い、人の外見にはケチをつける、 ありす。 あんなゆっくり出来ない連中でも、お友達だから一緒にゆっくりしなくちゃいけない と思っていた。それは、お母さんの言葉があったからだ。 でも、ゆっくり出来ない相手なら、それはお友達じゃない。 まりさは、なにも考えてなくて、本当は誰かに言われるままで、本当は素早くも強く もない。弱くてバカで格好悪い。 ぱちゅりーは、言うことが全部間違ってばかりで、考えてることも間違いだらけだ。 体が弱くてバカだなんて、救いがない。 ありすは、なんでも“とかいは”と言っていれば良いと思っていて、しかも自分じゃ なんにも出来ない。無能なおバカ。そして、きっとレイパーになる。 ちっともゆっくり出来ない三人だ。でも、れいむはそれを言葉にしない。口にしちゃ いけない。 お母さんが、ゆっくり出来ない言葉を言っちゃ駄目と教えてくれたから。そんな言葉 は、聞いている人も言っている自分も、ゆっくり出来なくなる。 優しく、優しく、何度も教えてくれた、優しくてゆっくりしたお母さんの教え。 どうして忘れていたんだろう。でも、思い出せた。大切なことを思い出せたことだけ が、今回の良かったところだ。 山へ戻って、これからはずっとゆっくりしよう。人間には近づかず、ずっとゆっくり しよう。 そう思っていると、誰かがこちらへ近づいてくるのが見えた。 大慌てで、飛び跳ねながらこちらへ向かってくる。何があったのだろう? 暗い夜の闇の中、白い包帯が見え、丸い帽子が見え、帽子についたお星様と同じ形の 飾りが見えたてきた。 一生懸命れいむに向かってくるのは、めーりん種だ。しかも、あのお家にいた弱い子 だ。 でも、れいむはもう“よわい”なんて言わない。きっとこれも、ゆっくり出来ない言 葉だから。 「ゆゆっ! そうだ! れいむが教えてもらったことを、教えてあげたら喜ぶかもしれ ないよ!」 お兄さんから、教えてもらった大切なことを、教えてやろう。『れいむが教えてあげ るから、ゆっくり聞いて、ゆっくり理解してね、クズめーりん』と。 きちんと話しかけたら、クズめーりんはどんなに喜ぶだろう。 人間さんには勝てないけれど、ゆっくりの中でなら、れいむはとてもゆっくりとした ゆっくりなのだ。ゆっくり中のゆっくりだ。 そのれいむが、クズめーりんのために教えてやる。 きっと喜ぶに違いない。 友達になりたいと、クズめーりんは思うかもしれない。 なってあげても良い。クズめーりんじゃ、れいむはあんまりゆっくり出来ないかもし れないけど、もしゆっくり出来なかったら…… 「その時は、まりさ達と同じように、友達をやめれば良いだけなんだよ♪」 だから、どうしてもと言われたら、友達になってやろう。自分は、優しくてゆっくり したお母さんの子供なのだから。 「クズめーりん! ゆっくりしていってね!」 まずは、ご挨拶からだ。とてもゆっくりした素敵な自分のご挨拶なら、きっと喜ぶに 違いない。 遠くから、悲鳴が聞こえる。お家の方からだ。 先ほどから、声はありすのものになっているようだ。あの、嫌な目をしていたありす が“あにじゃ”にお仕置きされているに違いない。 自分がやっつけたかった。 めーりんはそう思い、また悔しさがこみ上げてきた。 悔しくて、ずっと眠れなかったのだ。 “あにじゃ”が「眠るのも仕事」と言ったから、頑張って眠ろうとしたのだけれど、 頑張れば頑張るほど、眠れなくなった。 お家を守るのが自分のお仕事なのに、お家の裏口が壊されて、お部屋の中がグチャグ チャにされた。 戦おうとしたけれど、弱い自分ではあの四人に歯が立たなかった。 弱い自分が悔しくて、眠れない。 でも、それだけじゃない。 『怪我が治ったら、頑張って強くなろうな』 今からそのことを考えると、体がわくわくとしてくる。 “あにじゃ”が言うのなら、きっと強くなれる。めーりんはどんなことでも我慢して、 きっと強くなろうと思っていた。 強くなった自分の姿が、楽しみだった。強くなった自分を見て、褒めてくれる“あに じゃ”を思うと、いてもたってもいられない。 “あにじゃ”は、怖い。 畑荒らしや家荒らしのゆっくりを捕まえたときは、本当に怖い。 “あにじゃ”のお仕置きは、とても痛そうで、とても苦しそうで、たいていのゆっく りは『もう殺してください』と言う。言いながら、責め続けられ、言いながら、死んで いく。 だからめーりんは、悪いゆっくりは“あにじゃ”が捕まえる前に自分がやっつけよう と、いつも思っていた。 実際に、何度かやっつけた。 同じゆっくりを殺すのは、とても悲しくて、潰したゆっくりがずっと体に張り付いて いるようで、心にもへばり付いているようで、ずっと嫌な気持ちが続いた。 だけど、“あにじゃ”はとても優しい。 怪我をしたときは、今日のように手当てをしてくれる。戦いに汚れて、めーりんが俯 いていると、優しい手で綺麗にしてくれる。 “あにじゃ”の手はごつごつでザラザラだけど、めーりんにとっては大好きな手だっ た。 あの手で綺麗にしてもらうと、体と心に張り付いていた嫌なものが、全て綺麗に取れ てしまう気がするから、とても不思議な手だと思っていた。 その手を床について、“あにじゃ”はお願いしてくれたのだ。 “あにじゃ”とめーりんの、大切なお家と畑を……大切なゆっくりぷれいすを、守っ て欲しいと。 あの日のことは、絶対に忘れない。あの日、体の内側から沸き上がってきた不思議な 震えと暖かさを、絶対に忘れることはないだろう。 あれが喜びだったのだ。 「じゃお……!?」 休めないなら、せめて畑を見ていよう。そう思ったはずなのに、考え事をしていて気 がつけなかった。 危ない。自分はまた失敗をするところだった。 「じゃ……じゃお……!」 包帯に押さえられた体が、上手に動かない。でも、この包帯がめーりんの傷を守って くれる。だから、動けるはずだ。 痛みを感じて強くなる「ゆっくりしたい」という本能を、「守るべき場所を守る」と いうもう一つの本能が押さえ込む。 “あにじゃ”が作ってくれた、とてもゆっくりした寝床から、めーりんは飛び降りた。 「じゃおぉぉぉ……んん……!」 飛び降りた衝撃で、体中がバラバラになりそうに痛む。特に、怪我をしたところから 体が二つに裂けそうなほどだ。 痛くても、叫べない。叫べば、気付かれるからだ。 畑に入り込んだ、ゆっくりがいる。“あにじゃ”は、ありす達のお仕置きで忙しい。 畑を守るのは、自分しかいない。自分が守るべき場所だから、自分の力で守る。 飛び跳ねる度に、体を引き裂かれるような痛みが走った。でも、それもすぐに気にな らなくなる。 自分は“あにじゃ”にお願いされたのだ。畑を守るのだ。だから、痛みなんて邪魔な だけだ。 「クズめーりん! ゆっくりし 「じゃぉおおおおおおおおおっ!!」 大きく飛び跳ねた。傷口が開き、自分の中身が零れていくことも構わなかった。邪魔 な痛みは、もう感じない。やるべきことだけが目の前にある。 中身が零れようと構わない。戦うために、この場所を守るために体が動けばそれで良 いのだ。 もう、前のような失敗はしない。挨拶のフリをして笑いながら「ゆっくりしね」と言 われて、ビックリしていたら袋叩きにされた。あんな失敗は、もうしない。 飛びかかり、歯を押し当てるようにして体当たりをした。めーりんが、ありすにやら れて一番酷い怪我をした攻撃だった。 れいむの体当たりより、まりさの体当たりより、ありすのその攻撃が一番効いた。だ から、めーりんはしっかりと憶えていたのだ。 「ゆがぁあああっ!? なにするの、クズめーりんっ!? せっがぐでいぶが、ゆっぐ りでぎるごどをおじえであげようとじだのにぃいいいい!」 耳を貸す必要はない。実際に何も聞こえない。聞こえなくてちょうど良い、邪魔なだ けだ。どうせ酷い呼び方をしているだけだ。 自分の耳に響くのは、“あにじゃ”の優しい呼びかけだけだ。 だから。そのために。 「じゃぉおおおおおおおんっ!!」 「おんじらずのぐずべーり゛ん゛は゛ゆ゛っ゛く゛り゛し゛ね゛ぇ゛え゛え゛え゛!」 ゆっくりいじめ系1922 ダメな子 5に続く
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ゆっくりいじめ系1920 ダメな子 3より続く お母さんが見てくれている! あの優しくてゆっくりしていた、れいむのお母さんは、 今でもれいむのことをゆっくり見守ってくれている! 駆け出したい、跳ね回りたい、その気持ちを、れいむは抑えていた。おつむの後ろの 傷が、まだ痛いからだ。先ほどちょっと跳ねただけで、凄く痛い。今もまだ、ずきずき してる。 「ゆぅ?……こんなに痛いと、ゆっくりできないよ……お山へは、ゆっくり帰るよ」 れいむは、ゆっくりと這うように進んでいた。 今は夜で、辺りも空も暗い。お月様も出ていない。進んでいるのは、来たときとは別 の道だが、遠くにお山の黒々とした姿が見える。だから、あそこへ向かって進めばいい のだ。 それにこの道は、土が軟らかくて怪我をして疲れた体には、ゆっくりと優しかった。 頭はずきずきと痛いけど、心がふんわりと温かく、ゆっくりとしていた。 それはきっと、お母さんが見守っていてくれるからに違いない。そして、れいむがそ のことに気付けたから、お母さんもゆっくりしていて、それが伝わってくるからに違い ない。 そう思った。だから、嬉しくて駆け出したい。嬉しくて、お空からよく見えるように 飛び跳ねたい。 ふと横を見れば、ちょっと離れたところに、ゆっくり出来そうな草かなにかが生えて いる。多分、お野菜さんだろう。でも、今はご飯を食べている場合じゃない。 れいむに怖い思いをさせて、怪我までさせた酷いお兄さんだけど、今もお空からお母 さんは見守ってくれているという言葉は、信じてあげても良いと思った。 そして、そんな素敵な──とてもゆっくりした──ことを教えてくれたお兄さんなら、 あのこともきっと本当に違いないのだ。 『ゆっくりしたければ、人間の里には近づくな』 その通りだと思う。今日一日、酷い目にあった。 「人間達のところへ行って、人間達が独り占めしてるいろいろなものを、取り返そう」 そう言ったのは、誰だったか。れいむ以外であることは、間違いない。言い出すのは、 いつもあの三人の誰かだったのだから。 強い自分に任せれば大丈夫だと言っていた、まりさ。 賢い自分が思いついた素晴らしい策戦だと言っていた、ぱちゅりー。 とかいはな自分と一緒に来ても良いのよと言っていた、ありす。 駆けっこしても、れいむと同じくらいなのに、自分が一番だと言い張ってばかりの、 まりさ。 役に立たないことばかりを言うのに、賢い自分に従えばいいんだといつも偉そうな、 ぱちゅりー。 すぐに気持ち悪い顔になるクセに“とかいは”と言い、人の外見にはケチをつける、 ありす。 あんなゆっくり出来ない連中でも、お友達だから一緒にゆっくりしなくちゃいけない と思っていた。それは、お母さんの言葉があったからだ。 でも、ゆっくり出来ない相手なら、それはお友達じゃない。 まりさは、なにも考えてなくて、本当は誰かに言われるままで、本当は素早くも強く もない。弱くてバカで格好悪い。 ぱちゅりーは、言うことが全部間違ってばかりで、考えてることも間違いだらけだ。 体が弱くてバカだなんて、救いがない。 ありすは、なんでも“とかいは”と言っていれば良いと思っていて、しかも自分じゃ なんにも出来ない。無能なおバカ。そして、きっとレイパーになる。 ちっともゆっくり出来ない三人だ。でも、れいむはそれを言葉にしない。口にしちゃ いけない。 お母さんが、ゆっくり出来ない言葉を言っちゃ駄目と教えてくれたから。そんな言葉 は、聞いている人も言っている自分も、ゆっくり出来なくなる。 優しく、優しく、何度も教えてくれた、優しくてゆっくりしたお母さんの教え。 どうして忘れていたんだろう。でも、思い出せた。大切なことを思い出せたことだけ が、今回の良かったところだ。 山へ戻って、これからはずっとゆっくりしよう。人間には近づかず、ずっとゆっくり しよう。 そう思っていると、誰かがこちらへ近づいてくるのが見えた。 大慌てで、飛び跳ねながらこちらへ向かってくる。何があったのだろう? 暗い夜の闇の中、白い包帯が見え、丸い帽子が見え、帽子についたお星様と同じ形の 飾りが見えたてきた。 一生懸命れいむに向かってくるのは、めーりん種だ。しかも、あのお家にいた弱い子 だ。 でも、れいむはもう“よわい”なんて言わない。きっとこれも、ゆっくり出来ない言 葉だから。 「ゆゆっ! そうだ! れいむが教えてもらったことを、教えてあげたら喜ぶかもしれ ないよ!」 お兄さんから、教えてもらった大切なことを、教えてやろう。『れいむが教えてあげ るから、ゆっくり聞いて、ゆっくり理解してね、クズめーりん』と。 きちんと話しかけたら、クズめーりんはどんなに喜ぶだろう。 人間さんには勝てないけれど、ゆっくりの中でなら、れいむはとてもゆっくりとした ゆっくりなのだ。ゆっくり中のゆっくりだ。 そのれいむが、クズめーりんのために教えてやる。 きっと喜ぶに違いない。 友達になりたいと、クズめーりんは思うかもしれない。 なってあげても良い。クズめーりんじゃ、れいむはあんまりゆっくり出来ないかもし れないけど、もしゆっくり出来なかったら…… 「その時は、まりさ達と同じように、友達をやめれば良いだけなんだよ♪」 だから、どうしてもと言われたら、友達になってやろう。自分は、優しくてゆっくり したお母さんの子供なのだから。 「クズめーりん! ゆっくりしていってね!」 まずは、ご挨拶からだ。とてもゆっくりした素敵な自分のご挨拶なら、きっと喜ぶに 違いない。 遠くから、悲鳴が聞こえる。お家の方からだ。 先ほどから、声はありすのものになっているようだ。あの、嫌な目をしていたありす が“あにじゃ”にお仕置きされているに違いない。 自分がやっつけたかった。 めーりんはそう思い、また悔しさがこみ上げてきた。 悔しくて、ずっと眠れなかったのだ。 “あにじゃ”が「眠るのも仕事」と言ったから、頑張って眠ろうとしたのだけれど、 頑張れば頑張るほど、眠れなくなった。 お家を守るのが自分のお仕事なのに、お家の裏口が壊されて、お部屋の中がグチャグ チャにされた。 戦おうとしたけれど、弱い自分ではあの四人に歯が立たなかった。 弱い自分が悔しくて、眠れない。 でも、それだけじゃない。 『怪我が治ったら、頑張って強くなろうな』 今からそのことを考えると、体がわくわくとしてくる。 “あにじゃ”が言うのなら、きっと強くなれる。めーりんはどんなことでも我慢して、 きっと強くなろうと思っていた。 強くなった自分の姿が、楽しみだった。強くなった自分を見て、褒めてくれる“あに じゃ”を思うと、いてもたってもいられない。 “あにじゃ”は、怖い。 畑荒らしや家荒らしのゆっくりを捕まえたときは、本当に怖い。 “あにじゃ”のお仕置きは、とても痛そうで、とても苦しそうで、たいていのゆっく りは『もう殺してください』と言う。言いながら、責め続けられ、言いながら、死んで いく。 だからめーりんは、悪いゆっくりは“あにじゃ”が捕まえる前に自分がやっつけよう と、いつも思っていた。 実際に、何度かやっつけた。 同じゆっくりを殺すのは、とても悲しくて、潰したゆっくりがずっと体に張り付いて いるようで、心にもへばり付いているようで、ずっと嫌な気持ちが続いた。 だけど、“あにじゃ”はとても優しい。 怪我をしたときは、今日のように手当てをしてくれる。戦いに汚れて、めーりんが俯 いていると、優しい手で綺麗にしてくれる。 “あにじゃ”の手はごつごつでザラザラだけど、めーりんにとっては大好きな手だっ た。 あの手で綺麗にしてもらうと、体と心に張り付いていた嫌なものが、全て綺麗に取れ てしまう気がするから、とても不思議な手だと思っていた。 その手を床について、“あにじゃ”はお願いしてくれたのだ。 “あにじゃ”とめーりんの、大切なお家と畑を……大切なゆっくりぷれいすを、守っ て欲しいと。 あの日のことは、絶対に忘れない。あの日、体の内側から沸き上がってきた不思議な 震えと暖かさを、絶対に忘れることはないだろう。 あれが喜びだったのだ。 「じゃお……!?」 休めないなら、せめて畑を見ていよう。そう思ったはずなのに、考え事をしていて気 がつけなかった。 危ない。自分はまた失敗をするところだった。 「じゃ……じゃお……!」 包帯に押さえられた体が、上手に動かない。でも、この包帯がめーりんの傷を守って くれる。だから、動けるはずだ。 痛みを感じて強くなる「ゆっくりしたい」という本能を、「守るべき場所を守る」と いうもう一つの本能が押さえ込む。 “あにじゃ”が作ってくれた、とてもゆっくりした寝床から、めーりんは飛び降りた。 「じゃおぉぉぉ……んん……!」 飛び降りた衝撃で、体中がバラバラになりそうに痛む。特に、怪我をしたところから 体が二つに裂けそうなほどだ。 痛くても、叫べない。叫べば、気付かれるからだ。 畑に入り込んだ、ゆっくりがいる。“あにじゃ”は、ありす達のお仕置きで忙しい。 畑を守るのは、自分しかいない。自分が守るべき場所だから、自分の力で守る。 飛び跳ねる度に、体を引き裂かれるような痛みが走った。でも、それもすぐに気にな らなくなる。 自分は“あにじゃ”にお願いされたのだ。畑を守るのだ。だから、痛みなんて邪魔な だけだ。 「クズめーりん! ゆっくりし 「じゃぉおおおおおおおおおっ!!」 大きく飛び跳ねた。傷口が開き、自分の中身が零れていくことも構わなかった。邪魔 な痛みは、もう感じない。やるべきことだけが目の前にある。 中身が零れようと構わない。戦うために、この場所を守るために体が動けばそれで良 いのだ。 もう、前のような失敗はしない。挨拶のフリをして笑いながら「ゆっくりしね」と言 われて、ビックリしていたら袋叩きにされた。あんな失敗は、もうしない。 飛びかかり、歯を押し当てるようにして体当たりをした。めーりんが、ありすにやら れて一番酷い怪我をした攻撃だった。 れいむの体当たりより、まりさの体当たりより、ありすのその攻撃が一番効いた。だ から、めーりんはしっかりと憶えていたのだ。 「ゆがぁあああっ!? なにするの、クズめーりんっ!? せっがぐでいぶが、ゆっぐ りでぎるごどをおじえであげようとじだのにぃいいいい!」 耳を貸す必要はない。実際に何も聞こえない。聞こえなくてちょうど良い、邪魔なだ けだ。どうせ酷い呼び方をしているだけだ。 自分の耳に響くのは、“あにじゃ”の優しい呼びかけだけだ。 だから。そのために。 「じゃぉおおおおおおおんっ!!」 「おんじらずのぐずべーり゛ん゛は゛ゆ゛っ゛く゛り゛し゛ね゛ぇ゛え゛え゛え゛!」 ゆっくりいじめ系1922 ダメな子 5に続く
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めーリンガル 9KB 虐待-普通 愛で ギャグ 小ネタ 飼いゆ ゲス ドスまりさ 希少種 ペットショップ 現代 初の純粋な(?)愛でに挑戦です。 めーリンガルという物が販売された。 これはめーりんの様に喋れないゆっくりが何を言っているのか解るという物だ。 喋れないから良いんだ、という意見もあるだろうが、 めーりんを飼っている俺としては、何を喋っているのか興味がある。 そこで早速これを購入、めーりんに使ってみることにした。 めーりんの場合 「じゃおん!」(おはよう!) 「じゃおじゃおぅ」(まだ少し眠いよ) 「じゃおぉぅ?」(ご飯を食べたら一緒にお昼ねしてくれる?) ………これは想像以上の破壊力だ。 めーりん好きの俺にとっては、今世紀最大の発明といっても良いだろう。 早速友人を巻き込んで「めーリンガル」で遊ぶ事にしよう。 みょんの場合 友人が遊びに来るまで暇なのでもう一匹の飼ゆ、みょんにも使ってみる事にする。 「めーリンガル」は様々な種類のゆっくりにも対応している。 普段、卑猥な言葉しか喋らないみょんだが、いったい何を言っているんだろう? 「ちーんぽ!」(お兄さんだ!) 「おまえちんこでかっ!」(今日はお休みなの?) 「えろほん、きんたま、しこるすきー!!」(ご飯食べたら、遊んでね!) 意外と普通のことを喋っているんだな……… 金バッチの場合 友人が金バッチれいむを連れてきた、通常のゆっくりはどういう反応になるのか興味があったからだ。 このれいむは流石金バッチといった感じの優良ゆっくりだ。友人にも俺にも懐いている。 さあ、喋れるゆっくりにはどういう反応があるのか…? 「ゆゆっ!おにいさんこんにちは!おひさしぶりだね!」(またこいつか、もう顔も見飽きた) 「めーりんもこんちにわ!ゆっくりしていってね!」(くずのめーりんだよ!ゆっくりできないよ!) 「じゃおおん!」(ゆっくりしていってね!) 「おにいさん、れいむにきをつかわなくていいよ!ゆっくりしていってね!」(何してる、さっさとあまあま持って来い!) 「ゆゆっ!どうしたのおにいさん?」(アホ面みせるな、さっさと動け) 「………」 「………」 「…お前のれいむって実はゲスか?金ゲスなのか?」 「…そんな…はずはない…と思うけど…」 「でかまらほうけい?」(どうしたの、お兄さん?) 「ゆっ!みょん、ゆっくりしていってね」(ちんぽしか喋れない、無能ゆっくりが来たよ!) 「ちーんぽ!」(ゆっくりしていってね!) 「………」 「………」 「……お前、加工所行き決定な!」 「どおしてそんなこというのぉぉぉぉぉぉぉ!!」(なんだと!くそじじい!) ゲスの場合 「…まあ、そう落ち込むなよ」 「………」 とりあえず、ゲス容疑が掛かけられたれいむはケースに閉じ込められている。 いろいろ騒いでいるが、まあ気にしないで置く。 「まあ、一応あれも用意してあるんだが…」 「……せっかくだから、俺のれいむと比較してみるか」 「はなすんだぜぇぇ!!このくそにんげん!」(放してね、人間さん!) 「どうしてれいむが、かこうじょいきなのぉぉぉ!」(くず人間、れいむを敬え!) 「………なんだこれ?」 一応野良ゲスも用意しておいたんだが…… この機械、壊れているのか? だが、めーりんやみょんの会話がちゃんと聞けたし… 翻訳機能がおかしいのか? 「ぶれいなくそにんげんだぜ!まりささまにきやすくさわるんじゃないんだぜ!」 (まりさは弱いからすぐ怪我をしちゃうんだよ、あんまり強く持たないでね) 「ゆ!このまりさはなに?のらなの?のらはゆっくりできないよ」(薄汚い野良だね、ゆっくり死ね!) 「………」 「……やっぱりお前、加工所行き決定な!」 「どぼじでぇぇ?!」(なぜだ!) 野生の場合 「めーリンガル」の更なる機能を確かめるため俺達は近くの山に向かった。 話ではこの辺りにドスの居る群れがあるらしい。 善良な群れのようで、人里には降りてこないこと、畑に侵入しないことなどを約束したそうだ。 ちなみに金れいむは少し痛い目にあわせたら、ゲスの本性を現した。 とりあえず、野良まりさと一緒に加工所に送っておいた。 「たしか、このあたりなんだが…」 「ゆゆっ!にんげんさんこんにちは!どうしたの?」 「この辺りにドスの群れがあるだろ?案内してくれ」 「ゆぅ…なんのごようなの?」 「大した事じゃないんだ、危害も加えるつもりもないし」 「ゆん!わかったよ、案内するよ」 「めーリンガル」を使っておけば良かったと思いつつ、群れに案内してもらう。 「ゆ!にんげんさんこんにちは!どすになにかごよう?」(こんにちは、にんげんさん!) 「こんにちは………ふーむ、普通の反応だな」 「やっぱりこの機械が正しいのか?」 「むきゅ!どす、にんげんさん、どうしたの?」(嫌な奴らが居るわ) 「………」 「…ドス、このぱちゅりーは?」 「このぱちゅりーはどすのほさだよ、おしごとをてつだってもらっているんだよ」 (このぱちゅりーは、ドスの為に働いてくれるんだよ優しいよ) 「むきゅ、てつだっているってほどでもないわ」(ちゃんと褒めてくれ) 「………ドス、ちょっとこっちに」 「ゆ?どうしたの?」(どき!何かな?) 「むきゅ?!」(胡散臭い人間さんね) 俺達とドスは「めーリンガル」を使って、群れのゲス因子を排除した。 ドスも初めは信用しなかったが、何回か使っていく内に思い当たる節があったのだろう。 機械の性能を理解し、協力してくれた。 なお、ゲス因子の見つかったゆっくりは俺達で引き取った。 知り合いの鬼威参にでも渡しておくつもりだ。 「ゆぐぅ!ここからだしてね」(ここから出せ!くそ人間!) 「とかいはじゃないわぁぁぁ!」(ドサクサにまぎれてすっきり出来るわぁぁぁ!) 「むきゅ!どす!これはどういうこと?」(群れをのっとる計画がばれたのかしら?) 「だせぇぇ!まりさはげすじゃないんだぜぇぇ!!」(なぜばれた?) ペットショップの場合 「めーリンガル」の効果に気を良くした俺達は、今度は町のペットショップに向かうことにした。 ゆっくり専門ではないが、多くのゆっくりを扱っている。 たまに胴付の入荷もあるようで、ゆっくり好きな人間も虐待好きな人間も愛用しているほどだ。 「いらしゃいま…何だお前らか」 「ちゃんと仕事しろよ」 「で、何の様だ?」 「実はな、この前買った……」 ここの店員は俺達の仲間でどちらかといえば、鬼威参と呼ばれてもおかしくない人間だ。 ただ、虐待対象はゲスだけのようなので、ペットショップでも働けている。 「そんなに高性能なのか?面白そうだから俺もついて回る」 「まったく、まじめに仕事しろよ」 「いいじゃないか、…店内をご案内します、お客様……これでいいだろ?」 「まあ、なんでもいいけどな」 「こちらがゆっくりコーナーで御座います。どうぞごゆっくり」 「つまらんギャクだな」 「うるせーな、年寄りにはうけるぞ」 そんなやり取りをしながら、「めーリンガル」を取り出し、売り物のゆっくりに使ってみる。 「ゆゆっ!にんげんさん、ゆっくりしていってね」(人間さんこんにちは!) 「にんげんさんはゆっくりできるね!」(お世辞でもいっておけばいいや) 「まりさはにんげんさんをゆっくりさせてあげられるよ」(はやくゆっくりさせろ) 「じゃおじゃーお」(お昼寝したいよ) 「にんげんさんはいいひとなんだね、わかるよー」(人間さん??) 「まりさはまりさだよ!よろしくね!」(にんげんさんとあそびたいよ) 「おにーしゃんゆっきゅりできりゅひちょ?」(ちょっとこわいよ) ペットショップだけあって優良な個体が多いが、反面上位バッチ付でもゲスっぽいものも居る。 まあ所詮ゆっくりといった処だろう。 「めーリンガル」の性能は想像以上だった。 これはあとで知った話だが、元は加工所がゆっくりの心理を知るために開発したらしい。 それが喋れないゆっくりに使ってみたところ効果があったようだ。 「まあ、ざっとこんな所だな」 「すごいもんだな、でもこれを持っていると迂闊にバッチ付を買えないな」 「まあ、元は喋れないゆっくり用だし、いいんじゃないのか?」 「実際喋れないゆっくりはその方がいいって事で買われていることが多いし、お前達のような使い方が特殊だろう。」 「あーそうだ、先週胴付が入荷したんだが……使ってみるか?」 胴付の場合 「先週入荷されたうどんげだ、喋らないから丁度良いかもね」 「ゼロがいっぱい………誰が買うんだよ…」 「さあ?だから売れ残ってるんだろ?」 「ではさっそく……」 『にこっ』(人間さんこんにちは!) 「「「おぉ!」」」 『きょろきょろ』(店員さんと……しらないおにいさんだね) 「かしこいな」 『じー』(ずっと一人だから、人間さんが来てくれて嬉しいよ) 「「「!?」」」 『じーーー』(遊んでくれたら嬉しいな…) 「「「な、なんだってぇぇぇ!」」」 『うるうる』(もう一人ぼっちは嫌だよ…) 「「「……………」」」 「すみません、これください!」 「ちょwてめ!うどんげはおれんのだ!!」 「お前にはめーりんがいるだろ?!うどんげは俺が買う!!!」 「店員はひっこんでろ!それにお前は鬼威参じゃないか!うどんげは俺が幸せにする!!」 「うっせー!うどんげは別だ!おれが責任もって面倒見る!!」 「貧乏人は引っ込んでろ!俺が買う!借金してでも買う!!!!」 「てめ…この…」 「おら…あきらめ…」 「く…おのれ…」 『おろおろ』(喧嘩はやめてー) 俺は醜い争いにやぶれ、家に帰ることになった。 結局うどんげは金ゲスれいむの元飼い主が「めーリンガル」とセットでお持ち帰った。 …まさか本当に借金してまで買うとは………まあ、俺も欲しかったんだか… 「じゃーおう?」(どうしたの?お兄さん?) 「じゃおじゃお?」(元気ないみたいだよ?) 「じゃおおん!」(めーりんがなぐさめてあげるね!) 「…………」 「めーりん!浮気しそうになってすまなかったぁぁぁぁぁ!!」 「じゃお?!」(?!どうしたのおにいさん?) 「どーていおとこ、びっくぺーす」(めでたし、めでたし?) どうしてもこれは単品にしておきたかったので短めですが投稿します 「めーリンガル」をほかの作品で使いたかったので 飽きられてなければ、ムシゴロウ王国の続編でも書いてみようと思います。 徒然あき 過去に書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 819 ムシゴロウ王国 ふたば系ゆっくりいじめ 826 ムシゴロウ王国2 ふたば系ゆっくりいじめ 828 ムシゴロウ王国3 ふたば系ゆっくりいじめ 831 ムシゴロウ王国~王国の仲間達~ ふたば系ゆっくりいじめ 835 罰ゲーム ふたば系ゆっくりいじめ 836 ショート ふたば系ゆっくりいじめ 841 ゆんセルク ふたば系ゆっくりいじめ 842 ハイテンション ふたば系ゆっくりいじめ 848 思いを伝えよう ふたば系ゆっくりいじめ 849 ゆんケストラ ふたば系ゆっくりいじめ 850 即興 ふたば系ゆっくりいじめ 856 ムシゴロウ王国5 ふたば系ゆっくりいじめ 861 ゆっくり草 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る まじかよ高性能 -- 2019-03-30 01 40 19 久しぶりに平和だった! -- 2017-05-25 22 04 23 胴つき うどんげかわいー♪ -- 2016-05-28 14 34 53 ドスがかわいい -- 2015-07-19 14 52 27 このうどんげ…可愛いから欲しいな -- 2013-08-06 10 28 29 すばらしい良作! -- 2013-07-02 15 09 44 ・・・このうどんげは「ゲラ」と言わないのか? -- 2013-03-09 19 31 00 うどんげを巡る三人のやりとりが面白かった -- 2012-12-04 20 59 43 ドスまりさは正直者だな。 -- 2012-09-11 21 56 49 胴付きうどんげっかわっ -- 2012-06-28 08 07 01 通常種にしかゲスが居ない不自然さと、ゆっくりにウソを吐くことすら許さない理不尽さを除けば、本当に面白かった。 -- 2012-04-15 10 20 36 よいぞっ! -- 2012-04-11 02 22 03 えーき様にぴったりだな -- 2011-12-01 05 52 16 やっぱり胴付きうどんげはゼロがいっぱいなのか・・・でもほしい! -- 2011-11-14 03 56 59 巻き添えくらったまりさはなんで加工所に? ともかく、いい話だった -- 2011-08-24 08 57 51 この話の続編を求む(´Д`) -- 2011-08-15 16 37 16 うん、まるで娼婦のように媚びまくってるな、うどんげ。 -- 2011-02-09 07 21 58 媚びっ媚びだな、うどんげ -- 2011-01-13 22 46 26 うどんげえええええええええええええええええええええ!! -- 2010-12-12 00 45 32 巻き添えくらって加工所送りになったまりさに合掌 -- 2010-12-11 16 40 12
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『邪怨』 41KB 希少種 自然界 人間なし 独自設定 お願いします ※希少種優遇及び独自設定が多く含まれます、ご注意ください。 「めーりん!めーりーん!ちょっとこっちにきてほしいのぜ!」 「じゃおん!」 とある森の中の群れ、と呼ぶと大げさだが、数匹のゆっくり達が協力し合って暮らしていた。 そのなかにめーりんの姿もあった。 「このごはんさんをはこんでほしいのぜ!ちょっとおもいんだけど……」 「じゃお、じゃお!」 任せろというように身体を反らすめーりん。 めーりん種は通常種よりも力が強い。 そのためこうして仲間達から力仕事を頼まれるが、嫌な顔一つせず了承する。 仲間の力になれるのが嬉しい、役に立てるのが嬉しい。 「ゆゆっ、いっきにぜんぶもってくのぜ?さすがめーりんなのぜ!」 「じゃおーん!」 めーりんはこの群れで生まれたわけではない。 優しい母の元を離れ独り立ちしたはいいものの、行く当てがなかった。 他の群れはめーりんをゆっくりしていないゆっくり、話が出来ないゆっくりとして追い払った。 悲しかったが、自分の口から出るのは『じゃお、じゃおん』という言葉ばかり。 確かに彼等の言うとおりだなと思うとますます悲しくなり、めーりんは逃げ出した。 そしてこの群れに行き着いたのである。 「あらまりさにめーりん、かりのとちゅうなのね。 ちゃんとはたらいてゆっくりしてるわね」 「じゃお!」 「おさ!そうなのぜ! えっとうようのしょくりょうはあればあるほどいいのぜ! それにめーりんのおかげで、たくさんあつまるのぜ!」 「あら、さすがはめーりんね。あなたのおかげでみながたすかってるわ」 「じゃおんぅ……」 照れるめーりんをみて、長ぱちゅりーが微笑む。 この群れにたどり着き、おどおどしながら一言『じゃおん』と言っためーりんを、 笑って受け入れてくれたのはこのぱちゅりーだ。 そのまま皆に紹介し、ゆっくり出来るおうちまでくれた。 どれだけ感謝しても足りない。 「ゆっゆっ!まりさのおうちがみえたのぜ! ありがとなのぜめーりん!」 「じゃお!」 この群れの仲間からは、一度だって『何を言ってるか分からない』なんて言われた事はない。 まりさのおうちの食料庫に、運んできたごはんさんを置く。 随分な量が蓄えられている。 めーりんは越冬を経験したことがないが、これだけあれば十分すぎるのではないかと思う。 めーりんのおうちにも同じくらいの食料がたまっている。 「じゃぁ、そろそろめーりんもおうちにかえったほうがいいのぜ! ありがとうめーりん、きっとれいむもまってるのぜ!」 「じゃお!」 れいむ、めーりんのとてもゆっくりしたお嫁さん。 とても綺麗で、ゆっくりしていて、何よりも優しい。 いつも笑顔を絶やさず、めーりんのことをとても気遣ってくれる。 告白は彼女からだった。 『れいむといっしょにゆっくりしてほしいよ!』 照れているのか、めーりんの顔を見ないようにしながら叫んだ言葉。 信じられなかった、自分なんかと番になってくれるゆっくりがいるなんて。 それもこんな美ゆっくりのれいむが、自分を好きになってくれるなんて。 嬉しくて、幸せすぎて、じゃおじゃお言いいながらめーりんは泣いた。 ――――その日からめーりんとれいむは一緒に暮らしている。 「じゃおーん」 「おかえり!めーりん、ゆっくりしていってね!」 おうちに帰ると、大好きなれいむの暖かい声がめーりんに届く。 それだけでめーりんはしあわせーな気持ちになるのだ。 帽子に入れていた今日の成果をれいむに見せる。 今日はれいむの好物の幼虫さんが取れたのだ。 「すごいすごい!すごいよめーりん!こんなたくさんとれるなんて! めーりんはかりのてんっさい!だね!」 「じゃおぅん!」 真正面から言われるとやっぱり照れてしまう。 ごまかす様に後ろを向き、せっせと今日の夕飯以外を食料庫に詰める。 今日も一日がんばって働いた。 たくさん疲れたが、みんなからアテにされるのはとっても嬉しく、誇らしい。 まだまだ群れに入って日が浅いが、やっと一員になれてきたかな。 「めーりん、そういえばおさがいってたよ。 そろそろみんなのおうちにえっとうようのしょくりょうさんがたまったって。 がんばってくれためーりんにあしたおれいがしたいって!すごいねめーりん!」 「じゃ、じゃお!?」 自分なんかにお礼をしてくれるというのか。感謝するのはこっちなのに。 自分はまだ恩返しすらまともに出来ていないというのに。 とはいえ長から自分の働きを認められたのだから、喜ぶべきことだ。 明日がとっても楽しみになってきた。 「ゆふふ、あしたはちょっとおめかししなきゃだね! さぁめーりん、ごはんさんもたべたしもうすやすやしようか。 ほんとはすーりすーりしたいんだけど、ふゆさんのまえにあかちゃんできちゃうとこまるし……」 「じゃお……」 赤ちゃん、自分のおちびちゃん。 その響きはとってもゆっくり出来るが、確かに越冬前に子供が出来てしまったら大変なことになる。 めーりんは勿論子供を作ったことなどないので、勝手が良く分からない。 確かにすりすりだけで妊娠してしまうこともあると聞いたこともある。 「でもでも!はるさんがきたらたくさんおちびちゃんつくろうね!」 「じゃお!」 自分にはもったいないお嫁さんだと思う。 れいむだっておちびちゃんは欲しいはずなのに、こうやって慰めてくれるのだ。 明日も頑張ろう、自分はそのために生きているのだ。 「おやすみめーりん!」 「じゃおん!」 「きょうもかりはだいせいこう!なのぜ!」 「じゃお~ん!」 地面の中に居る幼虫、柔らかい葉っぱ、そしてお花。 今日の夕食は豪華なものになりそうだ。 「ゆゆっ!そうなのぜめーりん! かえりにいつものひろばにきてほしいのぜ! おさがひょうしょうするっていってたのぜ!」 「じゃお?じゃおん!」 表彰といわれると照れてしまうが嬉しい。 広場へと向かう足が自然と早くなる、れいむも喜んでくれるかな。 「めーりん!よくきてくれたわね!」 「めーりん、ゆっくりしていってね」 「じゃ、じゃお」 広場にはみんなが集まっていた。 長は勿論、あまり話したことのないありすまでいる。 注目されているのが分かるめーりん、とっても緊張する。 「さぁこっちにきてめーりん」 「じゃぉ」 長に呼ばれ、近づいて行く。出来るだけ姿勢を正し緊張した顔つきでお辞儀する。 「あなたのおかげで、えっとうようのしょくりょうはじゅうぶんたまったわ。 おかげでにかいもふゆさんをこせそうなほどよ、むっきゅっきゅ」 「じゃおぅん」 おさげで自分の頭をかくめーりん、最近はたくさん褒められるので照れることが多い。 「おうちもひろくなったし、ふふふっ、ここはすばらしいゆっくりぷれいすになったわ。 ……ゆっと、ながばなしばかりしてごめんなさいね。 めーりん、すこしめをとじてもらえるかしら」 「じゃぉ!」 「ありがとう、ぱちぇがいいっていうまでめをあけないでちょうだいね。 まりさ、あれをもってきて!」 言われるがままに目を閉じるめーりん。 何だろう、ドキドキする。やっぱり何かをもらえるのだろうか。 「ほんとうに、もうぱちぇにはもうしんぱいすることはないわ。 はるさんになったらこの群れはおちびちゃんでいっぱいになるでしょうね。 だから――」 こほんとぱちゅりーが咳払い。 「――――あなたはもうようずみなの」 「じゃ!おっ……?」 熱い、体が急に熱くなった。驚いためーりんは自分の中心部を見る。 そこには――――木の枝が生えていた。 「じゃ、おぅ……?」 刺された、自分は後ろから木の枝で刺されたのか? 「ゆっじぇっじぇっじぇ!!やっとこのしゅんかんがきたんだぜええええええええ!! このくずをせいさいするのをたくさんまったのぜぇぇぇぇぇ!!!!」 めーりんにとっては一番の親友だったまりさが大声で笑う。 どうやら自分は親友に刺されてしまったらしい。 ――でも、なんで? 「わけがわからないってかおしてるわね、めーりん。 もしかして、あなたみたいなくずがぱちぇのむれのいちいんになれたとでもおもった? むっきゅっきゅ!じょうだんはやめてちょうだい、さむけがするわ」 「じゃぁ、ぉ!?」 長の一言でめーりんにもやっと痛みが訪れた。 身体ではなく心がとても痛い。 「こんないなかものをかりにとはいえ、むれにいれてたなんてとかいはじゃないわ。 おなじくうきをすっているとおもうだけでゆっくりできないもの!」 うんうんを見るような目で、ありすが言う。 みんな、みんな大事な仲間だと、そう思っていたのに。 痛い、痛くて悲しい、悲しいから辛い。 めーりんは知らずに涙を零していた。 「ゆじぇっじぇ!こいつないてるのぜぇ! おおかたまりさたちのなかまになったつもりだったのぜ!! おめでたいくずなのぜぇぇっ!!まりさががまんしてあいてをしてやってたらかんちがいしやがってぇぇ!!」 言葉が、もしめーりんがしゃべれたなら一言『まりさ』と名前を呼びたかった。 しかし口からでるのはやっぱり意味のある単語にはならなくて。 「じゃおっ!じゃおぉぉぉっ!!」 「さっさとしぬのぜ!どうだぜ?いたいのぜ?ぶざまなかおなのぜぇぇぇ!!」 身体の中をぐーりぐーりされるのが痛かった。 たくさん名前を呼んでいるつもりなのに、まりさはやめてくれない。 「これでわかってもらえたかしら? つまりぱちぇたちはあなたをむれにいれたおぼえはこれっぽちもないの。 えっとうようのしょくりょうをあつめさせるどれい、だからあつまったんだからようずみなの。 ゆっくりりかいして、ゆっくりしないでしんでちょうだい」 「じゃぁ……お……」 要するに、自分は騙されていたのだ。 みんなが優しくて、しゃべれない自分を受け入れてくれたんだと。 勘違いしてしまったんだ。 「じゃぉぅ、じゃぉん」 「さすがにしぶといのぜ、おくちがつかれてきたのぜ」 「まぁこのきずじゃもうどうしようもないでしょう。 だれかせいさいしたいこはいる?」 痛みよりも、嫌われていた事が悲しい。 裏切られた、信じていたのに。 とはいえ身体はもうほとんど動かせない。 動いたとしても抵抗する気力なんてものは無い。 唯一つ気がかりなのは、れいむのことだ。 彼女は大丈夫だろうか。 嫌われ者の自分なんかと番になったことでいじめられたりしないだろうか―――― 「れいむにやらせてね!れいむがこのげすをせいっさいするよっ!!」 「じゃお……ん?」 その心配はまったくの杞憂だった。 まりさから枝を受け取った、めーりんの宝物のれいむが酷く冷たい目でめーりんを見る。 「まったく!いくらにがさないようにするためだからって、こんなのといっしょにくらしていただなんて! なに?なんなのそのめは?もしかしてれいむがほんとうにおまえのことすきになったとおもってたの?」 「じゃおぉぉ!じゃぉっ!じゃおぉーん!」 「ゆぷぷぷっ!!!なにいってるかわからないよくず!ばーか!しんでね!」 「じゃぉっ!!」 妻だったはずのれいむによって枝でその身を削られるめーりん。 餡子の鼓動すら止まるような絶望がめーりんを包む。 あんなに優しくてか弱いれいむがこんな、こんな酷い仕打ちをするなんて。 「しってた?れいむはまりさとけっこんするんだよ! だからおまえなんかのおちびちゃんなんてぜったいうむわけないでしょ!? なにないてるの?きもちわるいからさっさとしね!」 「ゆっじぇっじぇ! でもまぁくずめーりんのおかげでおちびがいたとしても、えっとうできるくらいのごはんさんがあるのぜ! はるさんをまたないでもだいじょうぶかもしれないのぜ!」 「はずかしいよまりさぁー」 もう、いい。もう怒りとか、悲しいとかは無い。 めーりんの感情は深く深く沈んでいく。 早く、終わりが訪れてくれ。こんな光景は見たくないんだ。 「じゃ……お……」 どうして、どうしてこんな目にあわなきゃいけないんだろう。 自分が何か悪い事をしてしまったのだろうか。 それともやはり自分が“めーりん”だからか、しゃべれないのがいけないのか。 目の前で笑うれいむとまりさが、枝を一緒に構えるのが見える。 ――――叶うのなら、次はめーりん種以外に生まれたい。 最後にお別れを言うことすら出来ないなんて。 さようなら、その一言すら言えないゆっくりは嫌なんだ。 「ゆっくりできないくずはしね!」 「じゃっあぉ!……おぉっ!……っ!」 無数の穴がめーりんに生まれる。 めーりんから反応がなくなっても、枝は突き刺された。 れいむ達が去った後には、めーりんの死体だけが残された。 身体が揺さぶられているのを感じる。 「起きなさい、起きなさい」 「じゃおん……」 誰だろう、誰か自分を呼ぶ声がする。 ゆっくりと目を開く、光が眩しい。 「起きなさい“よしか”あなたはもう起き上がれるはずです」 「じゃ……お?」 よしか?あれ?自分はそのような名前だっただろうか。 違う気がする、自分は――――何だったっけ? 「じゃおぅ?」 「あらあら、そのような言葉を使って。 あなたはもうよしか。いいですか?私のかわいいよしかなのです。 さぁこちらを見なさい、私が誰だかわかりますね?」 「せ、が?う……せーが」 そうだ、目の前に居るのはせーがだ。それはわかる、せーがで間違いは無い。 でも自分はもっとちがう呼び方をしていた気がする、けど思い出せない。 そもそも自分って誰のことだ? 「かわいいよしか、あなたは今記憶が混乱しているのです。 ちょっと無理に詰め込みすぎちゃったかも知れませんね。 でも大丈夫ですよ私のかわいいよしか、すぐに気にならなくなります」 「う、ん」 せーががそう言うのなら大丈夫なのだろう。 破れたベロが妙に動かし難くてしゃべり辛いのも、おめめが外れそうになるのも大丈夫なんだ。 「何も心配することはありません。身体はちゃんと動きますね?」 「う、あ。うご……く」 跳ねてみる、すると思ったより高く飛べてしまった。穴だらけの帽子が先に地面に落ちる。 ズシンという重そうな着地音がする。 「もう二度と私のよしかが、ゲス共に殺されないよう強い身体にしましたからね。 とっても素敵ですよよしか」 「ころ、される?あんな、やつ、ら?」 なんだろう、なんだか体の奥がムズムズする。 「ああよしか、大丈夫、その感情はとっても大事なものなのよ。 群れを覚えていますか? ぱちゅりー、ありす、まりさ、そしてれいむの事を」 「あ……きら、い。みんな、きらい」 群れ、そしてせーがが言った名前。嫌いだ、その名は嫌い、そいつ等は嫌い。 「あらあらよしか、違うわ、嫌いじゃない。憎い、そうでしょう?」 「にく、い?にくい、にくい……うん、あいつ、らにくい」 「そうでしょう、そうでしょう。ふふ、かわいいよしか」 せーがが楽しそうに笑うので、“よしか”も嬉しくなってきた。 体を揺するたびに、くちゃくちゃと音が鳴り、皮が剥がれそうになるが気にならない。 「さあよしか、それでは行きましょう」 「ど、こにいく?」 体を傾けて疑問を表現する、まだ固定されきっていない髪の毛がぱらぱらと落ちる。 「あなたの敵を討ちに」 せーががにっこりと笑う。 それがあまりにも綺麗なので、“よしか”はただただ見とれてしまった。 長ぱちゅりーと仲間達はとてもゆっくりしていた。 本格的な冬の到来まではまだまだ日があるというのに、食料は十分すぎるほどたまっている。 おうちの補強も完璧だ、今年の越冬は死んでしまう個体など一人もいないだろう。 これもすべて、長として、そしてけんじゃの頭脳を持つ自分の完璧な計画のおかげだ。 「むっきゅっきゅきゅ、それにしてもいいひろいものだったわ」 力が強いめーりん種は、奴隷に最適だった。ゆっくりしていないから制裁しても誰も文句は言わない。 まるでゆっくりしているぱちぇの群れに、かみさまさんがぷれぜんとさんをくれたみたいだ。 「むきゅきゅ、これでぱちぇのおさのざもあんていね」 めーりんを使い潰す計画の成功により、皆から尊敬され、ますます認められたぱちゅりー。 本当に、自分はラッキーだ。 今日みたいに一匹でお散歩中に、おどおどしためーりんを見つけたのだ。 丁度今見ている、群れの入口の大きな木下に――――何かがいた。 「む……きゅ?」 なんだろう、もしかしてまた新参者でも来たのだろうか。 確かめるためにぱちゅりーは近づき、そして即座に後悔した。 「……む……きゅ?」 それは死体だった。そうとしか思えない。 穴だらけになったズタボロのお帽子を、赤い髪が斑に生えている頭に乗っけている。 むりやり千切ったような皮を、デタラメに貼り付けたような身体。 真っ黒な目とソイツが動くたびにズレるもう一方の目。 「あ、あ……ああ」 小さな餡子脳では到底理解が出来ない目の前の光景に、その身を凍らせるぱちゅりー。 理解が追いつかない、だってそうだろう? 死体は動かない、そんなのおちびちゃんだって知っている。 じゃあどうして目の前の死体は跳ねながら、ぱちぇに近づいて来るんだ? そしてこの死体をぱちぇは――――知っている? 「ああよしか、いきなり長様に会えましたね。 残念ながらアナタの事を少し忘れてしまっているようです。 彼女に分かるように、生前のご挨拶をしてあげなさい」 「う、んわかった……じゃぉぉぉぉん!」 「ひぃいいいいいいいいい!!」 ねっとりと塗りつけるような、聞いてるだけで不安になるような声だった。 ただその言葉はやっぱりぱちゅりーが想像したとおりの挨拶で。 ボロボロのお飾りも良く見ればアイツのもので。 その穴は自分が命令して、仲間に枝で何回も刺させた時のもので。 こいつはめーりんに違いないのだと、全てが物語っていた。 「あぅあぁぁ…………」 ガクガクと身体は振るえ、意思とは関係なしにしーしが流れ出てくる。 めーりん、自分たちが何度も枝を突き刺しためーりん。 そのめーりんが動いている、死体のめーりんが近づいてきている。 死んでいるはずなのに、死んでいるのは間違いないのだ。 だってこんなに死臭がキツイし、餡子こそ流れていないが、身体には穴だって開いている。 それなのに――――めーりんはぱちゅりーの目の前まで来た。 「えれぇれぇぇげぇぇぇぇぇぇぇ」 気が狂いそうな恐怖に体内から押し上げられ、中身のクリームを吐き出すぱちゅりー。 苦しい、息が出来ない。助けて、誰かぱちぇを助けて。 「あらあら、長様は中身を吐いてしまわれましたね。 これはいけません。かわいいよしか、ちゅっちゅしておくちを塞いであげましょう」 「わか、った」 「ゆげろぉぉぉっ!?むぐぅ…………!」 それは当然ちゅっちゅなんて生易しいものではなく、よしかの裂けた口でぱちゅりーの口を覆う行為。 にちゃぁっとした気持ちの悪い感覚、そして強烈な死臭がぱちゅりーを包む。 そのせいでさらにクリームを吐き出していくぱちゅりー、しかし口と口で繋がっているためよしかの口へと流れていく。 「ああ、これはいけません。 私のよしか、長様に中身を分けて差し上げましょう」 「う、ん」 ぱちゅりーはもう苦しくて、気持ち悪くて臭くて、何も考えられなかった。 だからせーがの言った言葉を聞いていなかった。 「お、え」 「っ!?むげろぇぇげろぇぼあぼあぼああばおあばびびぉぁがぁぁお!!」 めーりん種の中身は辛い、ましてやそれが腐っていたとしたら。 ゆっくりにとっては毒そのものだ。 そんなものを口から直接流し込まれたぱちゅりーは、たまったものではない。 あっという間に貧弱な中枢餡は侵食され、身体は痙攣を繰り返す。 ビクンビクンと跳ねる身体、逆立つ髪の毛。 「あびびびびいべえけけけけけぁあかかけえぇけぇ!」 よしかが口を離しても、壊れてしまった中枢餡は治らない。 奇妙な叫び声をあげ、ぶくぶくと口から泡を吹いている。 「げぁ!がぁぁ!あああ!」 陸に打ち上げられた魚のように跳ねる身体、壊れていく自我。 それでもぱちゅりーは思う。どうして、どうしてこんなことになった。 群れも長としての地位も磐石になった、それなのに。 お化けが復讐に来るなんて。酷すぎる悪夢だ。 そう、コレは夢だ。死体が歩くなんて夢に決まってるんだ。 ぱちぇは優しいから、あんなクズを制裁しただけなのに、同情して、それが悪夢を見せているのだ。 もうネタ晴らしはすんだ、すべてぱちぇにはお見通しだ。 だから、だから――――早く夢から覚めてくれ! 「はやぐぅ、ばやぐめをざまさせでぇえっぇ!!! ごんなにぐるじぃのにぃぃぃ!!ぱちぇぇ!!ぶぶぇぇぇぇ!!」 ぱちゅりーの苦しむ姿を、よしかはずっと見つめている。 思い出した。ぱちゅりーは頭が良かった。 みんなから慕われていた。 そして―――――自分を騙した。 そんなぱちゅりーが苦しんでいる。 なんだか気分がいい、よしかはそう思った。 「あはははは、この程度の苦しみ、かわいいよしかの受けた痛みと比べたらとてもとても。 ではよしか、長様を食べてしまいましょう」 「うんわかった、せ、が」 「ろげぇぇえぇ、おごえぇええ!!はやぐぅ!めをざまじだいぃ!! ゆえぇ!?」 ぱちゅりーの目の前で、大きく、異常なほど開く裂けたお口を見せるよしか。 ぱちゅりーはまた口を塞がれるのかと思ったが違った。 ぞぶり。 食い込む歯が音を立てる。 鋭利な刃物のように、ぱちゅりーの頭をかじりとった。 「むしゃ、む、しゃ。おいしぃ」 「ゆびょ??ひょあ、え、……かっ!あっあ!」 クリームを大きく露出したぱちゅりーが白目を向いて震える。 満足そうによしかは咀嚼し、また大きく口を開く。 「ええ、その調子ですよしか。残さずに食べなさい」 「う、ん」 「こき、き、きき、かかかか」 ついに口から上が無くなったぱちゅりー。 救いを求めるかのように、舌だけが伸びている。 いや実際救いを心のそこから求めていた、中枢餡を破壊されてなおその意識は激痛の海に溺れていた。 本来なら中枢餡と共に死んで終わりだ。 しかしせーがの力がそれを許さない。 体が引き裂かれ、ぐちゃぐちゃと潰され、ゆっくりと腐肉と混ざっていく。 涙を流す目も、命乞いをする口も無く、ただただ苦しんでいるぱちゅりー。 それを心のそこから楽しむせーがと、初めての甘味を楽しむよしかがいるかぎり、開放されることは無い。 「おいし、かった」 ぱちゅりーの身体と、意識のほとんどをたいらげ一段と死臭を濃くするよしか。 満足げな顔を見て、せーがも微笑む。 「ああ、とってもかわいいですよよしか。 さぁ次に行きましょう。お友達はまだまだいたんですから」 「うん、いこ、う」 「きゃあああああああああああああああああ!!! なにをっ!なにしてるのよぉおおおおおおお!!」 「あらあら、向こうから会いに来てくれるとは」 ありすだった。 転がっているぱちゅりーのお帽子とその持ち主であろう残骸を見て、悲鳴を上げている。 「あ、あり……?なんだ、っけ?」 「あらあら、覚えていないのですねよしか。 無理もありません、あなたは確かありすとはあまり会話していませんでしたから」 「ひぃいいいいいいいっ!!なんなのよぉおおおおおお!!あなたああああ!!」 ぱちゅりーのクリームを口の端から垂らしながら、よしかが振り返る。 離れていても漂う死臭に、目の前のゆっくりが死んでいることを教えられる。 頭に乗っかっているボロボロの帽子から、死んだはずのめーりんだと教えられる。 「くずめーりんなのぉぉっ!?せいさいしたはずなのにぃ!! みんなで!みんなでぇぇ!!なんでいきてるのよぉぉぉっ!! くずのくせにぃぃぃぃ!!!」 「あら失礼な方ですね。よしか?あなたは休んでいなさい」 「わ、かった」 よしかはそう答えると残ったぱちゅりーの欠片に口をつける。 軽く微笑み、せーがはありすへと近づいて行く。 「くず、と言いましたね。ありすさん」 「はぁぁぁぁっ!?しゃべれないめーりんはくずでいなかものでしょぉぉっ!? そんなことよりなんであいつ――――――」 「レイパーよりもですか?」 「……ゆ、え?」 “レイパー” ありす種にとっての最大の禁忌を聞かされ、全てを忘れてありすは呆けた。 「ただしゃべることが出来ないだけのめーりん種が、 無理やり嫌がるゆっくりを犯すレイパーありすよりもくずなんですか? と聞ききました」 レイパーありす、ぺにぺにを露出させ、すっきりのことしか考えられなくなる最低のゆっくり。 そう、最低のゆっくりだ。 「あ、ありすはれいぱーなんかじゃないわよっ!!あ、ありすは――――」 「はい、あなたはレイパーではないようですね。今は」 「ゆゆぅっ!?ち、ちが、うわ!ありすはれいぱーなんかに」 「どうでしょうね、ありす種はほとんどがレイパーの素質を持っていますし」 違うと叫びたかった。 ただショックで、あまりにも大きなショックで心がズタズタにされていた。 まともな反論が出来ない。 「そ、そんなことないわよっ!!ありすだって、れいぱーじゃないこはたくさん!」 「じゃぁなぜレイパーはありす種だけなんですか?」 「ゆえぇ!?ゆっとぉ、えっとぉ。そ、それはぁぁ!」 「ありす種がくずだからでしょう?」 「ゆ、ゆあああああああああああ!!!!」 嘘だ、違う、絶対無い。 ありすの頭の中で否定は響くが、根拠が出ない。 言い返せない、それに何より自分自身が目の前のゆっくりの言葉を信じてしまっている。 「そんなくずゆっくりが、めーりんを制裁しました。 許されることだと思いますか?」 「ちがうぅわぁぁ、ちがうわよぉぉ。 ありすはれいぱーなんかじゃないわぁぁ!ぜったいちがうぅぅのよぉぉ!!」 号泣するありす。 必死に否定の言葉を繰り返す、自身に言い聞かせるように。 「まだ否定しますか。ではお聞きしますね。 ――――なぜまりさはれいむと結婚したんでしょうね?」 「ゆ、え?あ……え?」 二度目の硬直、しかし今度は一度目よりも衝撃は大きい。 様々な疑問がありすの餡子脳を駆け巡る。 なぜ知っている?まりさの事、自分が恋心を抱いていたこと――――そしてその恋が叶わなかったことを。 「そ、そ、それはま、まりさがれいむのことをすきだから、しょ、しょうがなくて」 「どうしてまりさはれいむの事を好きになったのでしょう? あなたより綺麗だからでしょうか?」 「そ、そんなことないわっ!!!わたしのほうがたくさんっ、たくさんきれいでびゆっくりなのよっ!!」 そうなのだ、自分のほうが身体のお手入れに気を使っているし、おうちの中だって都会派にこーでぃねーとしている。 自分がれいむに妻として劣っている部分なんて何一つ無いのだ。 ――――あれ?じゃぁどうして自分はまりさと結婚出来なかったのだろうか。 「ではやはり、レイパーのありす種だから選ばれなかったのでしょう」 「ゆ、ゆ、ゆああああああああああああああああああああああ!!!!」 自分に非なんて無く、ただありすだから選んでもらえなかった。 ありすとして生まれてしまったからまりさと結婚できなかった。 自分はレイパーじゃないのに、ありすだからだめだった。 「ありす種はどこへ言っても嫌われ者ですね。 ああ、孤独に耐えられないからレイパーになってしまうのでしょうか。 それなら、あなたもレイパー化する日はそう遠くないでしょう」 「うああああああああ。あああああああああ!!!」 酷い、酷すぎる。 好きでありすに生まれたわけじゃないのに、ありすは何も悪い事をしていないのに。 やるせなくて、理不尽が許せなくて、どんどん涙が溢れてきた。 「やっとクズ呼ばわりされる悲しみがわかりましたか? 自分たちがどれほど残酷な行為に及んだのかを」 「ゆぅあぁ、あああああ、ごめんなざぃ、ごめんなさぁいぃぅいぃ!! ごめんなさぃめぇぇぇりぃぃいいいいいんっっ!!」 そうだ。 めーりんだって、好きでめーりんに生まれたわけじゃないのだ。 同じ立場になって、やっとありすは差別の罪を理解した。 もはや元の面影を残さないめーりんに泣きながら謝り、遅すぎる後悔をする。 「ごべんなさぃ、ごめんなさぃぃぃ。 ありすにつぐなえるならなんでもするわぁぁぁ!!ごめんなさぃぃ!!」 「では死になさい」 「…………え?」 「あなた達がしたように、そこの木の枝を自分に突き刺して死になさい」 「なん……え……?」 一瞬耳を疑った。 あまりの言葉に頭の回転が追いつかない。話が極端すぎる。 そんなありすをせーがが笑いながら畳み掛ける。 「このまま孤独にさびしく生きて、いずれレイパーとなるより。 ここで私のよしかにお詫びしながら死ぬほうがずっといいでしょう。 そのほうがゆんごくに逝けるかもしれませんよ」 「あ、え、で、でも……」 「ああ、やはりありす種は皆クズでしたか。 あなたもレイパーになると言うのですね」 「ち、ちがうわ!やる、やるわよっ!」 そうだ、自分はレイパーではない。 誰かと無理やりすっきりしたいなんて決して思わない。 誇り高きゆっくりなのだ、それ証明してやる。 そのために命を懸けるというのも、かなり都会派ではないか。 どうせ出来ないと思っているのだろう、冷たい目でありすを見ているコイツ。 悔しがらせてやろう。 ありすは、たくさんのありすはクズではない。 コイツに思い知らせ、ゆんごくで笑ってやる! ありすは木の枝を拾った。 「これで……このままきさんにぶつかれば、ありすにささるわね……」 「はい、銜えたまま正面から木にぶつかって下さい。 可愛いよしかは何本も刺されたのですよ? それを一本でいいのですから」 「うるさいわっ!きがちるからだまってなさい!」 怖い、やっぱり怖い。 こんなのが刺さったら、きっとたくさん痛いだろう。 でももう決めたんだ。 「ゆああああああああああああ!!!」 意を決してぴょんぴょんするありす。 だがやはり恐ろしいのか、木に近づくにつれスピードがどんどん遅くなっていく。 そしてやっと木に銜えた枝を押し付けたときには、ほとんど歩いているようなものだった。 「ゆぴぃ!!」 もちろん自分自身を貫くことなど到底出来ない。 それでもありすのおくちの奥にそれなりの傷をつけたが。 「ひぃぃぃぃいだぁあああああああぃぃぃぃいいいいいいっ!!! いだぁあああああああああああいいいっ!!ああああがあああ!!」 大げさに転げ周り、痛い痛いと叫ぶありす。 数秒前の決意なんて粉々になってどこかへ飛んだ。 「いだぁぁぁ!!むりぃぃぃ!!やっぱりむりよぉぉぉっっ!! ありすじにたくないぃいわぁぁ!!しにたくないぃぃぃ!!! こんないだいぃのむりよぉぉぉっ!!だっていだいものぉぉおっ!!」 大きく口を広げ傷口を見せながら、せーがに中止を訴えるありす。 それを受け、せーがは優しく微笑みながら答えた。 「わかりました」 「ありがとぉぉぉっ!!ほかのつぐないならなんでもするからぁぁ!! ありすしぬはいやなのぉぉっ!!とってもこわいのぉぉっ!!!!」 「自力では無理だそうですので、手伝ってあげなさい。よしか」 「ん、わかった」 「え――――いぎぃっ!」 ドスッと後ろから思いっきり押されるような衝撃。 そして目に映る、自分のカスタードにまみれた長い枝。 遅れてやってくる、身体を引き裂くような激痛。 「いっがあががぎぃいいいいいいいやぁぁぁぁっっ!! いがぁぁぁぁ!!いだぁあああああああああああああ!!」 カチューシャが外れるほどに、無茶苦茶な暴れ方をするありす。 そんなことをしても、自身に突き刺さった枝は外れない。 むしろさらに傷口を広げる結果になる。 「あっがぁあああああ!!!いがああああああああ!!! じぬぅぅ!!!ひぃぃぃぃ!!いっだぃぃぃぃ!!!!」 「ああ、素晴らしいですありす。 今までのあなたのどんな謝罪よりも心がこもっています」 「いぎぃぃぃぃひぃぎぃぃぃぃ!!!」 ありすの大切な、命そのものであるカスタードが流れていく。 激しい痛みはまったく弱まらないのに、身体から熱が失われていく。 死ぬ、このままではありすは本当に死んでしまう。 「いやよぉぉぉぉっ!!まだぁぁ!まだありずじにだくないのぉぉぉっ!! すてきなびゆっぐりどげっごんするのがゆめなのぉぉぉぉ!!!! いやぁぁ!!!じにだぐないぃぃぃぃ!!!」 「どうですかかわいいよしか?楽しんでいますか?」 「ん、うる、さい」 叫んで叫んで、いもしない神に命乞いして、ありすはほとんどのカスタードを放出した。 ビクビク痙攣しながらそれでもなお、生きていたいと願う。 「ありずは、ま……だ……ゆっぐ……り」 「せーが、これたべて、もいい?」 「あらあら食いしん坊なよしか、まだ我慢してくださいな」 「わかった、がま、んする」 レイパーどころか、たった一度のすっきりですら体験出来ずありすはゆんせいを終えた。 「ゆふっふだぜ!くずめーりんがいなくてもまりささまはかりのてんさいなのぜ!」 そのお帽子に申し訳程度の狩の成果を入れ、まりさが跳ねている。 食料はもう十分すぎるほどあるのだが、番のれいむの手前見栄を張っているのだ。 「まりさはさいきょぉ~さいきょうなのぜぇ~」 「あらあら素敵な勘違いですね」 「ゆっ!?だれなのぜっ!おまえはっ!!」 いきなり話しかけられビックリして少ししーしーが垂れてしまった。 それを誤魔化すために強い口調を使うまりさ。 「私などどうでもよいのです。 それより、この子をご存知ですね?」 「ま、りさ」 「――――ゆぇ? ゆわああああああああああっっ!!めーりんぅぅ!?」 そこには自分が殺したはずのめーりんがいた。 強烈な死臭を撒き散らしながら。 「おぇぇぇぇっ!!なばぁぁ、どぼじでめーりんがいぎでるのぉぉぉっ!!!」 「ま、りさ、まり、さ、まりさ。まりさ」 「ゆひぃいいいいいいいいいいい!!!くるなぁあああああああ!!!」 姿を見て声を聞いた事で、よしかにもしっかりと記憶が戻ってきた。 一緒に狩をして、一緒に遊んで、いっぱい自分をぷすぷすしたまりさ。 木の枝を差し込まれている時にあれほど呼びたいと思った名前が今は簡単に言える。 何度も何度も、よしかはまりさの名前を呼ぶ。 「まり、さま、り、さまりさまり、さまり、さまりさまり、さ」 「やべ、やべるのぜぇ!あ、あれはぜんぶぱちゅりぃぃがぁっぁぁぁ!!」 まりさが言い訳を並べながらどんどん後ずさりしていく。 おかしいな、自分はもうちゃんとしゃべれるようになったのに。 こうしてちゃんと名前も呼べるのに。 「ゆああああああああああっ!!ちょうしにのるんじゃないのぜぇぇ!! まりざにせいさいされたくせにぃぃ!!もういっかいしぬのぜぇぇ!!」 急に怒った顔になったまりさが突っ込んでくる。 なんだ、やっぱり関係なかったのか。 話せないからとかじゃなくて、ただ自分の事が嫌いなだけだったんだ。 ならもうどうでもいい。こんなやつ嫌いだ。 「しねぇぇぇ!!こんどこそしぬのぜぇぇ!!!」 「うる、さい」 「ゆっぶっぇぇぇぇぇ!!!」 死骸のような見かけからは想像できないほど硬いよしかにまともにぶつかり、悲鳴をあげるまりさ。 そんなまりさにのしかかりながらよしかは考える。 「いだぃぃぃ、つぶれるぅぅぅ!!まりざのあんよざんがぁぁぁ!! いだっぁぁ!!つぶれちゃうよぉぉぉぉぉっ!!」 どんどん鮮明になっていく記憶。 あれほど優しく、たくさんお話したまりさが態度を急変させ自分を殺したこと。 なにか自分が取り返しのつかない過失をしたのだと思った。 だからまりさや他のみんなを怒らせてしまったのだと、そう思っていた。 「ぐぞぉぉぉっ!!どけってぇぇ!!どけっていってるのぜえぇぇ!! まだせいさいざれたいのかぁぁぁぁ!?またまりささまのいだだだだぁぁぁぁ!!!」 だが違った。 せーがの言うとおり、こいつらは一回も自分を責めなかった。 馬鹿にはされたが、責めはしなかったのだ。 ということはつまり、自分がどうしようと関係なく、使い捨てるつもりだったんだ。 死の間際まで信じようとしていた自分が馬鹿らしくて冷めてしまった。 「あき、た」 「ゆはっ!!やっどどいたのぜぇぇ!!おそすぎるのぜぇぇぇ!! おまえはせいさ――――どうじであんよざんうごかないのぉぉぉぉっ!?」 「あら、よしかよしか。 もうよいのですか?気はすんだのですか?」 「うんも、ういい」 完全に潰れた足を必死に舐めて直そうとしているまりさ。 そんなことでは治るわけがない。 どうしてあの時の自分はまりさがこんなに馬鹿だって気づかなかったんだろうか。 せーががまた綺麗な笑顔を浮かべている。 「安心しなさいかわいいよしか。 あなたの代わりに、私がしっかりとあなたの恨みを晴らしましょう」 「おばえらぁぁぁぁぁぁ!!まりざをなおぜぇぇ!! なおすのぜぇぇぇ!!これじゃぁまりざ―――――」 まりさの怒鳴り声が途中で止まる。 せーがの操るゆっくりを見たからだ。 先ほど木の枝で身体を貫かれ、死体となったありすを。 「あっ、ありずぅぅぅぅぅ!!ああああ!!あながっ!あながあいてるのぜぇぇ!!」 到底生きているはずのない傷穴が開いたありすを見て恐怖するまりさ。 「まりざ、まりぃさ、にげ、て、おね、がいまり、さにげ、て」 せーがの能力によって操られるありすにも意識はあった。 そして口だけはその意識で動かせるが、それ以外は全てせーがに握られている。 「あ、ありず?ど、どうしてこっちにくるのぜ?たすけてくれるのぜ? ありす?なんでぺにぺにが――――」 「ごめ、なさ、い、まりさ、いや、こんなのいや、いや」 身体の異常を感じているからだろう、ありすにはこれから何をさせられるか分かっているようだ。 「まって、まっでありず!どうじでまりざにのろうとするのぉ!? ひぃっ!?やべてね!?やめてね!?まりさはれいむのおっとなんだよっ!? まりさのばーじんさんは――――いぎぃぃぃぃぃぃ!!!!」 「い、や、やめて、ありすはこん、なこと、したくな、い」 こうして、世にも珍しい当事者の二匹がどちらも望まぬすっきりが始まった。 「あはは!どうしたのですまりささん! あなたは最強なのでしょう?振り払えばいいじゃないですか」 「いままりざうごけないのぉぉぉ!!ゆひぃぃぃ!!やだぁぁぁ!! やめでありすぅぅぅ!まりざずっぎりしだぐないぃぃぃ!!!!!」 「やめ、こんな、のひどすぎる、わ、ありすは、まりざを、いや、いや、よ」 まりさは勿論、ありすもその白目から涙を流している。 とはいえそんな状態でもしっかりと腰を打ち付けている姿はなかなかに愉快だ。 自分の意思ではないにしろ。 「やめぇぇぇ、やめでぇよぉぉありずぅぅぅ!!どうじでぇぇ!! どうじでやめてくれないのぉぉっ!!?ありずはれいぱーだったのぉぉぉっ!?」 「ち、が、う、ちが、う、ちがうちが、う、あり、すはれいぱ、じゃな、い」 「あははははっ!!やっぱりレイパーだったんですねありすさん!あはははははは!!」 愛するゆっくりからレイパーと言われ、否定したくても自身の身体は犯し続けているという現実。 ここを地獄と言わずなんと呼ぶのか。 「ゆあぁぁぁ!!やだぁぁぁ!!やだぁぁぁぁ!!ずっぎりぃぃぃ!!」 「すっき、り」 とうとうすっきりしてしまった両者。 まりさの額からは茎が伸び始め、すぐに枯れた。 やはり死体では父親にはなれないのだろう。 「ゆあえええ!?な、なんでまだするのぉぉぉぉ!!もうおわったでしょぉぉぉ!!」 「いや、もうい、や、やめ、てとまっておね、がい」 勿論行為は終わらない、せーがはまりさが死ぬまでこの惨たらしい性交渉を終わらせるつもりはない。 「ぐぞぉぉぉくそぉぉぉ!!やめろぉぉぉ!!とまれえぇぇ!! れいぱー!くそれいぱぁぁぁあ!!れいぱはしねぇぇぇぇぇえ!!!」 「ちがうの、に、ありす、はやって、ない、のに」 どれだけありすに文句を言っても終わるはずが無い。 それでもまりさはもう口で抵抗するしかないのだ。 「ああ、やだぁぁ、やだっぁぁぁ、ずっぎりぃぃぃぃ!!!」 「す、っきり」 そしてまた茎が生えて枯れる。 足を潰されているまりさだ、子供が出来ないとはいえ餡子は消費する。 体調の異変を自覚したのだろう、ずいぶんと焦っている。 そしてまたありすの身体が動き出す。 「やだぁぁぁ、まりざしんじゃうぅぅぅ。しにだぐないぃぃぃ!! ――――めぇぇりぃぃん!おねがいですぅぅぅ!!たすけてくださぃぃぃ!! めぇりぃぃん!!まりさがわるかったですぅぅ!!あやまりますぅぅぅ!!!」 そして今度は自分が殺したものにまで頼りだした。 当然よしかに助けるつもりなどはない。 自覚はしていないが、よしかの顔にも笑みが浮かんでいる。 「ごべんなざぃぃごべんなざぃぃぃ!!もういやなんですぅぅ!! すっきりしたくないんですぅぅ!!めぇぇりぃぃん!めぇぇりぃぃん!!」 「とめ、て、とめて、とめてとめ、て、ありす、をころ、して、ころして」 だんだんと黒ずんできた身体で、舌をだしながら自分に向かって命乞いを繰り返すまりさ。 よしかは考える。 なんだろう、そういえば自分は死の間際に言いたかったことがあるはずだ。 なんだっただろうか。 「おねがいじますぅぅ……おねがいじますぅぅぅ……。 めぇぇりぃんざまぁぁ……おねがいですぅぅぅ……」 ああそうか、思い出した。 「さよな、ら、まりさ」 「やだぁぁぁぁぁ!!みずでないでぇぇぇぇえ!!!!!」 お別れが言いたかったんだ。 「じにだぐないぃぃぃ!!じにだぐずっぎりぃぃぃぃ!!!」 「ころし、て、ありす、ころすっき、り」 その後まりさは死ぬまで死にたくないと叫び続け、逆にありすは殺してくれて叫び続けた。 今はまりさとれいむのおうち、少し前まではめーりんが住んでいたおうち。 れいむの不満の声が聞こえる。 「まりさおそいよ、れいむはおなかがすいたっていうのに」 なんて事をいっているが、しっかりと越冬用の食料を食べている。 しかしこんなものはれいむにとっておやつにもならない。 「ん?まりざやっとかえってきたんだね!れいむはとってもおなかぺーこぺーこだよ! ――――ゆ?まりさ?」 おかしい。 いつもはただいまなのぜーとか、狩の事を大げさに自慢する声が響くのだがそれがない。 だが音はする、帰ってきたのは間違いないのだが、なんだがゆっくり出来ない臭いがする。 「ねぇまりさ!きいて――――ゆっぎゃああああああああああああああああ!! あああああああああああああああ!!!!あああああああああああああああ!!」 果たしてそこにいたよしかは、れいむの目にどう移ったのだろうか。 真っ黒になったおめめ、穴だらけのお飾り、ツギハギだらけの皮。 自分たちが殺しためーりんだと気づくことが出来ただろうか。 「あああああああああああっっ!!ああああああああっっ!!」 しーしーのみならずうんうんまで垂れ流し、狭いおうちの奥へ逃げていく。 出口の反対方向へと。 「ひぃぃぃいいいいいい!!ぁあああああああああああ!!」 よしかにとってはもはやれいむの心情などどうでよい、関係が無いのだ。 れいむは好きだった、それは事実だ。 だから取りに来たのだ。 おかーさんはよしかに言った。 好きな部分をとってくれば、自分が宝物に加工してあげると。 だかられいむを、好きなものと嫌いなものに分けるのである。 「ひいぃぃぃいいいいい!!ええええええがぁぁぁ!!?? がみざ!がみざんひっばらいだああああああああああ!!!」 まずは髪の毛だ、黒くて長い髪の毛は見ているだけでゆっくりできた。 自分はほとんど触ったことはなかったが。うん、とってもサラサラだ。 歯で髪の毛を無理やり引き千切る、よしかは出来る限り抜くつもりだ。 「いだあああああああああだぁ!!!!やめがああがががぎぎぎ!!! もみあげえがああああががががあががが!!いだがががが!!!」 よしかが満足する量を回収し終えたときには、既にどの種か分からないゆっくりがいた。 強引に引っ張られたためか、頭部の皮が所々破れてしまっている。 「ぎぃぃぃいいだいいいいい!!ぐるなぁぁぁぁああ!!ぐるなぁぁぁぁ!!!」 れいむのほうは完全にパニックだった。 いきなり化け物が家に現れ、何も言わずに自分の髪の毛を毟ったのだ。 痛みと恐怖に泣き叫びながら、家の中で暴れまわる。 「つ、ぎは」 そんなれいむの抵抗もよしかにはほとんど意味をなさない。 次はどこにしようか、そう考え。 滝のように砂糖水を流し続ける目に魅かれた。 「ん」 「やだあああああああああ!!なにじでるんだぁっぁあ!!ぐらいぃぃ!!はなぜぇぇ!! いっ、だだだあだああああああああがががが!!」 れいむの右目に口を当て、強烈に吸い付く。 きゅぽっと、それだけで簡単にれいむの目玉がよしかの口へと渡った。 「よ、し」 「ひっぎゃがががあああああああ!!!おべめがあっ!!いだずぎるぉおおおおおおお!! あああああああああああ!!あああああああああああああ!!!」 とっても綺麗だ、これは大切にしよう。 こうなったらもちろん残った目ももらってしまおう。 暴れてるれいむに乗り上げ、同じように左目に口をつける。 「いだいぃぃいぅいぃ!!!いだぃよぉぉぉぉおおおおお!!」 「ん、あれ」 自分が何をされているのか、痛みのために理解できていないれいむ。 それでも硬く閉じられたまぶたのせいで、吸い出すことが出来ない。 となればもうよしかが取る方法は一つ。 左目ごと齧り取るのだ。 「あ、む」 「ひっ!?おうをあおおうおがががぁあぁぁぁぁっっ!!! ぎぃぃぃああああああああああああああああああああ!!!」 よしかですら顔しかめるような大絶叫が辺りにこだまする。 目を抉り取られたのだ。 両目の穴からドス黒い涙を流し、後頭部をがんがんと地面に打ち付けている。 「よ、い、しょ」 歯も綺麗だな。 そう思ったよしかが取った行動は単純だった。 れいむの口を、思いっきり踏みつける。 「ああああああああああっ!あぼぉ!が……ががっ!」 「あ、れ」 一撃で、歯はみんな折れてしまった。 それはいいのだが、ほとんどが欠けてしまって綺麗な形を保っているのはわずかだ。 「ざ、んねん」 「ががぁがっ、あっがっがぎぃぃぃ……」 もはやよしかよりも酷い身体になったれいむを一瞥するよしか。 残りはどうしようかと考える、そうだ食べてしまえばいい。 「あっがぁ……あぎぃ!?ぎいいぃぃええええええええ!!」 髪の毛を毟られたその頭にかぶりつく。 おくちは出来るだけ残そう、好きだったれいむの声を出来るだけ聞きたいから。 記憶に無いほど甘い味が広がっていく、とってもおいしい。 夢中になってよしかはれいむをその口に運んでいく。 「ひっぎぃぃぃ!!ぎいぇえええええええああ!!」 そのたびにれいむは甲高い悲鳴でよしかに答える。 それが嬉しい、死ぬことで自分達はやっと分かり合えるのだ。 「ぐぃぃ……がっ!……っ!!……」 それにしてもなんてれいむは美味なのだろうか。 ほら、これも知らなかった魅力の一つだ。 そして死んで、変わった自分だから言えるのだ。 「ごちそ、うさま、れい、むさような、ら」 最後の一口もそれはそれは甘かった。 れいむのいるおうちから聞こえてくる悲鳴を楽しみながらせーがは祝う。 物事が望むとおりに進んだこと、そしてこれからの幸せな生活を。 めーりんはせーがの子供だった。 希少種ゆえのたった一匹の子供だが不満は無かった、とっても可愛かった。 願望はあった、せーがという種であるゆえの。 だから独り立ちした後もおちびちゃんをずっと、ずっと追っていた、見守っていた。 もちろん、殺すことなど考えたことは無い。めーりん種といえど大切なおちびちゃんだ。 それに焦らずとも自分の望みはすぐに叶うだろうと思っていた、実際そうなった。 ――――あのゆっくりたちに串刺しにされているおちびちゃんを見たときは震えたものだ。 怒りではない、歓喜で。 穴だらけのおちびちゃんの死体に頬ずりをした、なんて可愛らしいのだろう。 これでこの子は念願のよしかへと生まれ変わることが出来るのだ。素晴らしい。 そうして蘇らせたおちびちゃんは、想像以上の出来だった。 自分からある程度離れてしまえば、またただの死体に戻ってしまうだろうが何の問題も無い。 もう二度と離れるつもりも、離すつもりも無い。 あの子には自分がいればいい。 「おか、さん」 「あらあら、思い出してくれたのねよしか。 そしてお帰りなさい、満足できましたか?」 「う、ん」 なんて愛おしいのだろうか。 この死臭が、黒ずんだ目が、穴の開いた舌が、それで発生される声が、全てが愛しくてたまらない。 「さぁさぁ、これから何処へ行きましょう。 あなたの、ねがうもの、わたしが全て手に入れましょう。 あなたの望みは全てかなえましょう」 「ありが、と、おか、さん、すき」 幸せな親子は、夜の森へと消えて行く。 片方の死は二匹を分かつ事は叶わなかった。 なら自分が死んだら? そのときは同時によしかも死ぬのだ、なんて素敵なことだろう。 「とってもかわいいわ、私のよしか」 最後までお読みいただきありがとうございました。 過去作 anko4095 『てーとまりしゃ』 anko4099 『てーとまりしゃとれいみゅのおとーさん』 anko4122 『てーとありしゅのおかーさん』 anko4126 『choice』 anko4203 4204『てーと野良と長雨 前後編』 anko4206 『全部漢字表記になった理由』 anko4254 『てーと野良と加工所と愛護団体』 anko4267 『ドリブル』 挿絵: 挿絵:
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「条件」を書いたものです。まだ名はありません。 今回も「格差」が大きく出ています。以下の注意点があります。 ・誤字脱字、文的に変なところがあるかも知れません。 ・希少種優遇ものです。(希少種は死ね!!という派の方はUターンをお勧めします) ・納得いかない終わり方かも知れませんので覚悟の上でご覧下さい ・設定に納得いかない点があるかも知れませんがご了承下さい。 以上の注意点を踏まえた上でお楽しみください。 それでは始まり始まりー ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「やい、くそじじい!まりささまたちにあまあまをけんじょうしろだぜ!!」 「れいむはおなかがすいてかわいそうなんだよ!いっぱいちょうだいね!」 「はやくしなさい!まったくいなかものはとろすぎるからこまるわ!」 「むきゃきゃきゃ!ていのうのぶんざいでいだいなけんじゃのぱちぇにやくだてることをこうえいにおもいなさい!」 「・・・」 家から少し離れたコンビニに出かけた。買ったものは雑誌、飲み物とスナック菓子。 気になる漫画を立ち読みをしていい気分転換が出来たと歩いていた矢先にこれだ。 「なんでお前らに食べ物やらなきゃいけないんだよ?馬鹿か?死ぬのか?」 「・・・ゆふふふ!ばかはじじいのほうだぜ!」 「これをみなさい!いなかもの!」 「あ!」 よく見ると4匹の飾りには金バッチがついていた。体も割と綺麗な方だが・・・ 「お前らどっかから盗んで来たのか?」 「ゆゆっ!?しつれいなどれいだね!これはれいむたちのだよ!!」 「本当かよ。なら、調べさせろ。」 俺は四匹のバッチの裏を確認した。確かにそれぞれについているバッチは付けている者の種類を指している。 「これでわかったかだぜ!だったらはやくあまあま「ちょっと待て」」 「お前ら金てことは飼いゆっくりだろう?飼い主にあまあまを貰えばいいだろうが」 普通に考えれば金がこんなことをする筈がない。考えられるのは・・・ 「お前ら、捨てゆっくりか?」 この口の悪さだ。捨てられてもおかしくない。汚れも目立たないとはいえ付き始めている。 「むきゃきゃ!いだいなぱちぇがすてゆっくりですって!」 「とかいはなありすがすてられるわけないじゃない、このいなかもの!」 「れいむみたいなゆっくりできるゆっくりをすてるにんげんなんてこのよにいないよ!」 「まりささまたちはいえでゆっけりだぜ!」 「は?」 聞くところによるとこいつらは仲良しグループで4匹とも飼い主の愚かさに絶望し家出をしたそうだ。 別に聞きたくはないがゆっくり共は家出をした理由を話し出した。 れいむは子供が欲しかったが飼い主に反対されていた。 我慢できなくって家に来た飼いゆっくりのちぇんとすっきりをした。子供が出来たのはちぇんの方だったがれいむは満足した。 だが、飼い主は物凄く怒り茎に付いていたれいむにのおちびちゃんを潰した。れいむはあまりの怒りに家を出たそうだ。 まりさは元気に遊んでいたら奴隷のガキ、つまり飼い主の子供がまりさのゆっくりプレイスに入って来た。 少しせいさいしていたら飼い主の平手打ちを喰らったそうだ。まりさは家出を決意した。 ありすはとかいはなコーディネートをしていたらしく会心の出来だと喜んでいたら飼い主が帰って来た。 コーディネートを誉めてくれると思ったありすだが、来たのは罵倒と蹴りであった。 いなかものだとは思っていたがここまでいなかものだとは思わなかったありすは家出をしたのだ。 ぱちゅりーはけんじゃな読書タイムを満喫していたところを飼い主が帰ってきた。 天才的な頭脳が疲れたのであまあまを要求したら飼い主がくれたのは殺意の篭った拳であった。 ぱちゅりーは余りにも愚かな奴隷に幻滅し家出をした。 自分達の話のゆへんとしている四匹。引っ立ている四匹を他所に俺はただ呆れていた。もう帰ろうとしたその時・・・。 「!?」 俺はあるゆっくりに目が止まった。四匹を無視しそのゆっくりの元に走った。 「おい!大丈夫か!?」 「じゃ・・・おおお・・・」 あまりの暑さで死にかけている銀バッチのめーりんを見つけた。 「ゆ!くずめーりんがいるよ!」 「むきゅ!まったくゆっくりしてないわね!」 「ほんとうにいなかものね!」 「かんだかいまりささまがいまらくにしてやるだぜ!」 めーりんの存在に気付いたゆっくりは罵倒し始める。だが・・・ 「うー!だまれ・・・!!」 「「「「ゆっ!?ふ、ふらんだあああああああああああああー!?」」」」 「だまらないと金バッチだろうがころす・・・!!」 「「「「ゆあああぁぁぁぁぁ・・・」」」」 突然現れたゆっくりふらんが四匹を睨み付ける。しーしーを盛大に漏らす四匹。 俺は急いで買ったスポーツ飲料をめーりんに飲ませた。すると渇いていた肌が元に戻っていく。表情もゆっくりしてきた。 辛そうだったふらんにも残りのスポーツ飲料を飲ませた。夜行性と思われているふらんだが一応昼も行動できる。 だが、この暑さは流石にしんどかったようだ。めーりんのバッチ番号を確認した俺は職場に電話をかけた。 「もしもし、職員の・・・○○か!ちょうどよかった!例のめーりん見つけたぞ。 容態は脱水をしていたがスポーツ飲料の飲ませたから今はもう大丈夫だ。 早く飼い主さんに・・・そこにいるのか。なら、場所は・・・」 現在地を説明し頼み事をして電話を切った。 「めーりん、すぐにお兄さんが向かいにくるぞ」 「じゃおお・・・」 「めーりん・・・」 どこか俯かない顔をするめーりん。ふらんは心配そうにめーりんに寄り添う。電話をして5分位経った頃。 四匹は小声でめーりんの悪口を言っている。ふらんが睨み付けで黙らせた。 目の前にスクーターが一台止まった。ヘルメットを取り、俺の元に凄い勢いで近づいて来た。 「めーりん!よかった・・・よかった!」 抱えていためーりんを受け取った途端、めーりんを抱きしめる青年。今にも泣き出しそうだ。 「じゃおおおおん!じゃおおおおおおん!!」 「いいんだよ・・・お兄さんも悪かったんだ・・・無事でよかったよ」 喋れないゆっくりであるめーりんと完全に意志疎通をしている。喋れないゆっくりと意志疎通が出来るのはかなり良い信頼関係を築いている証拠だ。 めーりんは家出ゆっくりであった。 青年の説明によれば、めーりんのお気に入りのクッション(お兄さんからの最初のプレゼントで一番の宝物)を青年は説明せずに洗濯してしまったらしい。 それを捨てられたと勘違いしためーりんは外へ飛び出してしまった。しばらく泣いていたが暗くなってしまい帰れなくなった。 途方にくれているとふらんが心配して話しかけて来た。めーりんは事情を説明するとふらんは巣に招き入れた。 友達になってくれた。めーりんは初めて友達が出来た。 翌朝、めーりんは家に帰ってお兄さんに謝ろうとふらんの巣を出た。だが、あまりの暑さに途中で動けなくなった。そこを俺に救われたと言っている。 ふらんも心配になって急いで後を追ったそうだ。追い付いた時、そこの四匹がめーりんを罵っているところだったので威嚇に入ったそうだ。 青年はめーりんを馬鹿にした四匹を冷たい目で睨んだ。四匹はその目に恐怖し、しーしーを流した。 だが、そいつらのことよりも今はめーりんが無事であったことが嬉しかった。 「本当にありがとうございます。なんとお礼を言えば・・・」 「いえ、これも仕事ですから。それにお礼はふらんに言ってあげてください。」 俺がそういうと青年はふらんにも深くお礼を言った。そして、ある提案した。 「ふらん、お世話になったのに一つ頼みがあるんだ。お兄さんとめーりんと一緒に暮らさないか?」 「うー!?」 その提案にふらんは驚いた。このめーりんはかなりの引っ込み思案で中々友達が出来なかった。 ふらんはそんなめーりんの初めての友達だ。出来れば一緒にいさせてやりたいと青年は考えた。 「じゃおおじゃおおおん!」 「めーりん・・・。」 完全には理解できないがめーりんが何を言いたいのか俺でも分かる。ふらんは顔をあげた。 「ふらんもめーりんと一緒にいたい!」 青年はめーりんとふらんを抱き抱え、俺にもう一度深くお礼を言って帰っていく。 見送ったあとに残ったのは俺と金バカの四匹が残った。 四匹はめーりんの姿を見て羨ましくなった。ゆっくりできないと蔑んでいためーりんのあのゆっくりとした光景には羨ましいと思えた。 「安心しろ、お前等のももう少しで来るから」 「「「「ゆ!?」」」」 俺の発言に驚いたがすぐに態度が戻る。 「そうだね!あのくずめーりんだってむかえにきってくれるんだよ」 「とかいはなありすたちだってとうぜんむかえにくるわ!」 「けんじゃなぱちぇがいなくなったんですもの!けっそうをかえてさがしているわ!」 「はやくくるだぜ!どれい!」 帰ったらどうするか迎えに来るのが遅かった奴隷をどう制裁するかを和気あいあいと話す四匹。 すると四匹は大きな影に包まれた。この影の主はきっと奴隷だと確信する四匹はくるっと後を向き「ゆっくりしていってね」を言おうとした。 心の広いれいむたちは遅れた奴隷に対して過ぎる言葉だったが自分達の最高のゆっくりしていってねを聞かせてやることにした。 「「「「ゆっくりしていって・・・ね?」」」 振り向いた先にいたのは飼い主ではなかった。そこにいたのは・・・ 加工場の制服を着ていた人間であった。 「先輩、休暇なのにお疲れ様です!」 「いや、これを放置していく訳にはいかないからな。」 突然、現れた加工場の人間と親しく話す俺を見て混乱する四匹。混乱していたが次の言葉で正気に戻させた。 「こいつらですか?処分届けがあったのは?」 「そう、ご丁寧に四匹一緒に俺に絡んできやがったよ。まあ、手間は省けたがな。」 「あー災難でしたね」 四匹に嫌な言葉が耳に入った。処分。それはペットショップで散々聞いた言葉。それになったものは永遠にゆっくりしてしまうこと。 「「「「どうじでじょぶんされるのー!!!?」」」」 「・・・お前等が散々奴隷とか吐かした人からの頼まれたんだよ、俺達」 「じじいはなにものなのぜ!?」 「俺か?俺は・・・」 後輩の一人が持っていた頼んだものを受け取り頭に被せた。 「俺は加工場の職員だ。ついでにいうとこの地区のリーダーさ。」 俺が被ったのは加工場の帽子だ。それを被った途端、四匹は目を見開いて静かになった。 「一応説明してやるよ、なんで処分されるかをな」 四匹は冷や汗をかき始めたが無視して続けた。 「まず、れいむ。他人の飼いゆっくりを無理矢理れいぷして子供を作らせた奴はもう面倒見切れないそうだ。 あ、お前がれいぷして出来た子供はちぇんの飼い主から引き取ってお兄さんが育ててるから安心しろ。でも、れいむ種は潰したらしいぞ。」 「ゆう?ゆう・・・?」 「まりさ。お前がせいさい!しようとしたのは飼い主の妹だ。妹を傷つけようとしたお前の顔なんて二度と見たくないって。 お前の遊び道具とか集めていたガラクタはもう捨てたってさ。」 「ま、まりさのたからものを・・・?」 「ありす、お前がとかいはなこーでぃねいとをしたせいで色々なものが駄目になったそうだ。 なによりも許せないのは飼い主の大切な品を無惨に壊したことだ。あんな田舎者ですらないありすなんていらないそうだ。」 「あ、ありすがいなかものいか・・・?」 「最後にぱちゅりー。お前が理解も出来ないくせに弄った本はべとべとでもう読めなくなったらしい。 その中には大切にしていたものもあったみたいでな。もうお前みたいな無能なゲロ袋はいらない!だって」 「ぱちぇば・・・むのう・・・?」 告げられたことがあまりにショックで無言になった。俺はお構いなくとどめの一撃を言い放った。 「れいぱー母性もげす帽子もいなかもの以下も無能で馬鹿なゲロ袋もいらない。つまり、お前は・・・」 四匹の付けていた金パッチをむしり取り俺の足元に落とした。 「自由な野良になったってことだよ」 足元に落としたバッチを原型が分からなくなる位踏み潰した。四匹は何も言えなかった。自分達の誇れることが既に跡もなく無くっていたという事実を突き付けられたからだ。 「さて、加工場に連れていてくれ。でもな・・・」 後輩に指示を出して俺は家に帰った。貴重な休日を堪能するために・・・。 あれからめーりんは幸せに暮らしている。もう二度と家ではしないだろう。 ふらんのお飾りにはめーりんと同じ銀バッチが輝いている。野良出身でありながら短期間で取れたのはめーりんと一緒がいいという思いが強かったからだろう。 お兄さんもめーりんだけでなくふらんにも愛情を注いだ。なんたって、めーりんの初めての友達であり・・・ 「「「めーりんー!ふらんー!遊ぼう~!」」」 「じゃあああん!」 「うー!うー!」 引っ込み思案だっためーりんを変えてくれる切欠を作ってくれたのだから。 他にもめーりんには友達が出来た。積極的に他のゆっくりとも交流をするようになった。 いつも一人ぼっちで寂しそうな顔をするめーりんはもういない。 めーりんとふらんには欠かせない日課がある。それはお昼寝をすることだ。 その寝顔はとてもゆっくりしていた。 飼い主のお兄さんは風邪を引かないように掛け布団を掛けてやる。 めーりんは天命を全うするまで幸せなゆん生を送ったという。 ・・・一方、あの四匹はというと 「んほほおおおおお!!!いいまむまむよれいむ!!!」「いやじゃああああ!!!しゅっきりしたくない!!!」 「まりざはずっぎりじだくないだぜ!!!!」「つんでれさんなのねー!!!!あんしんしてー!ありすがとかいはなあいをいっぱいそそいであげるわー!!!」 「やべでぇぇ!!!ありすがありすをおかさなでー!!!!」「いいわー!!このきんだんのすっきりみたいでとてもとかいはよー!!!!」 「びょうじゃくなばちゅりーがなんどやってもしなないなんてー!とかいはよー!!!」「むぎゃああああ!!!!??だれがばじゅりーをごろじでー!!!」 れいぱーありすによって無理やりすっきりさせられた揚句、薬によってすぐ赤ゆっくりが産まれるようになった四匹。 すっきりをして瞬く間に赤ゆっくりが産まれる。だが、4匹は産まれて来た我が子と「ゆっくりしていってね!」の挨拶を交わすことが出来ない。 「やべでぇぇぇ・・・!!まりざのあがじゃんいぎゃないでー!!!!」 「もどでぐぎで・・・!!ずりずりじようよ!おうだをうだおうよ・・・!!!(グシャ!)お、おじびじゃん・・・!!」 「ありずのどがいはなあがじゃんが!!(グシャ!)もうやべぇでー!!!(グシャ!)ゆぎゃあああああ!!!」 「ぱぢぇのけんじゃなおぢびじゃんが・・・!!やべぇで!お、おじびじゃん・・・!そんなべでみない(グシャ!)おじびじゃん!!!!」 何故なら産まれた我が子はペルトコンベアーに乗せられ商品の材料になったり、実験のための道具になったり、補食種の餌になったりと一切ゆっくり出来ず死んでいく。 断末魔や助けを呼ぶ声、なんで助けてくれないと言わんばかりの殺意の籠った目線を送る子どもや必死でいい子になると叫ぶ子供がいる。 助けることが出来ない四匹は泣く暇もなくすっきりをし続ける。 すっきりが終わり、牢屋に近い入れられても四匹には休める訳がなかった。 「よぐもまりささまをだまじだな!!!このクソどもがー!!!!」 「じね!じね!れいむたちをだまじだゲスはじね!!」 「なにがかいゆっくりにしてやるだ!!!なにがごはんをめぐんでやるだ!!!」 四匹以外にもゆっくりは多く入れられている。それらのゆっくりは殺意をこもった罵倒と攻撃を繰り出す。 「やべぇで・・・!!もうやべぇで!!!」 「ゆっぐりじだいよ・・・!!ゆべぇ!!?」 「ありすのかみのけんさんひっぱらな(ブチ!)ああああ!!!」 「どうじでえれえれできないの!!!??(ドゴ)むぎゃああああ!!!」 四匹にはエレエレ防止用の薬と非ゆっくり症防止用の薬を打たれているので簡単には死ねなくなっている。 何故ここまで恨まれているのか。それはこの四匹が家出をしていた時に遡る。 四匹は餌には困らなかった。何故なら野良にとっては上級のごはんを食べることが出来ていたからだ。(飼いゆっくりの頃のごはんに比べればレベルが低いが) 餌を多く集められるゆっくりから貰っていたのだ。ある提案をして・・・ 「まりささまたちにごはんさんをくれたやつはいえにもどったらどれいにかいゆっくりにしてもらうようにたのんでやるのぜ」 「かいゆっくりがだめでもおいしいごはんをもってきてあげるわ。どう?とかいはなはなしでしょ?」 「でも、おいしいごはんじゃないとだめだよ!いっぱいくれたゆっくりにはどれいにつよくめいれいするよ!」 「かいゆっくりになれなくてもおいしいごはんさんはてにはいるのよ!とてもけんじゃてきでしょう?」 野良ゆっくりたちはその提案を信じた。勿論金バッチを付けていたのは大きい。 最高級のご馳走といえるべきご飯を四匹に渡したのだ。 野良にとっては飼いゆっくりになれるかもしれないというのは又とないチャンスなのだ。 だが、餌を渡したゆっくりたちは裏切れた。しかも最悪なことに渡していたゆっくり全員が加工所に捕まったのだ。 そこで出会ったのはあの四匹だ。野良達は理解してしまった。こいつ等はもう金バッチの飼いゆっくりではないことを・・・ 散々利用されたという怒りが爆発し、この様に四匹はストレス解消のサンドバックになったのだ。 食べ物をくれたゆっくりの殆ど処分されても今度は残ったゆっくりには「捨てられた飼いゆっくり」と罵られるようになった。 ボコボコにされた四匹は飼い主を罵倒する。 自分達を捨てたことを罵倒した。奴隷としての役目を果たしていないことを罵倒した。 それが四匹にとってのストレス解消法なのだから。 ・・・ポチ・・・ 職員が四匹の前にテレビをつけた。そこに映っていたのは・・・奴隷と言っていた飼い主と・・・見知らぬゆっくりであった。 とても楽しそうにゆっくりしている飼い主と見知らぬゆっくり。 今まで奴隷のあんな楽しそうな顔を見たことが無い四匹は少しフリーズしていった。 「「「「――なんだあの「お前らの元飼い主の新しいゆっくりだよ」ゆ!!?」」」」 新しいゆっくりという言葉にまたフリーズする四匹。お構いなしに職員は続けた。 れいむの元飼い主と一緒にいるちぇんは、れいむがちぇんをレイプして作った子供だ。お兄さんはちぇんの飼い主から謝罪を込めて引き取ったのだ。 飼い主の持つ猫じゃらしを一生懸命追いかけるちぇん。その姿を見てお兄さんはとてもゆっくりした顔をしている。 まりさの元飼い主と一緒にいるさなえは、怪我をしているところを加工所が保護したゆっくりであった。まりさの代わりにと加工所がそれ程高くない値段で提供した。 さなえと一緒に歌を歌う飼い主の妹。その光景はとても楽しそうであった。お姉さんは楽しそうにしている妹の姿を見てとても優しい笑顔をしている。 ありすの元飼い主と一緒にいるさくやは、飼い主のお爺さんが死んで途方に暮れていたところを保護された。ありすの元飼い主に試しにとさくやを提供した。 お兄さんはさくやを気に入り正式に飼いゆっくりにした。今は一緒になって部屋の掃除をしている。だが、お兄さんは楽しそうであった。 ぱちゅりーの元飼い主と一緒にいるぱちゅりーは、とても利口であった。あの後、知り合いからぱちゅりーの子供を引き取ったらしい。 今度は失敗しないと頑張ろうとしたお姉さんだが、元から優秀であったぱちゅりーにその決意は必要なかった。 ぱちゅりーに本を読んであげるお姉さん。一生懸命聞くぱちゅりーの姿を見てこれからの成長を楽しみにしている。 「「「「・・・」」」」 映像が終わり、真っ黒の画面を唯見続ける四匹。正直、この生活はいつか終わると思っていた。 奴隷が結局、自分達を引き取りに来ると考えていたからだ。だが、この映像を見て確実に確定してしまったものがある。 迎えに来るなんてことはこの世が滅んでも絶対にあり得ないと。だって、奴隷・・・飼い主は新しいゆっくりと幸せにしているのだから。 四匹は見たことが無かった。新しいゆっくりに向ける優しく暖かくほほ笑む飼い主の姿を・・・。 「ご、ごめんなざい!!!!ぜんぶれいぶがわるがだでず!!!!」 「ばりざがじょうじごいでまじだ!!!いいごになるがらだずげでぐだざいいい!!!!」 「ありずがいながものでじだ!!もうごーでぃねいどなんでじまぜんがら!!!!!」 「ばちゅはむのうでおおばかものでじだ!!!おりごうにながるがら!!なるがら!!!」 この状況を脱出することが出来ないと理解してしまった四匹は掌を変えた様に謝りだした。 チャイムが鳴る。このチャイムが鳴るということは地獄の開始であることが四匹の芯に植えつけられたいた。 部屋に入ってきた職員に連れて行かれながらも四匹は謝り続けた。だが、無意味にも程がある・・・。 飼い主たちの頭には前のゆっくりのことなんて微塵も残っていない。だって、今自分にとてもゆっくりできるゆっくりがいるのだから・・・。 テレビをつけた職員は帽子・・・いや、俺は帽子をとった。 「散々好き勝手してきいたツケだ、馬鹿どもが。それと・・・」 俺は四匹に向かって舌を出した。 「俺の休みを邪魔した罰だよ。死ぬまでゆっくりしていきな」 そういって俺は再び帽子を被り、仕事へと戻っていた。 家出をした代償として四匹は、誰からも優しくされず激痛と苦悩を強いられるゆん生を支払うことになった・・・。 四匹は仲良く加工場という地獄で天命を全うさせられた。 家出をしたゆっくりの結末は二つに分けられる。 一つはお互いの大切さを再認識しより良い仲を築いていける結末。 もう一つは、完全に見限られ栄光の生活は崩壊に惨めで愚かな姿になるという結末。 四匹は、飼い主に感謝をせず奴隷と言い続けた挙句、飼い主を失望させる地雷を自ら踏みぬいた。明かなる自業自得である。 自分の愚かさを理解してももう遅すぎる。何故なら、一度失った信頼を回復させるなど奇跡に近いからだ。 それがゆっくりなら尚更である。 ~E N D~ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき 五作目です。如何だったでしょうか? 基本種4匹のゲスを酷い目に遭わせるのって楽しいね!という感覚で作ってみました。 前回は長過ぎたので今回は20KB位に抑えてみました。読みやすかったでしょうか? 楽しんでいただけて、尚且つすっきりできたら幸いです。 それではお読みになられた方に感謝をしつつ、手短いですが今回はこの辺で・・・。 過去作 ・1856「条件」 ・1907「嫌われた代償と招く幸福(前編)」 ・1914「嫌われた代償と招く幸福(中編)」 ・1957「嫌われた代償と招く幸福(後編)」
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タイトル:ゆっくり地蔵の祟り 作者名:蛇足あき ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 私が語るのは、とあるゆっくりの群で起こった、たたりの話です その群は人の住む場所から遠く、人と関わるゆっくりも、わざわざ虐待にも保護にも人が訪れない そんな場所です そのゆっくりの群には、とある番がいました 優しい性格の性か、狩りが少しだけ下手なまりさと 母親ぱちゅりーの影響か、病弱になってしまったありすの番です この2匹は、病弱なありすの性か子宝には恵まれず、また食べる物にも多少ながら困っていました その原因は、まりさの狩りの下手さにもあるのですが、なりよりこの群の長が原因なんです 『れいむはしんぐるまざーなんだよ!!ちゃんとしょくじをわけてね!』 『『わけちぇね!!』』 この群の長は、とても珍しい事にれいむが勤めていたんです まあ、元の長の番だったというだけで、れいむ自身が優秀だった訳では無いんですが それでも運が良かったのか、群の長として、何もしないで餌を手にいれてたんです クーデターを起こそうにも、今ひとつ踏ん切りが付かない 餌を盗られてしまっているから、ゆっくり達の体力も無い 沢山の餌を食い続けて居るから、れいむ一家は多少大きくて強い 誰もが自分は犠牲になりたくない そして餌を盗られ続ける そんな悪循環が続きました 『ただいまだぜ……』 狩りで採れる餌だけでも満足できないのに、れいむに大半盗られてしまう まりさが持ち帰る餌は、いつも極僅か 『おかえりなさい、まりさ』 それでもありすは文句を言わなかったんです まりさの負担になっていると自覚していましたから 『たくさんたべるんだぜ』 『ありすはもういいわ。まりさこそたべないと』 『まりさはだいじょうぶだぜ。ありすがしんぱいだぜ』 それでもまりさはありすを嫌う事は無く、ありすをいつも気遣っていました 『きょうはこれだけね……』 『すくなくなったけど、きっとわかってくれるんだぜ』 そんな2匹は、いつもある事をしていました 多少の餌を持って、病弱なありすと一緒に、まりさはある場所へと向いました 巣から離れた所、群のゆっくりがあまり近寄らない所 そこに2つのゆっくりの石像が置いてあったんです ゆっくりみまを模した像と ゆっくりしんきさまを模した像の2つです 『きょうのおそなえものよ』 『すくないけど、がまんしてほしいんだぜ』 その2つのゆっくり地蔵に、まりさとありすはいつもお供え物をしていたんです 理由はわかりません その2つの地蔵に対して、少しだけ祈るかのようにゆっくりした後、2匹は巣へと戻って行きました ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そんな生活が続いたある日の事でした 『ゆ……』 『ありす!しっかりするんだぜ!!』 ありすが危篤状態になってしまったんです 『まりさ……ごめんね……ありすはもうだめだわ……』 ありすは、自らの命がもう長く無い事を悟りました 『そんなの、ありすがいうとかいはじゃないんだぜ!まりさがなんとかしてみせるんだぜ!』 まりさはどうにかして、最愛の番であるありすを助けてあげたかった 古今東西、ゆっくりというのは単純な物で、オレンジジュースやら甘い物を食べさせれば、体力は直に回 復します まりさはその事を本能で知っていました。ですから、その2つを求めて、狩りへと出かけたのです とはいえ、人と関わった事の無いゆっくり達には、どちらも手に入れる事は困難でした 何処を探しても、オレンジジュースが湧いて出る場所があるはずも無く 何処を探しても、あまあまが落ちているはずも無い 狩りで手に入れたのは、結局はいつもと代わらない物だけでした それも結局は 『だめなんだぜ!それはありすのぶんなんだぜえ!!』 『うるさいよ!れいむはしんぐるまざーなんだよ!!こどももいないまりさはだまっててね!!』 『だまっちぇちぇね!!』 『もっちょもっちぇきちぇね!』 『かえしてえええ!!!』 れいむに見つかって、殆ど食べられてしまったんです 『ありす……ごめんねえ……』 まりさは泣きながら、ありすへと謝りました もう自分が食べる分も無い。当然、ありすが元気になるような量なんかではありませんでした 残っているのは、いつものお供えの分だけ 『……』 まりさは巣へと戻らず、いつもはありすと一緒に行くお供えに、1匹で行きました 『ごめんなさいだぜ……もうまりさたちはおそなえできないんだぜ……』 残っていた餌を、全て2つの地蔵にお供えしたんです 『みまさま、しんきさま、ゆるしてほしいんだぜ……でもせめて……せめてありすはゆっくりさせてほし いんだぜ……』 まりさは泣きながら、2つの地蔵に縋るように頭を下げました 当然、みま像もしんきさま像も何も言いません まりさは泣いたまま、巣へと戻って行きました 『…ありす……ゆ?』 巣へと近づく度に、まりさは何かを感じ取りました 『とてもあまいにおいがするんだぜ……もしかしたら!』 まりさは泣くのを止めて、その匂いがする方へと走っていきます そこは、まりさとありすの巣の入り口でした その前に 『ゆわー!!』 沢山のあまあまが置いてありました 『みまさま!しんきさま!ありがとうだぜ!』 まりさはそういうと、そのあまあまを帽子に詰めました 『ありす!ありす!!』 そうしてすぐに、ありすへと届けたのです 『ゆ……まりさ……』 『みまさまとしんきさまがあまあまをくれたんだぜ!さっそくありすがたべるんだぜ!』 そうしてまりさは、帽子からあまあまを取り出します 『ほんとうに……?まりさのぶんもあるの……?』 『たべきれないくらいあるんだぜ!これならありすもげんきになるんだぜ!』 『じゃあ……たべるわね……』 ありすはまりさの持ってきたあまあまを口に含み 『む~しゃ……む~しゃ……しあわせ……』 最高にゆっくりとした表情を浮かべて 『……』 『ありす?』 そのまま、死んでしまいました 『……ありす……ゆわーーん!!!ゆわーん!!!』 まりさはありすの死を知り、泣き続けました 最高にゆっくりした表情のありすの側で、まりさは泣き続けました もっと早ければ良かったと言う後悔と 最後にありすをしあわせに出来たと言う思いと 助けてくれたみまとしんきさまへの感謝と 様々な感情が混じって、まりさは泣き続けました ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― まりさは次の日からも、狩りをし続けていました 最後にありすへとあまあまをくれた、みまとしんきさまへのお供えを手に入れるため どれだけれいむに盗られても、自分にはみまとしんきさまがくれたあまあまがあるから大丈夫だと 少しずつ、計画的にあまあまを食べて、まりさはみまとしんきさまへのお供え物を狩っていました ですが、それを気に食わない物が居ました 『まりさはなまいきだよ!れいむはしんぐるまざーなのに!あまあまをひとりじめしてるなんて!!』 『ゆえーん!!れいみゅもあみゃあみゃぎゃほちいよお!!』 『げしゅなまりちゃなんちぇちねえー!!ゆえーん!!』 長のれいむ一家です れいむ一家は、偶々まりさが巣に沢山のあまあまを蓄えている事を知りました 当然ながら奪いたいのですが、そこは少しだけ問題があったのです この群でやっていた事は、あくまで狩りの成果を徴収するだけでした 他のゆっくりが蓄えて居る物を奪うなんて、それはゆっくりできない事です 既に他のゆっくりが手にいれて居るのを奪うのは、ゲスのする事ですから 長と言えども、そんな事をしたらゆっくりできないゆっくりとして、制裁されます ましてや、昔そんなゆっくりがこの群にいた為、長と言えども例外にされないのです まりさの巣のあまあまを奪うには、まりさが死ぬまで待ち、まりさの巣でおうち宣言をする それしかなかったのです とはいえ、れいむ一家は待つ事を良しとせず、また、まりさの食欲も所詮はゆっくりですから、あっとい う間にあまあまが無くなる事もありえます れいむは必死に考えます どうしたらいいのか どうしたらあまあまを奪えるのか 殺したらゆっくり殺しとして、長と言えども制裁されてしまう 『ゆ?』 そんなれいむの視線の先に 『Zzz……』 偶々、めーりんがシエスタをしていました 『……ゆ!』 それを見て、れいむは閃きました ゆっくり殺しの例外と、絶対に大丈夫な方法を ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― その日の夜の事でした 『みまさま、しんきさま、ありがとうだぜ』 まりさはあまあまを食べる前に、そうしてみまとしんきさまへと感謝をしていました 自分があまあまを食べれるのは、みまとしんきさまのおかげだと ありすが最後に幸せだったのは、みまとしんきさまがあまあまをくれたからだと 優しいまりさは、いつもそうしていたのです 『ゆっくりしんでね!!』 『ゆ?』 いきなり物騒な言葉を投げかけられたまりさは、声のした方を見ます 『ゆわあああ!?!!?』 そこには、よく分からないゆっくりがいました 死臭を放つめーりんの帽子を被り めーりんのデスマスクを纏い めーりんの中身で汚れた、薄気味悪い怪物ゆっくり 『げしゅはしゃっしゃとちんでね!!』 『やっちゃえー!!』 そんなゆっくりの後から飛び出してきた、れいむの赤ゆっくり 『しねえ!!』 『ゆべえ!!』 まりさはあっさりと、そのゆっくりに潰されました 『しぇーしゃいだよ!!』 『りぇいみゅたちにあみゃあみゃをくれなきゃっちゃばちゅだよ!!』 赤ゆっくり達は、まりさの死骸の上を飛び跳ねます 『あまあまがへりすぎだよ!まりさはほんとうにゲスだね!!』 そういいつつも、怪物ゆっくりはあまあまを大きな葉に乗せました この怪物ゆっくり、正体は長のれいむでした めーりんを殺して、その帽子と皮を着けて、めーりんになりすまそうとしたのです めーりんを殺すのは、一部のゆっくり以外には合法でした そしてめーりんが殺すという事にしてしまえば、れいむが疑われる事はありません れいむはそう考え、めーりんの皮を纏っているのでした 運が良いだけでなく、多少は頭が働いたようです 誤算と言えば、れいむがあまりにも太りすぎていて、完全に隠れてなかったのですが、それが幸いにもも みあげを外に出し、赤れいむ達がめーりんと勘違いしないようになっていました 『さあおちびちゃんたち!こんなゆっくりできないばしょからゆっくりかえろうね!』 『『ゆっきゅりりきゃいしちゃよ!!』』 そうして、れいむ一家はまりさの巣を後にしました ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ゆ~ゆ~♪ゆ~♪』 『きょうはごちしょうしゃんだね!!』 赤れいむは無邪気にもそう言いながら、れいむの前を飛び跳ねます 『ゆんしょ!ゆんしょ!!』 れいむは葉っぱに乗せたあまあまを引きずり、時には落としながら、自らの巣へと戻って行きます とはいえ、この姿が他のゆっくりに見られては、めーりんとして攻撃してくるでしょう その為、れいむ一家は誰も通らない場所を、遠回りに歩いていたのです 群のゆっくりが、基本的に来ない場所 みま像としんきさま像がある場所 『ゆんしょ!ゆんしょ!』 れいむ一家はそこを通り過ぎます 『『……』』 みま像としんきさま像が、そんなれいむ一家を見つめていました 『ゆんしょ!ゆ……ゆ?』 少しして、れいむは異変を感じました 急にあまあまが重くなったように感じたのです れいむがあまあまを見ると、先程よりも多くなっているように見えました 『ゆ!すごいよ!あまあまがふえたよ!!』 れいむはそのあまあまを見て、そう言いました 『ちねええ!!!』 べちん!! 『ゆぐ!?』 そんなれいむに、赤れいむが体当たりをしました 『れいみゅのあみゃあみゃをうばうくじゅめーりんはちねえ!!』 もう一匹の赤れいむも、れいむへと体当たりをします (なにをいってるの!?おかあさんはおかあさんだよ!) 『じゃお!!』 れいむの口から、そんな言葉が漏れます (なにこれえ?!!) 『じゃおおお!?』 れいむは、まるでめーりんのようにしか喋れなくなっていました もしこの時、れいむが自分の姿を見る事ができれば、更に驚いた事でしょう れいむが身に着けていためーりんの皮が、完全にれいむを包み込んでいたのです もみあげも隠れて、図体も多少小さくなっていました 赤れいむからすれば、めーりん以外のゆっくりには見えなかったのです 『ちねえ!ちねえ!!』 べちん!べちん!! 『あみゃあみゃをうばうくじゅはちねえ!!』 べちん!! 赤れいむ達は、体当たりを繰り返します 当然ながら成体であるれいむにも、皮が厚いめーりんも、そんな体当たりが効く筈はありません ですが (いだあああああいいいい!!!やめてね!おちびちゃんたち!!!ゆっくりやめてねえ!!!) 『じゃおおおおおん!!!』 れいむはあまりの痛さに、震えていました 赤れいむ達の体当たりにではありません 赤れいむ達が体当たりをする時、れいむの体が痛むのです 例えば、めーりんを殺す時に傷つけた頬だったり 例えば、めーりんを殺す時に噛み千切ったあんよだったり 例えば、めーりんを殺す時に食いちぎった左目だったり 例えば、めーりんを殺す時に引き千切った髪の毛だったり 例えば、めーりんを殺す時に…… 例えば、めーりんを殺す時に…… そう、れいむがめーりんを殺す時に傷つけた箇所 それに該当する場所の痛みが、れいむを襲っていたのです 『きいちぇるね!』 『あとしゅきょしだにぇ!!』 赤れいむ達は、めーりんの声で泣き叫ぶれいむの声を聞き、体当たりを繰り返しました 『ゆっくりち』 グチャ!! 『ゆ?』 (ゆ?) 『じゃお?』 赤れいむの1匹が、棒によって跡形もなく潰されました (れいむのおちびちゃんがあああ!!!) 『じゃおおおおおん!?!!』 『れいみゅのいもうちょがああ!!!?』 れいむ達が泣き叫び、棒の側に立って居るモノを見ます 『うー……』 (ふ、ふらんだあああ!!) 『じゃおおん!!!』 『ふりゃんりゃああ!!!!』 れいむ達は叫びました ひょい ふらんが赤れいむを摘み上げます 『ゆ~、おしょりゃをちょ』 『ゆっくりしね!!』 ベチン!!! 『ゆびいい!!!』 (ゆがあああ!!!) 『じゃおおおん!!!』 『しね!しね!めーりんをいじめるれいむはしね!!』 ベチン!ベチン!! ふらんは、何度も何度も、赤れいむをめーりんに叩きつけます 傍から見れば、どうみてもめーりんを苛めて居るようにしか見えません とはいえ、ふらんは頭がおかしいけど、悪くは無いゆっくりです めーりんの皮の厚さを知って居るからこそ、めーりんに叩きつけているのです 地面に叩きつけたら、一瞬で死ぬ事も理解していたからです 『いぢゃい!いぢゃい!!やめちぇええ!!!』 (やめてねえ!!れいむをいじめるのはゆっくりやめてねえ!!) 『じゃお!じゃお!!じゃおおおおん!!!!』 『……』 ピタリとふらんの動きが止まりました 『ゆ……ゆ……』 (おちびちゃんをはなしてね!ゆっくりしないでふらんはしんでね!!) 『じゃお!じゃお!』 そんなふらんに、れいむは痛みを堪えながら言います ドス!! (ゆ…?) 『じゃお…?』 そんなれいむに、ふらんは情け容赦なく、れーばていんと呼んでいる棒を、突き刺しました (ゆがあああああ!!!!いだいいだいいだいい!!!!!) 『じゃおおおおお!!!?』 『しね!ゆっくりしね!!』 ザシュ!ザシュ!!ドス!!! (ゆげええ!!ゆげええ!!!やめてえええ!!!!) 『じゃお!じゃお!!じゃおおおん!!!』 『うるさい!しね!めーりんをころしたゆっくりはしね!!』 ふらんは、まるでそれがめーりんではないと気付いたかのように、れいむへと何度もれーばていんを突き 刺します 実際に、ふらんはそれがめーりんではないと感づいたのでした 帽子から漂う死臭 赤ゆっくりを痛めつけて居る時に、いやに騒ぐめーりん その2つから、ふらんはこれがめーりんではなく、帽子を着けて偽装しているゆっくりだと見抜いたので す。実際に、めーりんが死臭を付けた帽子を被るなんて、ありえませんしね 『しね!しね!しね!しね!!』 ザス!ザス!!グサ!!ベチ!!! (ゆべ!ゆべ!!ゆべえ!!ゆぎいいい!!!) 『じゃお!じゃお!じゃおおお!!じゃおおおおん!!!』 ふらんはそのまま、れいむをかなり痛めつけました 『やっちゃえ!やっちゃえ!』 『……』 赤れいむのそんな声を聞いて、ふらんが動きを止めました (どぼぢでそんなごどいうのおお!?!おちびちゃああん!!!) 『じゃおおおおん!?!』 れいむは、ふらんの動きを怪しむ事も、痛みから解放された事に気付く事も無く、ただ赤れいむの言葉が 信じられませんでした 『……』 ふらんは、赤れいむを持ち直し、れいむの目の前に持ってきました (お、おちびちゃん……) 『じゃおおん……』 『やめちぇね!くじゅめーりんにちかぢゅけにゃいでにぇ!!』 (どぼぢでそんなごどいうのおおお!?!!) 『じゃおおおおん!!!』 『……』 ふらんはそのまま、赤れいむを握りつぶしていきます 『ゆ!!ゆぎいい!!やめちぇええええ!!!!』 (や、やめてね!!れいむのおちびちゃんをはなしてね!!!) 『じゃお!!じゃおおおん!!!』 『……』 『ちゅ、ちゅぶれりゅう……』 (はなしてね!!ゆっくりはやくはなしてねえ!!!) 『じゃお!!じゃおおん!!!』 『しね』 『ゆびいい!!!!』 ブチュ!! そうして、ふらんは赤れいむを完全に握りつぶしてしまいました (おちびちゃんがああああ!!!!!) 『じゃおおおおん!!!!!』 れいむはそのまま、ただ泣き叫びます 『おまえもしね』 そうして泣き叫ぶれいむに、ふらんはれーばていんを持ち直して ズブチ!!! (ゆべ!!) 『じゃお!!』 れいむの目玉を貫き、中枢餡を破壊しました 『『……』』 その全てをみま像としんきさま像は、見つめていました ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今でも、その2つの像は、その群の外れにあります れいむ一家が死んでも、特に群として問題はなく 誰も訪れる事無く ただそこに、みま像としんきさま像は、仲良く並んでいます ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「どっとはらい……これでおしまいです」 「ありがとうございました」 ゆっくりがもたらす怖い話と言うか……ゆっくり間で起こった自業自得というか…… みまとしんきさまってのが、またこう……アレだよな 「まりさが救われないな」 まあ、それは俺もそう思ったが しかし長く生きるのも変っちゃ変だが…… 「しかしれいむが死んでも、群には影響なしか」 「元々、長として機能して無いようだったみたいね……群としては良い厄介払いになったかしら?」 「ふらんがいるから、危険なのは変わりないさ」 だよな 「この怖い話は、あなたの出身地かどこかに伝わる話ですか?」 「そ、それは……」 「無理に聞き出す事は無いだろう。プライバシーの侵害になるぞ」 「そうそう。その為に僕達は、こんな仮面を着けて居るんだから」 1人が自分の仮面を叩く 「そうでしたね……すいません」 「まあ、自分から話す分には問題ないよな?」 「そう思います。私はちょっと……」 「俺はいいさ。次に話させてくれ」 「おや?もう頭は冷えたのかい?」 「ああ。残りの2人はいいかな?」 「僕は構いませんよ」 「俺もな」 「では、今度の話は、貴方にお願いします」 「ああ」 語り部の座る位置が変わる 残りは3話 テープもメモも、充分に余りそうだ 「準備はいいか?」 「えっと……」 テープを変えて、メモも新しい頁にする 「どうぞ」 「じゃあ、語らせて貰うぞ」 ゆっくりに関係する怖い話。五話目 この人から語られる怖い話は、なんだろう? ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「俺が語るのは、田舎であった話。不可思議な呪いの話だ……」 第5話 『きめえ丸の呪い』へと続く……
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ゆっくりに関係する怖い話4話 16KB 悲劇 パロディ 理不尽 自業自得 差別・格差 飾り 親子喧嘩 同族殺し ツガイ 赤子・子供 ゲス 捕食種 希少種 自然界 現代 独自設定 虐待時には人間なし 生存ゆっくり有り タイトル:ゆっくり地蔵の祟り 作者名:蛇足あき ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 私が語るのは、とあるゆっくりの群で起こった、たたりの話です その群は人の住む場所から遠く、人と関わるゆっくりも、わざわざ虐待にも保護にも人が訪れない そんな場所です そのゆっくりの群には、とある番がいました 優しい性格の性か、狩りが少しだけ下手なまりさと 母親ぱちゅりーの影響か、病弱になってしまったありすの番です この2匹は、病弱なありすの性か子宝には恵まれず、また食べる物にも多少ながら困っていました その原因は、まりさの狩りの下手さにもあるのですが、なりよりこの群の長が原因なんです 『れいむはしんぐるまざーなんだよ!!ちゃんとしょくじをわけてね!』 『『わけちぇね!!』』 この群の長は、とても珍しい事にれいむが勤めていたんです まあ、元の長の番だったというだけで、れいむ自身が優秀だった訳では無いんですが それでも運が良かったのか、群の長として、何もしないで餌を手にいれてたんです クーデターを起こそうにも、今ひとつ踏ん切りが付かない 餌を盗られてしまっているから、ゆっくり達の体力も無い 沢山の餌を食い続けて居るから、れいむ一家は多少大きくて強い 誰もが自分は犠牲になりたくない そして餌を盗られ続ける そんな悪循環が続きました 『ただいまだぜ……』 狩りで採れる餌だけでも満足できないのに、れいむに大半盗られてしまう まりさが持ち帰る餌は、いつも極僅か 『おかえりなさい、まりさ』 それでもありすは文句を言わなかったんです まりさの負担になっていると自覚していましたから 『たくさんたべるんだぜ』 『ありすはもういいわ。まりさこそたべないと』 『まりさはだいじょうぶだぜ。ありすがしんぱいだぜ』 それでもまりさはありすを嫌う事は無く、ありすをいつも気遣っていました 『きょうはこれだけね……』 『すくなくなったけど、きっとわかってくれるんだぜ』 そんな2匹は、いつもある事をしていました 多少の餌を持って、病弱なありすと一緒に、まりさはある場所へと向いました 巣から離れた所、群のゆっくりがあまり近寄らない所 そこに2つのゆっくりの石像が置いてあったんです ゆっくりみまを模した像と ゆっくりしんきさまを模した像の2つです 『きょうのおそなえものよ』 『すくないけど、がまんしてほしいんだぜ』 その2つのゆっくり地蔵に、まりさとありすはいつもお供え物をしていたんです 理由はわかりません その2つの地蔵に対して、少しだけ祈るかのようにゆっくりした後、2匹は巣へと戻って行きました ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そんな生活が続いたある日の事でした 『ゆ……』 『ありす!しっかりするんだぜ!!』 ありすが危篤状態になってしまったんです 『まりさ……ごめんね……ありすはもうだめだわ……』 ありすは、自らの命がもう長く無い事を悟りました 『そんなの、ありすがいうとかいはじゃないんだぜ!まりさがなんとかしてみせるんだぜ!』 まりさはどうにかして、最愛の番であるありすを助けてあげたかった 古今東西、ゆっくりというのは単純な物で、オレンジジュースやら甘い物を食べさせれば、体力は直に回 復します まりさはその事を本能で知っていました。ですから、その2つを求めて、狩りへと出かけたのです とはいえ、人と関わった事の無いゆっくり達には、どちらも手に入れる事は困難でした 何処を探しても、オレンジジュースが湧いて出る場所があるはずも無く 何処を探しても、あまあまが落ちているはずも無い 狩りで手に入れたのは、結局はいつもと代わらない物だけでした それも結局は 『だめなんだぜ!それはありすのぶんなんだぜえ!!』 『うるさいよ!れいむはしんぐるまざーなんだよ!!こどももいないまりさはだまっててね!!』 『だまっちぇちぇね!!』 『もっちょもっちぇきちぇね!』 『かえしてえええ!!!』 れいむに見つかって、殆ど食べられてしまったんです 『ありす……ごめんねえ……』 まりさは泣きながら、ありすへと謝りました もう自分が食べる分も無い。当然、ありすが元気になるような量なんかではありませんでした 残っているのは、いつものお供えの分だけ 『……』 まりさは巣へと戻らず、いつもはありすと一緒に行くお供えに、1匹で行きました 『ごめんなさいだぜ……もうまりさたちはおそなえできないんだぜ……』 残っていた餌を、全て2つの地蔵にお供えしたんです 『みまさま、しんきさま、ゆるしてほしいんだぜ……でもせめて……せめてありすはゆっくりさせてほし いんだぜ……』 まりさは泣きながら、2つの地蔵に縋るように頭を下げました 当然、みま像もしんきさま像も何も言いません まりさは泣いたまま、巣へと戻って行きました 『…ありす……ゆ?』 巣へと近づく度に、まりさは何かを感じ取りました 『とてもあまいにおいがするんだぜ……もしかしたら!』 まりさは泣くのを止めて、その匂いがする方へと走っていきます そこは、まりさとありすの巣の入り口でした その前に 『ゆわー!!』 沢山のあまあまが置いてありました 『みまさま!しんきさま!ありがとうだぜ!』 まりさはそういうと、そのあまあまを帽子に詰めました 『ありす!ありす!!』 そうしてすぐに、ありすへと届けたのです 『ゆ……まりさ……』 『みまさまとしんきさまがあまあまをくれたんだぜ!さっそくありすがたべるんだぜ!』 そうしてまりさは、帽子からあまあまを取り出します 『ほんとうに……?まりさのぶんもあるの……?』 『たべきれないくらいあるんだぜ!これならありすもげんきになるんだぜ!』 『じゃあ……たべるわね……』 ありすはまりさの持ってきたあまあまを口に含み 『む~しゃ……む~しゃ……しあわせ……』 最高にゆっくりとした表情を浮かべて 『……』 『ありす?』 そのまま、死んでしまいました 『……ありす……ゆわーーん!!!ゆわーん!!!』 まりさはありすの死を知り、泣き続けました 最高にゆっくりした表情のありすの側で、まりさは泣き続けました もっと早ければ良かったと言う後悔と 最後にありすをしあわせに出来たと言う思いと 助けてくれたみまとしんきさまへの感謝と 様々な感情が混じって、まりさは泣き続けました ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― まりさは次の日からも、狩りをし続けていました 最後にありすへとあまあまをくれた、みまとしんきさまへのお供えを手に入れるため どれだけれいむに盗られても、自分にはみまとしんきさまがくれたあまあまがあるから大丈夫だと 少しずつ、計画的にあまあまを食べて、まりさはみまとしんきさまへのお供え物を狩っていました ですが、それを気に食わない物が居ました 『まりさはなまいきだよ!れいむはしんぐるまざーなのに!あまあまをひとりじめしてるなんて!!』 『ゆえーん!!れいみゅもあみゃあみゃぎゃほちいよお!!』 『げしゅなまりちゃなんちぇちねえー!!ゆえーん!!』 長のれいむ一家です れいむ一家は、偶々まりさが巣に沢山のあまあまを蓄えている事を知りました 当然ながら奪いたいのですが、そこは少しだけ問題があったのです この群でやっていた事は、あくまで狩りの成果を徴収するだけでした 他のゆっくりが蓄えて居る物を奪うなんて、それはゆっくりできない事です 既に他のゆっくりが手にいれて居るのを奪うのは、ゲスのする事ですから 長と言えども、そんな事をしたらゆっくりできないゆっくりとして、制裁されます ましてや、昔そんなゆっくりがこの群にいた為、長と言えども例外にされないのです まりさの巣のあまあまを奪うには、まりさが死ぬまで待ち、まりさの巣でおうち宣言をする それしかなかったのです とはいえ、れいむ一家は待つ事を良しとせず、また、まりさの食欲も所詮はゆっくりですから、あっとい う間にあまあまが無くなる事もありえます れいむは必死に考えます どうしたらいいのか どうしたらあまあまを奪えるのか 殺したらゆっくり殺しとして、長と言えども制裁されてしまう 『ゆ?』 そんなれいむの視線の先に 『Zzz……』 偶々、めーりんがシエスタをしていました 『……ゆ!』 それを見て、れいむは閃きました ゆっくり殺しの例外と、絶対に大丈夫な方法を ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― その日の夜の事でした 『みまさま、しんきさま、ありがとうだぜ』 まりさはあまあまを食べる前に、そうしてみまとしんきさまへと感謝をしていました 自分があまあまを食べれるのは、みまとしんきさまのおかげだと ありすが最後に幸せだったのは、みまとしんきさまがあまあまをくれたからだと 優しいまりさは、いつもそうしていたのです 『ゆっくりしんでね!!』 『ゆ?』 いきなり物騒な言葉を投げかけられたまりさは、声のした方を見ます 『ゆわあああ!?!!?』 そこには、よく分からないゆっくりがいました 死臭を放つめーりんの帽子を被り めーりんのデスマスクを纏い めーりんの中身で汚れた、薄気味悪い怪物ゆっくり 『げしゅはしゃっしゃとちんでね!!』 『やっちゃえー!!』 そんなゆっくりの後から飛び出してきた、れいむの赤ゆっくり 『しねえ!!』 『ゆべえ!!』 まりさはあっさりと、そのゆっくりに潰されました 『しぇーしゃいだよ!!』 『りぇいみゅたちにあみゃあみゃをくれなきゃっちゃばちゅだよ!!』 赤ゆっくり達は、まりさの死骸の上を飛び跳ねます 『あまあまがへりすぎだよ!まりさはほんとうにゲスだね!!』 そういいつつも、怪物ゆっくりはあまあまを大きな葉に乗せました この怪物ゆっくり、正体は長のれいむでした めーりんを殺して、その帽子と皮を着けて、めーりんになりすまそうとしたのです めーりんを殺すのは、一部のゆっくり以外には合法でした そしてめーりんが殺すという事にしてしまえば、れいむが疑われる事はありません れいむはそう考え、めーりんの皮を纏っているのでした 運が良いだけでなく、多少は頭が働いたようです 誤算と言えば、れいむがあまりにも太りすぎていて、完全に隠れてなかったのですが、それが幸いにもも みあげを外に出し、赤れいむ達がめーりんと勘違いしないようになっていました 『さあおちびちゃんたち!こんなゆっくりできないばしょからゆっくりかえろうね!』 『『ゆっきゅりりきゃいしちゃよ!!』』 そうして、れいむ一家はまりさの巣を後にしました ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『ゆ~ゆ~♪ゆ~♪』 『きょうはごちしょうしゃんだね!!』 赤れいむは無邪気にもそう言いながら、れいむの前を飛び跳ねます 『ゆんしょ!ゆんしょ!!』 れいむは葉っぱに乗せたあまあまを引きずり、時には落としながら、自らの巣へと戻って行きます とはいえ、この姿が他のゆっくりに見られては、めーりんとして攻撃してくるでしょう その為、れいむ一家は誰も通らない場所を、遠回りに歩いていたのです 群のゆっくりが、基本的に来ない場所 みま像としんきさま像がある場所 『ゆんしょ!ゆんしょ!』 れいむ一家はそこを通り過ぎます 『『……』』 みま像としんきさま像が、そんなれいむ一家を見つめていました 『ゆんしょ!ゆ……ゆ?』 少しして、れいむは異変を感じました 急にあまあまが重くなったように感じたのです れいむがあまあまを見ると、先程よりも多くなっているように見えました 『ゆ!すごいよ!あまあまがふえたよ!!』 れいむはそのあまあまを見て、そう言いました 『ちねええ!!!』 べちん!! 『ゆぐ!?』 そんなれいむに、赤れいむが体当たりをしました 『れいみゅのあみゃあみゃをうばうくじゅめーりんはちねえ!!』 もう一匹の赤れいむも、れいむへと体当たりをします (なにをいってるの!?おかあさんはおかあさんだよ!) 『じゃお!!』 れいむの口から、そんな言葉が漏れます (なにこれえ?!!) 『じゃおおお!?』 れいむは、まるでめーりんのようにしか喋れなくなっていました もしこの時、れいむが自分の姿を見る事ができれば、更に驚いた事でしょう れいむが身に着けていためーりんの皮が、完全にれいむを包み込んでいたのです もみあげも隠れて、図体も多少小さくなっていました 赤れいむからすれば、めーりん以外のゆっくりには見えなかったのです 『ちねえ!ちねえ!!』 べちん!べちん!! 『あみゃあみゃをうばうくじゅはちねえ!!』 べちん!! 赤れいむ達は、体当たりを繰り返します 当然ながら成体であるれいむにも、皮が厚いめーりんも、そんな体当たりが効く筈はありません ですが (いだあああああいいいい!!!やめてね!おちびちゃんたち!!!ゆっくりやめてねえ!!!) 『じゃおおおおおん!!!』 れいむはあまりの痛さに、震えていました 赤れいむ達の体当たりにではありません 赤れいむ達が体当たりをする時、れいむの体が痛むのです 例えば、めーりんを殺す時に傷つけた頬だったり 例えば、めーりんを殺す時に噛み千切ったあんよだったり 例えば、めーりんを殺す時に食いちぎった左目だったり 例えば、めーりんを殺す時に引き千切った髪の毛だったり 例えば、めーりんを殺す時に…… 例えば、めーりんを殺す時に…… そう、れいむがめーりんを殺す時に傷つけた箇所 それに該当する場所の痛みが、れいむを襲っていたのです 『きいちぇるね!』 『あとしゅきょしだにぇ!!』 赤れいむ達は、めーりんの声で泣き叫ぶれいむの声を聞き、体当たりを繰り返しました 『ゆっくりち』 グチャ!! 『ゆ?』 (ゆ?) 『じゃお?』 赤れいむの1匹が、棒によって跡形もなく潰されました (れいむのおちびちゃんがあああ!!!) 『じゃおおおおおん!?!!』 『れいみゅのいもうちょがああ!!!?』 れいむ達が泣き叫び、棒の側に立って居るモノを見ます 『うー……』 (ふ、ふらんだあああ!!) 『じゃおおん!!!』 『ふりゃんりゃああ!!!!』 れいむ達は叫びました ひょい ふらんが赤れいむを摘み上げます 『ゆ~、おしょりゃをちょ』 『ゆっくりしね!!』 ベチン!!! 『ゆびいい!!!』 (ゆがあああ!!!) 『じゃおおおん!!!』 『しね!しね!めーりんをいじめるれいむはしね!!』 ベチン!ベチン!! ふらんは、何度も何度も、赤れいむをめーりんに叩きつけます 傍から見れば、どうみてもめーりんを苛めて居るようにしか見えません とはいえ、ふらんは頭がおかしいけど、悪くは無いゆっくりです めーりんの皮の厚さを知って居るからこそ、めーりんに叩きつけているのです 地面に叩きつけたら、一瞬で死ぬ事も理解していたからです 『いぢゃい!いぢゃい!!やめちぇええ!!!』 (やめてねえ!!れいむをいじめるのはゆっくりやめてねえ!!) 『じゃお!じゃお!!じゃおおおおん!!!!』 『……』 ピタリとふらんの動きが止まりました 『ゆ……ゆ……』 (おちびちゃんをはなしてね!ゆっくりしないでふらんはしんでね!!) 『じゃお!じゃお!』 そんなふらんに、れいむは痛みを堪えながら言います ドス!! (ゆ…?) 『じゃお…?』 そんなれいむに、ふらんは情け容赦なく、れーばていんと呼んでいる棒を、突き刺しました (ゆがあああああ!!!!いだいいだいいだいい!!!!!) 『じゃおおおおお!!!?』 『しね!ゆっくりしね!!』 ザシュ!ザシュ!!ドス!!! (ゆげええ!!ゆげええ!!!やめてえええ!!!!) 『じゃお!じゃお!!じゃおおおん!!!』 『うるさい!しね!めーりんをころしたゆっくりはしね!!』 ふらんは、まるでそれがめーりんではないと気付いたかのように、れいむへと何度もれーばていんを突き 刺します 実際に、ふらんはそれがめーりんではないと感づいたのでした 帽子から漂う死臭 赤ゆっくりを痛めつけて居る時に、いやに騒ぐめーりん その2つから、ふらんはこれがめーりんではなく、帽子を着けて偽装しているゆっくりだと見抜いたので す。実際に、めーりんが死臭を付けた帽子を被るなんて、ありえませんしね 『しね!しね!しね!しね!!』 ザス!ザス!!グサ!!ベチ!!! (ゆべ!ゆべ!!ゆべえ!!ゆぎいいい!!!) 『じゃお!じゃお!じゃおおお!!じゃおおおおん!!!』 ふらんはそのまま、れいむをかなり痛めつけました 『やっちゃえ!やっちゃえ!』 『……』 赤れいむのそんな声を聞いて、ふらんが動きを止めました (どぼぢでそんなごどいうのおお!?!おちびちゃああん!!!) 『じゃおおおおん!?!』 れいむは、ふらんの動きを怪しむ事も、痛みから解放された事に気付く事も無く、ただ赤れいむの言葉が 信じられませんでした 『……』 ふらんは、赤れいむを持ち直し、れいむの目の前に持ってきました (お、おちびちゃん……) 『じゃおおん……』 『やめちぇね!くじゅめーりんにちかぢゅけにゃいでにぇ!!』 (どぼぢでそんなごどいうのおおお!?!!) 『じゃおおおおん!!!』 『……』 ふらんはそのまま、赤れいむを握りつぶしていきます 『ゆ!!ゆぎいい!!やめちぇええええ!!!!』 (や、やめてね!!れいむのおちびちゃんをはなしてね!!!) 『じゃお!!じゃおおおん!!!』 『……』 『ちゅ、ちゅぶれりゅう……』 (はなしてね!!ゆっくりはやくはなしてねえ!!!) 『じゃお!!じゃおおん!!!』 『しね』 『ゆびいい!!!!』 ブチュ!! そうして、ふらんは赤れいむを完全に握りつぶしてしまいました (おちびちゃんがああああ!!!!!) 『じゃおおおおん!!!!!』 れいむはそのまま、ただ泣き叫びます 『おまえもしね』 そうして泣き叫ぶれいむに、ふらんはれーばていんを持ち直して ズブチ!!! (ゆべ!!) 『じゃお!!』 れいむの目玉を貫き、中枢餡を破壊しました 『『……』』 その全てをみま像としんきさま像は、見つめていました ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今でも、その2つの像は、その群の外れにあります れいむ一家が死んでも、特に群として問題はなく 誰も訪れる事無く ただそこに、みま像としんきさま像は、仲良く並んでいます ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「どっとはらい……これでおしまいです」 「ありがとうございました」 ゆっくりがもたらす怖い話と言うか……ゆっくり間で起こった自業自得というか…… みまとしんきさまってのが、またこう……アレだよな 「まりさが救われないな」 まあ、それは俺もそう思ったが しかし長く生きるのも変っちゃ変だが…… 「しかしれいむが死んでも、群には影響なしか」 「元々、長として機能して無いようだったみたいね……群としては良い厄介払いになったかしら?」 「ふらんがいるから、危険なのは変わりないさ」 だよな 「この怖い話は、あなたの出身地かどこかに伝わる話ですか?」 「そ、それは……」 「無理に聞き出す事は無いだろう。プライバシーの侵害になるぞ」 「そうそう。その為に僕達は、こんな仮面を着けて居るんだから」 1人が自分の仮面を叩く 「そうでしたね……すいません」 「まあ、自分から話す分には問題ないよな?」 「そう思います。私はちょっと……」 「俺はいいさ。次に話させてくれ」 「おや?もう頭は冷えたのかい?」 「ああ。残りの2人はいいかな?」 「僕は構いませんよ」 「俺もな」 「では、今度の話は、貴方にお願いします」 「ああ」 語り部の座る位置が変わる 残りは3話 テープもメモも、充分に余りそうだ 「準備はいいか?」 「えっと……」 テープを変えて、メモも新しい頁にする 「どうぞ」 「じゃあ、語らせて貰うぞ」 ゆっくりに関係する怖い話。五話目 この人から語られる怖い話は、なんだろう? ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「俺が語るのは、田舎であった話。不可思議な呪いの話だ……」 第5話 『きめえ丸の呪い』へと続く…… 蛇足あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る めーりんを殺した屑は死ね! -- 2013-02-04 03 57 53 まりさが可愛そうだった、本当クズな、しんぐるまざ~(笑)の糞でいぶがブチ殺されてすっきりした 怖いと言うよりも良い話 -- 2010-07-11 02 49 08